ドイツ自動車大手、2021年の新車CO2排出量目標を達成
(ドイツ、EU)
ミュンヘン発
2022年03月24日
ドイツ自動車大手メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン(VW)グループの2021年の欧州での新車二酸化炭素(CO2)平均排出量が出そろった(いずれも各社計算の速報値)。3社ともにそれぞれの目標値を達成した。
2020~2024年にEU27カ国とノルウェー、アイスランドで販売される乗用車と小型商用車(バン)のCO2平均排出基準(目標)は規則(EU)2019/631によって定められている。企業ごとの目標値は販売車種や、優遇措置の対象となる低排出車の割合などによって異なる。目標値を達成できない場合、目標値から超過した排出量を基に算定した課徴金が企業に課される。
メルセデス・ベンツは3月11日に年次報告書を公表し、その中で2021年の新車CO2平均排出量(注1)を発表した。2021年の同社の目標値である1キロメートル当たり125グラムに対して115グラムだった。2021年からはWLTCモード(注2)に基づく測定のため、前年との単純は比較できないものの、同社のWLTCモードの2020年試算値は136グラムだった。同社は2022年の同社目標値が前年水準になる見込みで、2022年も目標達成は可能としている。
BMWは3月9日、2021年の新車CO2平均排出量を公表、同社目標値の1キロ当たり125.8グラムに対して115.9グラムとなった。2020年値をWLTCモードで試算すると135グラムで、2021年値は前年値を大きく下回った。同社は目標達成の主因として、内燃機関搭載車のさらなる効率化と電動車の販売急増を挙げた。BMWのEU27カ国、ノルウェー、アイスランドでの新車販売の4分の1以上がバッテリー式電気自動車(BEV)、またはプラグインハイブリッド車(PHEV)だったという。
VWグループ(注3)は2022年1月、2021年の新車CO2平均排出量を公表した。同社目標値の1キロ120.8グラムに対して118.5グラムだった。目標達成の主因には、VWも電動車の販売増を挙げた。同社のEU27カ国、ノルウェー、アイスランドでのBEVまたはPHEVの販売台数は47万2,300台で、前年比64%増となり、全体の17.2%を占めたという。
欧州委員会は2021年7月、環境対策政策パッケージ「Fit for 55」を発表、乗用車・小型商用車(バン)のCO2排出基準をさらに厳しくする改正案を発表した(関連ブラック ジャック オンライン)。改正案は新車CO2平均排出量を2021年比で2030年までに55%削減、2035年までに100%削減と設定、現在、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議されている。
(注1)乗用車として登録された小型商用車を含む。
(注2)燃費を測定する国際的試験方法。2014年3月に国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラムで採択。
(注3)VWグループ傘下のランボルギーニとベントレーを含まない。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ、EU)
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