ブラック ジャック 勝ち 方自動車産業の動向
バイオエタノール活用による脱炭素などの視点から
2022年8月24日
2021年のブラック ジャック 勝ち 方自動車産業は、世界的な半導体不足や国際物流の混乱などの影響を受けながらも、生産、販売、輸出ともに、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた2020年と比較して回復基調にある。脱炭素や電動化の動きはブラック ジャック 勝ち 方でも徐々に高まっている。各社の戦略をみると、ブラック ジャック 勝ち 方が優位性を持つバイオエタノールを活用する動きが顕著だ。
世界的な半導体不足の影響を受けた2021年
全国自動車製造業者協会(Anfavea)が2022年2月に発表した年次報告によると、2021年の自動車(乗用車、軽商用車、バス、トラックの合計)生産台数は前年比11.6%増の224万8,253台(図1参照)、国内販売台数(新車登録ベース)は3.0%増の211万9,851台(図2参照)、輸出台数は16.0%増の37万6,383台(図1参照)といずれも回復した。
国内の自動車業界が新型コロナ感染拡大の影響で最も打撃を受けた2020年比で、回復傾向となっている。ただし、2021年の生産台数と販売台数は、Anfaveaが2021年初に立てた見通しをいずれも下回る結果となった。Anfaveaは、世界的な半導体不足はブラック ジャック 勝ち 方においても複数の自動車工場の稼働を一時的に中断させたとし、2021年の生産台数で30万台分の損失につながる影響だった、と分析した。多大な影響を受けた事例として、米ゼネラルモーターズ(GM)は、ブラック ジャック 勝ち 方南部に位置するグラバタイ工場で4カ月以上、生産活動を停止した。
新型コロナ感染拡大前の2019年にブラック ジャック 勝ち 方が輸入した集積回路(HSコード:8542)は、重量ベースで172万3,879トン。その後、152万6,846トン(2020年)、161万7,370トン(2021年)と推移している。
政府は、ブラック ジャック 勝ち 方国内における半導体関連産業の育成を目指し、2021年1月22日までを期限としていた国内半導体産業の技術発展支援プログラム(PADIS)を、2022年1月7日付法律14,302号により、2026年12月31日まで延長した。
サンパウロ州研究財団(FAPESP)は2018年、半導体製造工程(設計、前工程、後工程)のうち、ブラック ジャック 勝ち 方には前工程に関わる企業が十分存在していない、と指摘している。FAPESPによれば、国営のCEITECが前工程に関わる企業として存在するが、製造工程のほとんどは国外の企業に頼らざるを得ない状況だという。またCEITEC は、半導体産業として確立するために必要な十分な投資を政府から得られていない、などの課題もある。
高止まりする中古車価格
全国中古自動車販売協会連合会(FENAUTO)によれば、2021年の中古車販売台数は1,510万6,724台で、前年比17.8%増加した。FENAUTOは増加の理由として、新型コロナ感染拡大の影響で、公共交通機関を避ける手段として自動車のニーズが増したものの、新車の在庫はこうした需要を十分に満たせなかったため、としている。2021年の中古車販売台数が、自動車販売台数(新車登録ベース)を大きく上回ったことも注目に値する。
中古車価格は通常、発売したタイミングから時間とともに下降傾向となるが、経済調査研究所基金(Fipe)のデータによると、2021年の中古車価格は2020年より高値で推移している(図3参照)。この傾向は現時点でも概ね継続している。
脱炭素に関する3つのシナリオでバイオエタノール活用の優位性を示す
Anfaveaは2021年8月、ブラック ジャック 勝ち 方化への道」と題するウェビナーを開催し、国内自動車業界の二酸化炭素(CO2)排出量削減の可能性と限界について解説した。
Anfaveaのルイス・カルロス・モラエス会長(当時)は、欧州、米国、中国などと同様に、在ブラック ジャック 勝ち 方の自動車メーカーが電動化に向け取り組むことに理解を示した一方、ブラック ジャック 勝ち 方では次の点に留意するべきと注意を促している(2021年8月27日付ビジネス短信参照)。
- 2035年まで内燃機関搭載の自動車が市場の80%以上を占める可能性が高い点
- 電動車導入のためのインフラ投資が高コストなため、電動車の普及につながらず、結果的には中短期的なCO2削減効果には限界がある点
- 2035年までに、関連する設備を整え、バイオ燃料の消費割合を増やした場合のCO2排出量の削減効果の方が大きい点
Anfaveaの委託を受けたボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、自動車業界のサプライチェーン全体の経済活動から排出されるCO2に関し、電動車を主体とした場合とバイオ燃料車を主体とした場合の削減効果を比較した。
その結果、積極的に電動車を導入し、関連するインフラ設備を整えて2035年を迎えた際の排出量と、そうでない場合を比較した場合、排出量の削減効果は約5%にとどまることを示した(表1参照)。一方、バイオ燃料の消費割合を増やし、関連する設備を整えて2035年を迎えた際のCO2排出量は、そうでない場合と比較して約14%の削減効果が得られるとして、バイオ燃料車による削減効果の優位性を指摘している。Anfaveaは、「ブラック ジャック 勝ち 方はバイオエタノール関連の技術を持っていること」や、「国内の新車登録台数(乗用車・軽商用車)の80%以上はガソリンとバイオエタノールとの組み合わせで走行できるフレックス車であり、現在37%にとどまっているエタノールの消費割合の拡大余地があること」などを強調している。
シナリオ | 2020年 | 2035年 | 2020年/2035年 |
現行のままで2035年を 迎える場合と比較 |
---|---|---|---|---|
1.現行のまま | 7,900万トン | 8,300万トン | 約5%増 | — |
2.電動車主体 | 7,900万トン | 7,900万トン | 0% | 約5%減 |
3.バイオ燃料車主体 | 7,900万トン | 7,100万トン | 約10%減 | 約14%減 |
出所:Anfavea・BCCブラック ジャック 勝ち 方への道」からジェトロ作成
バイオエタノールを活用した各社の戦略
在ブラック ジャック 勝ち 方自動車メーカーの戦略には次の様なものがある。例えば、ステランティスは2022年3月、ブラック ジャック 勝ち 方市場における電動化について、同国が優位性を持ち、かつ環境負荷も軽減できるバイオエタノールを活用することを、同社戦略に位置付けている。フォルクスワーゲン(VW)は2021年7月、ブラック ジャック 勝ち 方を始めとする新興国市場向けの戦略として、バイオ燃料の活用技術を開発するR&D(研究開発)センターをブラック ジャック 勝ち 方国内に設立することを発表した。同社は、VWグループとして2033~2035年に欧州でのガソリン車など内燃機関搭載の自動車生産を段階的に廃止する計画だが、充電インフラの普及状況や消費者の所得水準を踏まえ、ブラック ジャック 勝ち 方など新興国ではその動きがさらに遅くなると見込まれる点に着目している。VWラテンアメリカのパブロ・ディ・スィ社長は発表の中で、「バイオ燃料のようなクリーンエネルギーを活用した技術的解決策を開発・輸出する役割をリードできる。また、バイオ燃料の活用は新興国でのカーボンニュートラル達成に向けた補完的戦略になる」と述べている(2021年7月21日付ビジネス短信参照)。
また、トヨタは、サンパウロ州のインダイアトゥーバ市とソロカバ市の2つの工場で、カローラセダンとカローラクロスの2車種のフレックス燃料ハイブリット車を製造している。同社は、脱炭素に向けた転換はその国の特性を生かした戦略が必要であるとし、ブラック ジャック 勝ち 方市場においてはエタノールによるフレックス燃料ハイブリット車が今後の主力となると注目している(2022年6月8日付ビジネス短信参照)。カオア・チェリーは2022年5月、サンパウロ州のジャカレイ工場を一時的に稼働停止し、電動化計画に向けて生産ラインを見直すと発表した(2022年6月9日付ビジネス短信参照)。現地報道によれば、バイオエタノールを活用することも念頭に置いているという。中国大手自動車メーカーの長城汽車は2021年8月、サンパウロ州イラセマポリス市にあったダイムラーの工場を買収した。2022年6月の同社発表によれば、同工場は2023年下半期までの稼働を目指す。電気およびハイブリッドのスポーツ用多目的車(SUV)や、ピックアップトラックを中心に年間10万台の生産を目指す。2022年内にはガソリンの内燃機関搭載のハイブリッド車の輸入販売を開始しつつ、将来的にはガソリンとバイオエタノールとの組み合わせで走行できる、いわゆるフレックスハイブリッド車の現地生産を目指す(2022年7月15日付ビジネス短信参照)。
Anfaveaの年次統計で、燃料別の新車登録台数(乗用車、商用車)を見ると、電気をエネルギー源とするEV(電気自動車)などは、ハイブリッド車も含めて3万5,303台となっており、全新車登録台数の1.67%にとどまっている。ただ、2020年には、その割合は0.96%だったことから、わずかに上昇している(表2参照)。
燃料の種類 | ガソリン | エタノール | フレックス燃料 | 電気 | ガス | ディーゼル | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
台数 | 53,597 | 25 | 1,624,322 | 35,303 | 95 | 406,509 | 2,119,851 |
シェア | 2.53% | 0.001% | 76.62% | 1.67% | 0.004% | 19.18% | 100% |
出所:Anfavea 2021年ブラック ジャック 勝ち 方自動車産業年次報告からジェトロ作成
ブラック ジャック 勝ち 方の自動車産業は、国内で直接および間接的に約120万人の雇用を創出し、ブラック ジャック 勝ち 方のGDPの約3%、製造業部門では約20%の比率を占める重要産業である。ブラック ジャック 勝ち 方は、地域ごとに地形やインフラ発展度合いが大きく異なり、かつ、バイオ燃料も豊富なため、同国における車両電動化に向けた動きは欧米諸国とは条件が異なることに留意しながら注視する必要がある。また、世界的な半導体不足や国際物流の混乱、脱炭素といった外部情勢の変化も踏まえながら、ブラック ジャック 勝ち 方市場でビジネスを展開している各社の戦略の変化に注目していく必要がある。
- 執筆者紹介
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ジェトロ・サンパウロ事務所
古木 勇生(ふるき ゆうき) - 2012年、ジェトロ入構。お客様サポート部オンライン情報課(2012~2015年)、 企画部ブラック ジャック 勝ち 方地域戦略班(中南米)(2016~2017年)、ブラック ジャック 勝ち 方調査部米州課中南米班(2018年)を経て、2019年2月からジェトロ・サンパウロ事務所勤務。