VWがバイオ燃料によるハイブリッドモーター製造・輸出拠点の戦略を発表、ブラジルにR&Dセンター

(ブラジル、欧州、中南米、中国、米国)

サンパウロ発

2021年07月21日

フォルクスワーゲン(VW)・ド・ブラジル(注)は7月12日付の公式サイトで、ブラジルはじめ新興国市場向けの戦略として、バイオ燃料の活用技術を開発するR&D(研究開発)センターをブラジル国内に設立することを発表した。

発表によると、同社は、VWグループとして2033~2035年に欧州でのガソリン車など内燃機関搭載の自動車生産を段階的に廃止する計画だが、米国や中国での「脱ガソリン車」への動きは欧州と比べて遅くなると予想。その上で、ブラジルなど新興国ではその動きがさらに遅くなると見込まれる点に着目したとしている。充電インフラの普及状況や消費者の所得水準を踏まえると、ブラジルはじめ新興国では欧州、中国、米国とは異なる時間軸や手法でのカーボンニュートラルへの取り組みが必要で、そのためにバイオエタノールなどの国産資源を活用することは重要な戦略だと説明している。

VWラテンアメリカのパブロ・ディ・スィ社長は発表の中で、「バイオ燃料のようなクリーンエネルギーを活用した技術的解決策を開発・輸出する役割をリードできる。また、バイオ燃料の活用は新興国でのカーボンニュートラル達成に向けた補完的戦略になる」と述べている。

7月12日付の現地「バロール」によれば、同社は電気にガソリンのみではなく、バイオエタノールとの組み合わせでも走行できるハイブリッド用のフレックスモーターをブラジルで開発し、同モーターを搭載した自動車を中南米やインド、南アフリカ共和国などに輸出することを検討しているという。また、欧州、北米、中国などでの電気自動車の普及により、新興国の自動車産業が打撃を受けるリスクを回避する方法として、ディ・スィ社長が見いだした戦略だともしている。

(注)全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)の資料で2021年累計(1~6月)のブランド別国内販売シェア(乗用車、軽商用車合計)をみると、フォルクスワーゲンは2位で16.4%となっている。首位はフィアット22.3%、3位はゼネラルモーターズ(GM)12.4%となっており、ブラジル市場での存在感は依然として高い。

(古木勇生、エルナニ・オダ)

(ブラジル、欧州、中南米、中国、米国)

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