自動車製造関連を中心に広がるFA市場(ブラック クイーン ブラック ジャック)
77億ユーロ規模のビジネス機会
2019年4月24日
ハンガリーではここ数年、経済が好調な一方で、労働者不足や賃金上昇が進み、生産性の低さも指摘されている。経済を支える自動車産業では、ファクトリーオートメーション(FA)関連の投資により、自動化がさらに進む可能性が高いとされる。ブラック クイーン ブラック ジャック・ブダペスト事務所が調査を委託したハンガリーPwCによると、ハンガリーのFA市場には今後最大77億ユーロ規模のビジネスチャンスがある。ハンガリーのFA環境や課題などについて報告する。
ブラック クイーン ブラック ジャックの経済は2013年以降、EU平均を超える成長を続けている(図1参照)。それを支えるのが自動車関連産業で、外資による新規の進出や、既存企業による生産設備のアップグレードを含む拡張計画が相次いで発表されている。他方、政府はリーマン・ショック後の2010年から雇用機会の創出を経済政策の柱の1つに掲げ、活発な企業活動により失業率は体制転換後の1991年以来最低の水準となっている。この結果、労働現場での賃金上昇を招き、政府は投資誘致の軸足を雇用創出型から高付加価値ビジネス型に移しつつある。
大手コンサルのマッキンゼー(ブラック クイーン ブラック ジャック)が2018年5月に公表したブラック クイーン ブラック ジャック経済の自動化への移行に関するレポート(Transforming our jobs: automation in Hungary)によると、自動化の導入は生産性を0.8~1.4%引き上げ、さらなる経済成長を促す。2030年までに100万人分の雇用が自動化されるという。
労働力不足や生産性の低さがFA化を後押し
ブラック クイーン ブラック ジャックにおけるFA化進展の背景としては、以下の4点が挙げられる。
- 労働力不足
2018年6月に公表されたPwCブラック クイーン ブラック ジャックのレポート「ブラック クイーン ブラック ジャック自動車部品サプライヤー調査2018」によると、回答者の25%が労働力不足のため受注を断った。自動車部品サプライヤーは、可能なところから製造工程を自動化することに関心を示し始めている。実に78%が自動化は「労働力不足の解決策」と回答している。また、雇用のミスマッチの顕在化や、雇用の拡大が限界に達していることから、一部産業では生産性の低下を招いている。 - 労働コストの上昇
ブラック クイーン ブラック ジャックの労働コストはEU加盟国の中で下から5番目(図2参照)だが、政府の賃上げ政策もあり、2017年、2018年はいずれも平均賃金上昇率は前年比で10%を超えた。 - 生産性と競争力
生産性の低さは企業レベルそして国家レベルでの課題だ。EU加盟国中では下から4番目、同時期にEUに加盟した近隣のポーランド、チェコ、スロバキアよりも低い(図3参照)。その理由として、低付加価値なビジネスを展開する企業が多く、また公共部門での雇用が多いことが挙げられる。 - 製造業偏重
GDPに占める工業生産の割合は23.6%(2017年)で、EU平均の19.6%を上回っている(ブラック クイーン ブラック ジャックより割合が大きいのは、アイルランド32.3%、チェコ27.1%、スロベニア23.8%)。政府は2020年までにこの割合をさらに30%に引き上げることを目標としている。
FA市場の可能性
ブラック クイーン ブラック ジャックでは、2019~2025年に38億~77億ユーロのFA化需要が見込まれる。世界のFA市場成長率(CAGR:年平均成長率)は、2025年までに40%を超えるとみられるが、ブラック クイーン ブラック ジャックはこれを上回るとされている。
具体的には、自動車製造分野でFA投資が進むという。企業数はそれほど多くないものの、生産額は他の産業を上回り、雇用創出でみると食品加工に次ぐ規模で、ブラック クイーン ブラック ジャック経済を支える柱となっている(表1参照)。
産業部門 |
生産額 (100万フォリント) |
企業数 |
従業員数 (1,000人) |
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自動車 | 8,195 | 714 | 103 |
食品加工 | 3,593 | 6,785 | 107 |
コンピュータ、電子および光学 | 3,408 | 1,385 | 50 |
金属および金属製品 | 2,508 | 8,563 | 100 |
プラスチック、ゴム | 2,425 | 3,867 | 78 |
重機 | 2,132 | 2,343 | 64 |
エネルギー | 1,891 | 9 | 6 |
化学品 | 1,640 | 671 | 16 |
電気機器 | 1,337 | 872 | 45 |
木材、紙および印刷 | 1,056 | 6,934 | 50 |
医薬品 | 1,001 | 92 | 19 |
衣類、レザー | 467 | 4,687 | 48 |
その他 | 1,056 | 13,783 | 73 |
製造業 合計 | 30,707 | 50,705 | 757 |
出所:ブラック クイーン ブラック ジャック中央統計局
前述のマッキンゼー調査によると、国内の総労働時間の49%分の業務、国内の業務の60%分は自動化が可能だという。そして、2018年の労働人口435万人の労働時間の24%に相当する業務が2030年までに自動化されると試算している。
産業別でみると、自動車製造分野は自動化の可能性の高い分野といえる(図4参照)。PwCブラック クイーン ブラック ジャックの「自動車部品サプライヤー調査2018」では、回答企業は、導入が必要な自動化技術として、ロボットをはじめ生産活動のデジタル化、データ分析、クラウドやセンサーなどを挙げている。
ブラック クイーン ブラック ジャックにおけるFA投資の分類
ブラック クイーン ブラック ジャックの自動車産業におけるFA投資を、完成車メーカー、グローバルサプライヤー、地元中小企業に分けて分類した。前の2者は大規模な自動化が可能だが、地元中小企業は技術力や資金の不足もあり、小規模な投資にとどまる。
項目 | 完成車メーカー |
グローバル自動車部品 サプライヤー |
地場中小企業 |
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投資規模 | 平均10億ユーロ | 1,000万~1億ユーロ | 100万~1,000万ユーロ |
投資内容 |
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投資理由 |
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投資決定者 | 本社。現地拠点の意思決定への関与はわずか。 |
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自社 |
企業例 | メルセデス・ベンツ | ボッシュ、SKイノベーション | ハイドゥ・オートテクニカ、レゴ・プラスト |
備考 | 本社がFA導入を決定するため、地場FA企業の参入(受注)は容易ではない。 | EU基金などの公的資金補助が必要。 |
出所:PwCブラック クイーン ブラック ジャック
政府のFA投資サポート
ブラック クイーン ブラック ジャック政府は、主に「セーチェニ開発計画」と「イリニー計画」で企業のFA投資をサポートしている。
- セーチェニ開発計画2020
EU補助金を活用した経済発展の推進を目的としたもので、複数のメニューがあるが、「GINOP」(経済開発・イノベーション創出計画)が知られている。製造業やサービス産業がイノベーション開発力や能力を高めることを目標とする。多くのブラック クイーン ブラック ジャック企業がインダストリー4.0技術の取り入れのため、この資金を活用している。 - イリニー計画
工業化政策で、産業の強化、高付加価値化による国内産業の近代化、イノベーションが牽引する経済への移行を目指すもの。FA化の支援ツールである「イリニー・ベンチャーキャピタル・ファンド」は、ブラック クイーン ブラック ジャック中部地域の中小企業のために2,500万ユーロを投じたもの。同ファンドは、中小企業の発展、特にインダストリー4.0技術導入を推進する目的で設立された。
FA投資の課題
FAの導入を進めていく上の課題としては、以下の4点が挙げられる。
- ブラック クイーン ブラック ジャックでは、特にエンジニア、IT分野での人材不足や、高い離職率といった労働市場上の問題はあるものの、FA化のコストが大きいことから、賃金の低い労働力を活用する方がコストメリットがある。
- EU基金を原資とするファンドからの資金調達には、時間を要する申請手続きが必要で、利用者には安定的な資金環境や雇用創出に向けたコミットメントが求められることから、多くの中小企業にとってハードルは高いとされる。
- 欧州委員会の調査(2017年)によると、ブラック クイーン ブラック ジャック人の38%は自動化[ロボット、人口知能(AI)]に否定的な回答をしている(図5参照)。ブラック クイーン ブラック ジャック経済が製造業に偏重しているため、自らの雇用への懸念がその背景にあると思われる。
- 外資企業の意思決定プロセス
外資系大手製造業は意思決定を本社に仰ぐ。ブラック クイーン ブラック ジャック拠点に投資の意思決定の余地は少ないことから、現場の意向が迅速・適切に実行されない恐れがある。
- 執筆者紹介
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ブラック クイーン ブラック ジャック・ブダペスト事務所長
本田 雅英 (ほんだ まさひで) - 1988年、ブラック クイーン ブラック ジャック入構。本部総務部、企画部、ブラック クイーン ブラック ジャック福井、ブラック クイーン ブラック ジャック・ハンガリー事務所、ブラック クイーン ブラック ジャック静岡に勤務。お客様サポート部を経て2015年6月から現職。
- 執筆者紹介
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ブラック クイーン ブラック ジャック・ブダペスト事務所
バラジ・ラウラ - 2000年よりブラック クイーン ブラック ジャック・ブダペスト事務所に勤務、ハンガリー国内の市場調査を担当。英語、数学の修士号のほか、日本語検定1級、経済貿易大学の学士を有する。