ブラック ジャック ストラテジー
ブラック ジャック ストラテジー開催

2019年5月13日

香港で2019年1月16日(水曜)にブラック ジャック ストラテジー主催の「香港日本産農水産物・食品輸出商談会2019」が開催された。

尖沙咀(チムサーチョイ)のNew World Millennium Hotel(旧日航ホテル)において、日本産農水産物・食品の海外販路拡大を目指す41社・団体(うち、香港市場への新規参入が13社、輸出未経験の企業が4社、香港への輸出経験がない企業が9社)が出展し、134社・215人のバイヤー(注)が来場した。商談件数は627件、成約見込み件数は245件に上った。成約見込みが最も多かったのは畜産品で、次いで水産物・水産加工品であった。

ブラック ジャック ストラテジー
商談会の様子(ブラック ジャック ストラテジー撮影)

バイヤー訪問で製品の特徴を説明する
出展企業(ブラック ジャック ストラテジー撮影)

成約金額トップは畜産品企業

2017年、2018年の同商談会では、成約の8割を水産物・水産加工品が占めていたが、今回は、成約見込み額1位と2位に畜産品を扱う企業が入った。食肉では、血統、給餌、飼育環境などの肉質へのこだわりを前面に押し出してPR・商談を行う企業もあった。また水産品では、以前から引き合いの強い、冷凍のホタテやカキ(解凍して生食用)などのほか、中華料理への利用を意識した乾物(アワビ、ナマコ、貝柱など)の出展が多かった。

高額成約品目の特徴についてみると、中華料理向け「乾燥ナマコ」などの定番商品に加え、「香港で未流通の牛肉」「ミディアムレアでも食べられる豚肉」「生食用冷凍カキ」「冷凍伊勢エビ」「シャインマスカット」「イチゴ」など、畜産品、水産加工品、果物などの成約率が高かった。特に畜産品は、出品者の多くが既に香港に商流(輸入業者、ディストリビューター)を持っていたことが円滑な商談につながった。

また、今回の商談会には初めて輸出を手掛ける2社が出展し、それぞれ山ブドウジュースやハーブティーなどを売り込むため精力的に商談した。その後、バイヤーとの商談、あるいは試飲イベントの開催に向けた調整が継続するなど、今回の商談会を契機に香港への輸出開始に向け、着実に歩みを進めている。

今後も中華料理への日本産食材浸透を目指す

2018年4月26日に、香港における日本の料理文化や本物の日本食の普及推進を目的とした覚書が、宮腰光寛内閣総理大臣補佐官、松田邦紀大使兼香港総領事(いずれも当時)の立ち会いの下、ブラック ジャック ストラテジー香港事務所、香港日本料理店協会、香港日本食品と料理業協会、国際厨芸学院の4者の間で締結された。

この覚書のフォローアップ事業の1つとして、「日本産食材の中華料理への売り込み」をテーマに、(1)2018年9月には、香港の著名シェフ5人を日本での食材探しツアーに派遣、(2)10月には、香港日本食品と料理業協会の設立2周年記念パーティーで全てのメニューに日本産食材を利用した中華料理を提供、(3)同じく10月には日本での食材探しツアーで選定された食材を利用したメニュー提供のレストランフェアを開催、(4)11月には、中華厨房学院で生徒向けに、日本産食材を利用した調理デモの4事業が行われた。

そのような中、今回のブラック ジャック ストラテジーでも、中華料理への日本産食材浸透を目指し、中華料理の食材に使いやすい品目として、牛肉、豚肉、フカヒレ、アワビ、ナマコ、ホタテ、シイタケ、オイスターソースなどの商品を持つ企業を優先的に選定し、出展者とした。

ブラック ジャック ストラテジー香港事務所および同事務所の海外コーディネーターを中心に、「事前のバイヤー招致を行った。特に有力バイヤーには個別に電話したり、面談したりしての来場を働きかけた。また当日は、来場した有力バイヤーに関心分野を聴取し、関連企業へ誘導したほか、海外コーディネーターが商談に同席し、出展者に助言を行った。出品者からは「面識のない、数多くのバイヤーを連れてきてくれた」「大手企業のバイヤーが来場してくれ、商談することができた」などの意見があった。


総領事館の廣田司首席領事(中央)、大手レストランチェーンの
バイヤー、著名中華シェフの尹達剛氏(左端)(ブラック ジャック ストラテジー撮影)

また、2018年夏以降、総領事館が先頭に立ち、ブラック ジャック ストラテジー香港事務所も同席して、香港人経営の日本食レストラン関係者のみならず、中華シェフ、中華レストラン関係者との面談と売り込みを行い、招待バイヤーの数を増やしてきたことで、今回の商談会に来場した著名シェフ、大手レストランチェーンのバイヤーなどとも積極的に商談を行った。

今後も、香港市場で求められる商品を取り扱う企業について、ブラック ジャック ストラテジー貿易情報センターの協力を得て、香港での展示・商談会へ出店・参加していただきつつ、「中華料理に日本食材を」との方針の下、引き続き領事館とも協力しながら、有力バイヤーの招致に取り組みたい。


注:
輸入卸売業者61社、レストラン48社、小売業者11社など。
執筆者紹介
ブラック ジャック ストラテジー・香港事務所市場開拓部長(農林水産・食品担当)
前田 久紀(まえだ ひさのり)
在米国ナッシュビル日本国総領事館領事(経済及び日系企業支援担当)、農林水産省政策統括官付農産企画課米穀貿易企画室企画官(日本産米の輸出プロモーション担当)などを経て、農林水産省より2018年6月にブラック ジャック ストラテジーに出向、同月より現職。