ブラック ジャック 勝ち 方
2024年7月4日
ブラック ジャック 勝ち 方184万1,700台で、前年から微減した。また、2024年第1四半期(1~3月)は前年同期比18.4%減と縮小傾向が鮮明になっている。タイ工業連盟(FTI)は、2024年通年の生産台数を190万台と予測しているが、1~3月の実績からみると楽観視できない状況だ。本稿では、FTIの発表を基に、2023年の自動車の生産台数や販売台数の動向について分析する。
2023年の生産台数は2.2%減
FTIによると、ブラック ジャック 勝ち 方前年比2.2%減の184万1,686台だった。タイでは2012~2013年の2年間、国内の自動車需要の拡大を受けて自動車生産台数が約250万台まで拡大した。その後、2014~2019年の6年間は200万台前後で推移した(図1参照)が、2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、150万台を下回る水準に落ち込んだ。それが2021年には、約170万台まで回復。2022年には、前年からさらに約20万台増加した(188万台)。しかし、2023年後半から生産に陰りがみられ、2023年通年では前年比微減の184万台を確保したが、2024年第1四半期は前年同期比18.4%減の41万4,123台と低迷した。
自動車生産台数を月次でみると、2023年8月以降、8カ月連続で前年同月比マイナスとなっている(2024年3月時点)。実際の生産台数でみると、2023年5月から2023年11月にかけては月間14万~16万台で推移しており、生産自体は低調でなかった。しかし、2023年12月から2024年3月にかけては、生産台数が月間13万~14万台と低調なペースが続いている点に留意が必要だ(図2参照)。
2023年の自動車生産をセグメント別にみると、乗用車は前年比7.8%増の64万153台と拡大した。一方で、商用車は6.8%減の120万1,533台へと縮小した(表1参照)。
セグメント | 2021年 | 2022年 | 2023年 | ||
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台数 | 台数 | 台数 | 構成比 | 伸び率 | |
乗用車 | 594,690 | 594,057 | 640,153 | 34.8 | 7.8 |
1,500cc以下 | 437,211 | 444,809 | 439,461 | 23.9 | △ 1.2 |
1,501cc~1,800cc | 85,382 | 69,692 | 59,629 | 3.2 | △ 14.4 |
1,801cc~2,000cc | 20,017 | 38,220 | 57,416 | 3.1 | 50.2 |
2,000cc超 | 12,585 | 15,586 | 11,995 | 0.7 | △ 23.0 |
不明 | 39,495 | 25,750 | 71,652 | 3.9 | 178.3 |
商用車 | 1,091,015 | 1,289,458 | 1,201,533 | 65.2 | △ 6.8 |
ピックアップ | 1,050,202 | 1,242,658 | 1,155,290 | 62.7 | △ 7.0 |
その他トラック | 35,630 | 39,970 | 37,475 | 2.0 | △ 6.2 |
小型・大型バス | 5,183 | 6,830 | 8,768 | 0.5 | 28.4 |
合計 | 1,685,705 | 1,883,515 | 1,841,686 | 100.0 | △ 2.2 |
出所:タイ工業連盟(FTI)の資料に基づきブラック ジャック 勝ち 方作成
乗用車部門では、排気量1,801cc~2,000ccが前年比50.2%増加したが、1,501cc~1,800ccは14.4%減、2,000cc超は23.0%減と2桁の縮小となった。また、電気自動車(EV)を含む、排気量が不明のセグメントは2.8倍に拡大した。
商用車部門の中でも、自動車生産台数全体の6割を占めるピックアップトラックは、前年比7.0%減の115万5,290万台となった。また、その他トラックも6.2%減の3万7,475台と減少した。
ローン厳格化などで自動車販売台数が低迷
FTIによると、2023年のタイの自動車国内販売台数は8.7%減の77万5,780台だった。長期でみた場合、タイでは2012~2013年にファーストカー減税制度により、一時的に年間約130万~140万台まで国内販売台数が拡大した(図3参照)。しかし、同制度は結果的に需要の先食いとなり、2014~2017年は約80万台前後で低迷した。2018~2019年は100万台程度まで回復したが、新型コロナの経済への影響から、2020年と2021年は80万台を割りこんだ。2022年は85万台程度に回復したが、2023年は再度低迷し、80万台を下回った。なお、直近の2024年第1四半期は、前年同期比24.6%減の16万3,756台と、大幅に落ち込んでいる。
2023年に国内自動車販売が減少した要因として、同年の国内景気が予想よりも低調であった点が挙げられる。タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)によれば、タイの同年の実質GDP成長率は1.9%だ。これは、近隣のASEAN加国に比べても低い値だ。同年は5月に総選挙が実施されたが、新政権発足が9月までずれ込み、政府予算の立案に遅れが生じた。結果、政府支出が低調であったことも経済成長にブレーキをかける要因となった。
セグメント別に自動車の国内販売台数をみると、生産台数と同様の傾向が見られる。乗用車については前年比10.3%増と比較的好調であったが、全体の6割強を占める商用車の販売が17.3%減と縮小した。これが、同年の自動車生産台数の全体的な低迷に影響している。特に、国内市場の4割強を占める1トンピックアップは28.5%減と縮小幅が特に大きかった(表2参照)。背景には、国内で主にピックアップトラックを購入する農家などが自動車ローンを借りづらくなったことがある。現在(2024年5月)、タイの金融政策は引き締め傾向にあり、タイ中央銀行は、コロナ禍で0.5%に維持していた政策金利を2022年8月以降、段階的に引き上げ、2023年9月には2.5%とした。加えて、タイ国内では、家計債務の対GDP比が拡大傾向にあり、自動車ローンや住宅ローンを中心に不良債権が増加しているため、金融機関のローン審査も厳しくなっている。
セグメント | 2021年 | 2022年 | 2023年 | ||
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台数 | 台数 | 台数 | 構成比 | 伸び率 | |
乗用車 | 230,794 | 265,123 | 292,384 | 37.7 | 10.3 |
商用車 | 507,319 | 584,265 | 483,396 | 62.3 | △ 17.3 |
1トンピックアップ | 393,476 | 454,875 | 325,024 | 41.9 | △ 28.5 |
2~4トントラック | 14,947 | 15,040 | 13,509 | 1.7 | △ 10.2 |
4トン超トラック・バス | 16,196 | 16,190 | 14,173 | 1.8 | △ 12.5 |
四輪駆動車 | 70,939 | 82,921 | 114,608 | 14.8 | 38.2 |
その他 | 11,761 | 15,239 | 16,082 | 2.1 | 5.5 |
合計 | 759,119(注) | 849,388 | 775,780 | 100.0 | △ 8.7 |
注:2021年には、セグメント不明の販売が2万1,006台分あった。合計には、これが含まれている。
出所:FTI資料に基づきブラック ジャック 勝ち 方作成
他方で、乗用車については、BEVなどの販売が拡大したため、前年比10.3%と拡大した。BEVの買い手は主に富裕層となっており、自動車ローンなしでも購入可能である。また、ローン審査も通りやすい。そのため、金融引き締めの影響は限定的となっている。
国内販売市場では日系がシェアを1割失う結果に
トヨタ・モーター・タイランド(TMT)の発表データに基づき、2023年のメーカー別の自動車市場シェア(販売台数)をみると、首位はトヨタで26万5,949台(構成比34.3%)、2位のいすゞが15万1,935台(同19.6%)、3位のホンダが9万4,336台(同12.2%)と続く。日系メーカーが上位3位を占めており、日系ブランドが市場全体に占める構成比は77.8%となった(表3参照)。依然として高い水準ではあるものの、2019~2021年では87~88%と9割近くを占めていたことと比べると、2年で10ポイント強のシェアを失ったとも言える。
ブランド | 2021年 | 2022年 | 2023年 | ||
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台数 | 台数 | 台数 | 構成比 | 伸び率 | |
トヨタ | 239,723 | 288,809 | 265,949 | 34.3 | △ 7.9 |
いすゞ | 184,160 | 212,491 | 151,935 | 19.6 | △ 28.5 |
ホンダ | 88,692 | 82,842 | 94,336 | 12.2 | 13.9 |
三菱自動車 | 47,188 | 50,385 | 32,668 | 4.2 | △ 35.2 |
マツダ | 35,384 | 31,638 | 16,544 | 2.1 | △ 47.7 |
日産 | 29,696 | 22,521 | 16,423 | 2.1 | △ 27.1 |
スズキ | 22,378 | 20,083 | 12,151 | 1.6 | △ 39.5 |
日野自動車 | 13,840 | 14,339 | 11,763 | 1.5 | △ 18.0 |
スバル | 2,953 | 2,282 | 1,682 | 0.2 | △ 26.3 |
日系ブランド計 | 664,014 | 725,390 | 603,451 | 77.8 | △ 16.8 |
フォード | 32,388 | 43,628 | 36,483 | 4.7 | △ 16.4 |
BYD | — | 312 | 30,432 | 3.9 | 9,653.8 |
MG | 31,005 | 27,293 | 27,311 | 3.5 | 0.1 |
NETA | — | 1,019 | 13,836 | 1.8 | 1,257.8 |
GWM | 3,702 | 11,616 | 13,039 | 1.7 | 12.3 |
現代自動車 | 3,096 | 4,686 | 5,550 | 0.7 | 18.4 |
合計(その他含む) | 759,119 | 849,388 | 775,780 | 100.0 | △ 8.7 |
注:FTI発表のデータと数字が異なる。
出所:トヨタ・モーター・タイランド(TMT)
日系がシェアを落とした理由は、1つには、主力とするピックアップトラック市場が冷え込み、同セグメントで高いシェアを持つトヨタ、いすゞ、三菱自動車が影響を受けたことが挙げられる。
もう1つは、タイにおけるバッテリー式電気自動車(BEV)への補助金政策の導入により、中国製BEVの販売が拡大したことがある(ブラック ジャック やり方 カジノEV・車載電池企業の海外戦略ブラック)。タイ政府は国内BEV市場の形成のため、2022~2023年にBEV1台当たり7万~15万バーツ(約30万~65万円、1バーツ=約4.3円)の販売補助金を支給した。同補助金は、将来的なタイでのBEV現地生産を条件として支給されるもので、これに応じた複数の中国自動車メーカーは、中国から輸入したBEVを低価格で販売することができ、国内市場での販売増と、急激なシェア拡大に成功した。
結果、BYDの自動車販売台数は、前年比97.5倍の3万432台(構成比3.9%)で6位、MG(上海汽車のブランド)は2万7,311台(同3.5%)で7位とそれぞれ躍進し、マツダ、日産を上回った。また、NETA(哪吒汽車のブランド)やGWM(長城汽車のブランド)もそれぞれ1万3,000台を超えており、スズキのシェアを上回る格好となった。
輸出台数は堅調な伸びが継続
2023年の自動車輸出台数は、前年比11.7%増の111万7,539台と堅調に増加した。長期でみると、2015~2016年にピーク(約120万台)を迎え、2018年ごろまで好調が続いた。その後は減少し、新型コロナ禍の2020年には約74万台と底を打った。そして、V字回復し、2023年はコロナ前の水準に戻っている(図4参照)。また、直近の2024年第1四半期は、前年同期比1.2%減(27万525台)と横ばいであり、2024年も前年並みの輸出台数が期待されている。
タイからの自動車輸出の仕向け地としては、アジア(29%)やオセアニア(27%)、中東(19%)で全体の75%を占める。2023年は、オセアニア、中東への輸出が好調だった。
2024年の生産台数は増加を見込む
現地経済紙の「ネーション」(2024年4月25日付)によると、FTIは2024年の自動車生産台数の見通しについて、約190万台と予測している。タイ国内でBEVの現地生産が開始されるため、2023年実績から6万台増加すると見込む。また、バンコク日本人商工会議所(JCC)が2024年2月15日に開催した新年景気討論会では、JCC自動車部会が2024年の国内販売台数を前年比3%減~3%増の75万台~80万台、輸出台数を3%増の115万台と予測している。
他方、2024年1~3月の生産台数は18.4%減と大幅に減少しており、FTIの見通し達成を楽観視できない状況が続いている。厳しい与信管理による自動車ローンの縮小、ピックアップトラックを中心とした国内市場の販売減といった状況が好転していないのが現状だ。また、BEV販売についても、2024年から多くの中国メーカーによる現地生産が本格化するとはいえ、政府によるBEV購入に対する補助金は、同年以降、従来の1台あたり7万~15万バーツから、5万~10万バーツへと減額されている(EV普及策「EV3.5」を閣議決定、ブラック、注)。各社が現地生産に踏み切ったとしても、消費者が期待するほど販売価格が下がるかは不明だ。タイ地場大手自動車部品メーカーの幹部によると、「今後数年は、BEVやガソリン車を含め、厳しい市場環境が続くと思わざるを得ない」という。
タイの自動車輸出は、ピックアップトラックの高い競争力に支えられている面がある。自動車業界の関係者からは、ピックアップトラックの国内販売が低迷し続ければ、生産のスケールメリットを得られず、輸出競争力も落ちていく、という指摘もある。こうした中、セター・タビシン政権は、金融機関に対して、個人や中小企業向けの融資については利下げを求めるなどの対応を行っている。また、タイ政府によれば、政権の目玉政策である国民へのデジタル通貨「デジタルウォレット」の支給は、2024年中に行われる予定だ()。その他、外国人観光客誘致の推進策を通じた景気浮揚策により、年後半の景況感の回復と自動車市場の拡大が期待される。
- 注:
- ただし、2022年に発表された「EV 3.0」恩典での認定を取得していた場合は、2024年、2025年に国内生産したBEVは7万~15万バーツの補助金が受けられる(2022年6月22日付ビジネス短信参照)
- 執筆者紹介
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ブラック ジャック 勝ち 方・バンコク事務所
北見 創(きたみ そう) - 2009年、ブラック ジャック 勝ち 方入構。海外調査部アジア大洋州課、大阪本部、ブラック ジャック 勝ち 方・カラチ事務所、アジア大洋州課リサーチ・マネージャーを経て、2020年11月からブラック ジャック 勝ち 方・バンコク事務所で広域調査員(アジア)として勤務。