2021年の自動車販売台数は前年比32.8%増、エコカーは約3倍(コロンビア)

2022年7月20日

コロンビア自動車協会(ANDEMOS)によると、2021年の新車販売(登録)台数は25万497台で、前年比32.8%増だった。エコカー販売は政府や自治体の優遇措置が功を奏し、前年の約3倍に拡大した。2021年のコロンビア経済は、経済再開と新型コロナワクチン接種の加速により消費者心理が改善。消費者信頼感指数(注1)は1月にはマイナス20.8%だったが、政府の税制改革案に端を発した全国規模のデモが収まった7月以降はマイナス1桁台まで改善した。特に耐久消費財の購入意欲を示す消費者期待感指数は同月以降プラスに転じ、自動車市場も大幅に回復した。

販売台数をブランド別にみると、首位は2020年に続きルノーで、4万8,032台(シェア:19.2%)だった。次いで、ゼネラルモーターズ(GM)のシボレー(注2)が3万4,624台(13.8%)。3位から5位には、2万3,947万台(9.6%)でマツダ、2万179台(8.1%)で日産、1万9,131台(7.6%)でトヨタと、日系メーカーが続いた。そのほかの日系メーカーでは、7位にスズキ(前年:8位)、15位に日野自動車(同位)、16位にホンダ(同位)が名を連ねた(表1参照)。

表1:ブランド別新車販売(登録)台数(単位:台、%)(―は値なし)
順位 ブランド 国名 2020年
販売台数
2021年
販売台数 シェア 前年比
1 ルノー フランス 39,864 48,032 19.2 20.5
2 GM(シボレー) 米国 33,790 34,624 13.8 2.5
3 マツダ 日本 16,092 23,947 9.6 48.8
4 日産 日本 14,170 20,179 8.1 42.4
5 トヨタ 日本 12,471 19,131 7.6 53.4
6 起亜 韓国 12,493 17,731 7.1 41.9
7 スズキ 日本 7,696 15,062 6.0 95.7
8 フォルクスワーゲン ドイツ 9,600 14,019 5.6 46.0
9 フォード 米国 6,668 7,667 3.1 15.0
10 現代 韓国 3,358 7,194 2.9 114.2
11 福田汽車(FOTON) 中国 2,781 3,770 1.5 35.6
12 メルセデス・ベンツ ドイツ 3,209 3,673 1.5 14.5
13 BMW ドイツ 2,497 3,301 1.3 32.2
14 安徽江淮汽車(JAC) 中国 2,262 2,910 1.2 28.6
15 日野自動車 日本 1,954 2,513 1.0 28.6
16 ホンダ 日本 1,704 2,081 0.8 22.1
17 プジョー フランス 1,248 1,877 0.7 50.4
18 シトロエン フランス 1,054 1,678 0.7 59.2
19 ジープ 米国 1,071 1,560 0.6 45.7
20 アウディ ドイツ 885 1,486 0.6 67.9
その他 なし 13,798 18,062 7.2 30.9
合計 188,665 250,497 100.0 32.8

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

また、エコカーの販売は大幅に伸びた。ハイブリッド車(HEV)と電気自動車(EV)などの販売台数は1万7,702台で、前年の約3倍になった。内訳は、HEVが約3.5倍の1万4,694台、EVが1,712台(約3.7倍)、プラグインハイブリッド車(PHEV)は1,296台(0.9%減)だった(表2参照)。メーカー別では、トヨタが6,960台でトップ(シェア:39.3%)。次いで、スズキ(13.1%)、フォード(8.9%)と続いた(表3参照)。

表2:エコカー販売(登録)台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
種類 2020年 2021年 前年比
ハイブリッド車(HEV) 4,229 14,694 247.5
電気自動車(EV) 468 1,712 265.8
プラグインハイブリッド車(PHEV) 1,308 1,296 △ 0.9
合計 6,005 17,702 194.8

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

表3:ブランド別エコカー販売(登録)台数 (単位:台、%) (△はマイナス値、―は値なし)
順位 ブランド 2020年
販売台数
2021年
販売台数 シェア 前年比
1 トヨタ 1,917 6,960 39.3 263.1
2 スズキ 2,314 13.1
3 フォード 713 1,584 8.9 122.2
4 起亜 955 1,431 8.1 49.8
5 メルセデス・ベンツ 528 1,390 7.9 163.3
6 スバル 45 677 3.8 1,404.4
7 アウディ 54 615 3.5 1,038.9
8 BMW 290 521 2.9 79.7
9 ボルボ 77 481 2.7 524.7
10 BYD 467 370 2.1 △ 20.8
その他 959 1,359 7.7 41.7
合計 6,005 17,702 100.0 194.8

出所:コロンビア自動車協会(ANDEMOS)

コロンビアでは、エコカーは自動車税減税、保険料割引などの優遇措置の対象となっている。ボゴタ市は、2020年11月8日付評議会合意第780号でエコカーへの税制優遇を制定。2021年から2030年までの間、自動車税が電気自動車は60%、ハイブリッド車は40%、購入から5年間割引となる。また同市では、渋滞緩和を目的として2022年1月11日以降の月曜日~金曜日、ナンバープレート末尾番号が奇数の車は奇数日に、偶数の車は偶数日に、午前6時~午後9時の利用ができなくなったが、エコカーは規制の対象外となることが定められた(2022年5月10日付条例183号)。税制優遇による後押しに加え、平日に毎日、自家用車を利用できる利便性を求め、今後もエコカー市場は拡大していくとみられる。


注1:
消費者の経済状況や今後の見通しなどに関する5つの質問項目のDI値(良いと回答した割合-悪いと回答した割合)を平均した値。
注2:
GMが展開する他ブランドとの差別化のため、表では「GM(シボレー)」と表記した。
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執筆者紹介
ジェトロ・ボゴタ事務所
茗荷谷 奏(みょうがだに かな)
2016年、ジェトロ入構。ジェトロ・ボゴタ事務所で管理・渉外・調査を担当。