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新型コロナ前の水準回復には時間を要する見通し
2022年9月7日
2021年、ブラック ジャック カード ゲーム約170万台。前年比約2割増で、回復が確認された。2022年上半期も、前年同期比3%と微増ながら増加が継続。通年では180万台を見込む。
一方、2021年の販売台数は、国内経済の悪化により振るわなかった。ただし、2022年に入って回復がみられる。対照的に、輸出台数は2021年に拡大し、2022年上半期は微減だった。
国内市場では、日系ブランドのシェアは9割弱と依然として高い。しかし、非日系の販売が拡大し、シェアを奪われる展開になっている。
2021年の生産台数は18.1%増
タイ工業連盟(FTI)によると、ブラック ジャック カード ゲーム2021年、前年比18.1%増の168万5,705台だった。タイでは2012~2013年の2年間、インラック政権下で年間の自動車生産台数が250万台前後に拡大した。しかし、2014~2019年の6年間は200万台前後で推移。さらに2020年は、150万台を下回る水準に急減。その理由はもちろん、新型コロナウイルス感染拡大だ。
しかし2021年に入ると一転して、前年から約25万台増えた。生産台数は2022年に入ってからも回復傾向にある。同年上半期(1~6月)は、前年同期比3.0%増の87万109台になっている(図1参照)。
新型コロナが発生した当初の2020年4~5月は月産約2万~3万台と、タイで大洪水が起こった2011年11月以来の低水準だった。同年6月~9月には約5万~6万台に回復した。コロナ禍にさいなまれながらも、2020年10月ごろから2021年3月ごろまでは約7万~10万台と、自動車生産は堅調だった。しかし、2021年4月からデルタ株を中心に感染が拡大し始めた。これでブレーキがかかり、感染者数がピークを迎えた8月ごろに生産台数が5万台強と再び低水準に陥った。感染が最も深刻だったこの時期には、自動車部品メーカー(Tier1、Tier2)の工場でクラスターが発生。サプライヤーの生産が止まったのに引きずられるかたちで、完成車メーカーなどが操業停止に追い込まれる事態も発生した。タイでは日系企業からは、対応に苦慮する声が聞かれた(注)。
新型コロナウイルス感染がピークアウトした2021年9月以降、自動車メーカーは遅れを取り戻すべく、フル稼働生産を試みた。しかし、(1)マレーシアやベトナムの工場の操業停止に伴う半導体供給の停止や、(2)世界的な素材・部品不足(とくに半導体)、(3)中国の電力不足による同国からの部品供給の遅滞、などの影響も受けた。そのため、生産調整・減産に至ったケースもみられた。このように、2021年は、需要はあっても素材・部品の調達や生産体制の確保が要因となり、生産に困難が伴う時期が長かったとみられる。
2021年の自動車生産をセグメント別にみた場合、乗用車が10.6%増の59万4,690台、商用車は22.7%増の109万1,015台に拡大した。構成比では、乗用車と商用車の比率が35:65になった(表1参照)。
項目 |
2019年 台数 |
2020年 台数 |
2021年 | ||
---|---|---|---|---|---|
台数 | 構成比 | 伸び率 | |||
乗用車 | 795,254 | 537,633 | 594,690 | 35.3 | 10.6 |
1,500cc以下 | 549,633 | 387,371 | 437,211 | 25.9 | 12.9 |
1,501cc~1,800cc | 131,496 | 78,848 | 85,382 | 5.1 | 8.3 |
1,801cc~2,000cc | 44,527 | 25,776 | 20,017 | 1.2 | △ 22.3 |
2,000cc超 | 28,610 | 14,815 | 12,585 | 0.7 | △ 15.1 |
その他 | 40,988 | 30,823 | 39,495 | 2.3 | 28.1 |
商用車 | 1,218,456 | 889,337 | 1,091,015 | 64.7 | 22.7 |
ピックアップ | 1,178,026 | 861,449 | 1,050,202 | 62.3 | 21.9 |
その他トラック | 31,085 | 22,847 | 35,630 | 2.1 | 56.0 |
小型・大型バス | 9,345 | 5,041 | 5,183 | 0.3 | 2.8 |
合計 | 2,013,710 | 1,426,970 | 1,685,705 | 100.0 | 18.1 |
出所:タイ工業連盟(FTI)
乗用車部門では、排気量1,801cc~2,000ccは22.3%減の2万17台、2,000cc超が15.1%減の1万2,585台といずれも減少した。対照的に、小型乗用車の1,500cc以下は、12.9%増の43万7,211台。1,501cc~1,800ccも、8.3%増の8万5,382台と伸びた。
商用車部門では、主力のピックアップが21.9%増の105万202台。その他のトラックも、56.0%増の3万5,630台と好調だった。
国内販売は低調
FTIによると、2021年にタイの自動車国内販売台数は4.2%減の75万9,119台だった。過去のトレンドをみると、2012~2013年、一時的に年間約130万台~約140万台まで国内販売台数が拡大した(図2参照)。その原因は、この時期に導入されていたファーストカー減税制度にある。しかしこの制度は、需要の先食いにつながっただけかもしれない。結果的に、2014~2017年は約80万台前後で低迷した。2018~2019年は年間100万台程度まで回復した。そこに、新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちをかける。2020年は80万台を割りこんだ。2021年はさらに悪化。過去11年で最低に落ち込んだ。
もっとも、直近の2022年上半期には明るい兆しも。当期は、前年同期比14.5%増の42万7,399台を記録している。
2021年に国内自動車販売が振るわなかった要因としては、国内経済が十分に回復していなかったことが挙げられよう。タイでは、2020年より2021年の方が、新型コロナウイルス感染が拡大した。2020年中は1日当たりの感染者数は多くて数百人程度。しかし、2021年のピーク期には、2万人を超えた。商業施設での販売や飲食店の営業など、消費行動が制限されることもあった。
タイの実質GDP成長率をみると、2020年はマイナス6.2%。2021年は1.6%とプラスにはなった。しかし、近隣諸国が3%~5%台で回復するのと比べると、ペースが遅かったと言わざるを得ない。その要因としては、(1)タイ経済を支えていた観光収入が新型コロナ禍以前に比べて著しく減少していることや、(2)近隣諸国で半導体や資源・エネルギーの輸出が増えたのと対照的に、好材料に乏しかったこと、が挙げられる。
セグメント別に国内販売台数をみると、構成比で約3割を占める乗用車が16.0%減の23万794台と落ち込んだ(表2参照)。構成比で約7割を占める商用車についても、微減。1.9%減の50万7,319台だった。商用車では、積載量4トン超のトラック・バスは50.9%増の1万6,196台、2~4トントラックは19.9%増の1万4,947台と好調だった。しかし、国内市場の半分以上を占める1トンピックアップは、3.9%減の39万3,476台と振るわなかった。
項目 |
2019年 台数 |
2020年 台数 |
2021年 | ||
---|---|---|---|---|---|
台数 | 構成比 | 伸び率 | |||
乗用車 | 398,386 | 274,789 | 230,794 | 30.4 | △ 16.0 |
商用車 | 609,166 | 517,357 | 507,319 | 66.8 | △ 1.9 |
1トンピックアップ | 492,129 | 409,463 | 393,476 | 51.8 | △ 3.9 |
2~4トントラック | 12,416 | 12,467 | 14,947 | 2.0 | 19.9 |
4トン超トラック・バス | 15,063 | 10,730 | 16,196 | 2.1 | 50.9 |
四輪駆動車 | 70,252 | 68,705 | 70,939 | 9.3 | 3.3 |
その他 | 19,306 | 15,992 | 11,761 | 1.5 | △ 26.5 |
合計 | 1,007,552 | 792,146 | 759,119 | 100.0 | △ 4.2 |
出所:タイ工業連盟(FTI)
ここで、トヨタ・モーター・タイランド(TMT)が発表しているデータを用いて、2021年のブランド別の販売台数シェアを見る。1位がトヨタで23万9,328台(構成比31.5%)。2位はいすゞで18万4,160台(同24.3%)、3位ホンダ8万8,692台(同11.7%)、4位は三菱自動車4万7,188台(同6.2%)、5位マツダ3万5,384台(同4.7%)だった。上位5ブランドを日系が占めている(表3参照)。その構成比は、87.4%になった。
項目 |
2019年 台数 |
2020年 台数 |
2021年 | ||
---|---|---|---|---|---|
台数 | 構成比 | 伸び率 | |||
トヨタ | 331,878 | 243,784 | 239,328 | 31.5 | △ 1.8 |
いすゞ | 168,215 | 181,194 | 184,160 | 24.3 | 1.6 |
ホンダ | 125,833 | 93,041 | 88,692 | 11.7 | △ 4.7 |
三菱自動車 | 88,244 | 57,409 | 47,188 | 6.2 | △ 17.8 |
マツダ | 58,129 | 39,266 | 35,384 | 4.7 | △ 9.9 |
フォード | 50,006 | 29,900 | 32,388 | 4.3 | 8.3 |
MG | 26,516 | 28,316 | 31,005 | 4.1 | 9.5 |
日産 | 64,414 | 44,558 | 29,696 | 3.9 | △ 33.4 |
スズキ | 23,908 | 25,528 | 22,378 | 2.9 | △ 12.3 |
日野自動車 | 12,359 | 10,309 | 13,840 | 1.8 | 34.3 |
現代自動車 | 5,050 | 2,984 | 3,096 | 0.4 | 3.8 |
スバル | 3,649 | 1,715 | 2,953 | 0.4 | 72.2 |
BMW | 12,528 | 12,390 | 2,533 | 0.3 | △ 79.6 |
メルセデス・ベンツ | 15,087 | 10,613 | 2,470 | 0.3 | △ 76.7 |
起亜自動車 | 2,470 | 1,202 | 1,612 | 0.2 | 34.1 |
ポルシェ | 931 | 671 | 1,382 | 0.2 | 106.0 |
合計 | 1,007,552 | 792,146 | 759,051 | 100.0 | △ 4.2 |
(参考)日系ブランド | 876,629 | 696,804 | 663,619 | 87.4 | △ 4.8 |
注:FTI発表のデータと数字が異なる。
出所:トヨタ・モーター・タイランド(TMT)
日系ブランドのシェアは依然として高い。しかし、日系ブランド全体では、前年比4.8%減の66万3,619台と減少した。一方、フォードが8.3%増の3万2,388台、MG(上海汽車)が9.5%増の3万1,005台と伸びた。非日系自動車メーカーが徐々に販売を拡大し、日系のシェアを奪っている。特に電気自動車(EV)などでは中国系メーカーの存在感が大きい。昨今、タイ国内で開催されるモーターショーなどでも、非日系メーカーのプロモーション・販売強化の動きが目立つ(2021年のタイの中国系自動車メーカーやEV市場に関しては、ブラック ジャック やり方、特集:アジア大洋州で加速する電気ブラック ジャック)
輸出はV字回復
2021年、タイの自動車輸出台数は、前年比30.4%増の95万9,194台。V字回復を示した。過去のトレンドをみると、2015~2016年に自動車輸出はピークを迎え(約120万台)、2018年まで好調に推移していた。一方で、2019年から下降基調になっている(図3参照)。直近の2022年上半期は、前年同期比5.0%減。44万9,644台だった。
自動車輸出の仕向け地としては、ASEANや中国といったアジア、オセアニアが多い。続いて、欧州、中東の順になっている。2021年はベトナム、インドネシア、フィリピンなど東南アジアの主要市場で、自動車販売が回復した。オセアニアでも、オーストラリアで新車販売台数が100万台超(特集:アジア大洋州で加速する電気自動車の普及の取り組み2021年EV販売台数大幅増、ブラック)。ニュージーランドでも回復がみられた。
2022年、生産台数が180万台に増加する見通し
現地紙「バンコク・ポスト」(2022年5月24日付)によると、FTIは2022年の自動車生産台数について、180万台と予想している。なお、この見通しは2021年末時点から変わっていない。2021年から10万台強の増加(前年比7%増)を見込んだかたちだ。2022年に入り、外国からの観光客受け入れ再開の本格化や新型コロナ対策の行動制限の撤廃により、国内経済や消費に回復の兆しがみられる。
他方、FTIによると、半導体不足による工場の停止や、中国のゼロコロナ政策による材料不足といったマイナス要因がある。加えて、ロシアのウクライナ侵攻に端を発するエネルギー価格高騰により、タイ国内でも物価が上昇。消費者の生活費が上昇することにより、自動車の購買力低下が懸念されている。また、今後予想される金利の引き上げにより、自動車ローンを控える影響も考えられる。
このように、当地の自動車産業をめぐってはプラス、マイナス両面の材料がある。総じて、2018~2019年の水準に戻るには、しばらく時間がかかるとみてよいだろう。
- 注:
- タイでは近隣国に比べ、生産現場に配慮した感染防止策が取られたと言われる。実際、政府による強制的な工場の操業停止などといった措置は、実施されなかった。それでも、影響が避けられなかったかたちだ。
- 執筆者紹介
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ジェトロ・バンコク事務所
北見 創(きたみ そう) - 2009年、ジェトロ入構。ブラック ジャック カード ゲーム調査部アジア大洋州課、大阪本部、ジェトロ・カラチ事務所、アジア大洋州課リサーチ・マネージャーを経て、2020年11月からジェトロ・バンコク事務所で広域調査員(アジア)として勤務。