ブラック ジャック ゲーム ルール
「Chirori – Robata & Sake Pairing」オーナーへインタビュー
2020年2月14日
米国南東部の中心都市アトランタで、日本食や日本の飲食店の人気が着実に高まりつつある。最近では、2017 年にくら寿司、2018年に牛角、2019年にはシュークリーム専門店のビアードパパがオープンし、日本の有名飲食店の進出が続いた。また、ロサンゼルス発のつけ麺専門店の「Okiboru Ramen」も2020年1月にオープンするなど、西海岸の日本食ビジネスも、アトランタ市場に徐々に参入してきている。ちなみに同店は、2019年カリフォルニア版ミシュランガイドにも掲載されている。
そんな中、ブラック ジャック ゲーム ルール掲げて、2019年にオープンしたレストラン「Chirori – Robata & Sake Pairing」が人気を博している。このレストランは、アトランタで日本食レストラン「Wagaya」を2店舗経営するMGK ホスピタリティが、2019年7月にオープンしたもの。同社の大塚隆・最高経営責任者(CEO)にペアリングの狙いやアトランタの消費者の嗜好(しこう)などについて聞いた(2020年1月22日)。
日本酒と料理のペアリングを前面に打ち出すスタイル
10代の頃から、アトランタで親族が経営するレストランで勤務経験のある大塚氏は、2015年に独立して「Wagaya」をオープンした。一方でそれ以前から、「顧客にお酒を楽しんでもらえる場」を提供する店舗を構えたい、と考えていたという。加えて、良いお酒を存分に味わってもらうにはそれに合った料理の存在が不可欠であるという考えから、日本酒と料理のペアリングをコンセプトとした「Chirori – Robata & Sake Pairing(以下Chirori)」をオープンするに至った。Wagayaがリーズナブルな日本食レストランである一方で、Chiroriはハイエンドな日本酒と料理を楽しめるレストランという位置付けで、それぞれが異なる顧客層をターゲットとしている。
店名自体にも含まれているように、日本酒とのペアリングを前面に打ち出したレストランは、アトランタでは他に類を見ない斬新なスタイルである。Chiroriのメニュー表(517KB)では、左側に料理、右側に日本酒が記載され、料理と日本酒のペアリングを分かりやすく紹介している。一般的に、飲み物と料理のメニューが分かれており、飲み物を注文した後で別に料理を決める、という形式がレストランでは多い中で、大塚氏は「飲み物と食べ物の相性が合わない場合もある。Chiroriでは日本酒と料理をペアリングとしてセットでオーダーしてもらうことで、双方のおいしさが引き出された味わいを楽しんでもらうことができる」と語る。
日本酒と日本食以外の料理のペアリング
現在、Chiroriで提供している日本酒の種類は30銘柄ほど。それぞれの日本酒に対する料理のペアリングを、大塚氏自らが考案しているが、中には料理が先に固まり、それに合う日本酒を探して決めることもあるという。ペアリングとなる料理は、備長炭を使った炉端焼きスタイルで提供する焼き鳥、和牛や、刺し身に代表されるオーセンティックな日本食もあれば、Chiroriのユニークな点として、パルメザンチーズを入れたリゾットや、カキ、生ハムなどの日本食以外の料理もペアリングとして提供している。大塚氏は、Chiroriを通じて伝えたいメッセージの1つとして、「日本酒は日本食以外の料理とも合うこと」を挙げている。地元の消費者に対して、日本酒は寿司(すし)などの日本食に合わせるだけでなく、日本食以外の料理との相性の良さを認識してもらうことで、日本酒消費者の拡大につながると強調する。
人気のペアリングは樽酒×キムチ
大塚氏によれば、オープン以来、客層は地元の米国人が大半で、日本食や日本酒を良く知っている人も多い。普段からペアリングを試しているワイン愛好家も来店するそうで、いずれの顧客からもChiroriでのペアリング提案は非常に好評で、新たな発見だと口にする人も多いとのこと。
店の看板メニューの1つが、3種類の日本酒を、ペアリングとなる食材と一緒に飲み比べて楽しめる 「Flight Pairing」。その中でも、最も人気があるペアリングが「樽酒×キムチ」である。樽酒(たるざけ)のパンチのある味わいと特有の香りが、キムチと一緒になると、まろやかで甘みのある味わいを生み出すという。もう1つは「古酒×ダークチョコレート」。古酒特有のほのかな甘みと酸味が、ダークチョコレートの苦みと合わさって絶妙の組み合わせとの評判だ。
日本人のシェフ不足がアトランタにおける業界全体の課題
Chiroriでは、オープン以降、日本の酒造メーカーや在米の酒ソムリエによる試飲イベントなどの日本酒のプロモーション企画を定期的に実施してきている。
大塚氏は、2015年にWagayaをオープンして以降の地元の米国人の変化について、「2015年の時点でラーメンは既に人気があったが、ここ数年でアトランタ自体の人口増もあって、日本食、日本酒を試したいという層が確実に増えてきている。加えて、例えば、親子丼の上に乗せる半生の卵に抵抗感を持たれなくなったなど、日本特有の食文化も浸透してきている」と語る。
その中で、大塚氏が業界全体の課題として感じている点が、日本人のシェフ不足だ。「アトランタで日本食や日本酒を楽しめるレストランの需要は非常に高い。日本食レストランの競合が激しいニューヨークやロサンゼルスと比べて、アトランタには潜在的なビジネスチャンスがある一方で、日本人シェフが圧倒的に不足している」とし、「ブラック ジャック ゲーム ルールでのレストラン勤務経験に関心のある日本の若手シェフにはぜひ積極的にアトランタでチャレンジしてほしい」と期待を述べた。
- 執筆者紹介
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ジェトロ・アトランタ事務所
石田 励示(いしだ れいじ) - 2009年、ジェトロ入構。ジェトロ松江、農林水産・食品部などを経て、2018年4月から現職。