急拡大するブラック ジャック 賭け 方市場、外資の参入続く(カンボジア)
現状を点検、課題と見通しを分析

2018年8月2日

カンボジアのブラック ジャック 賭け 方市場が急拡大している。2016年まで生命ブラック ジャック 賭け 方4社、損害ブラック ジャック 賭け 方7社だった市場に、2017年の1年間で生命ブラック ジャック 賭け 方3社、損害ブラック ジャック 賭け 方4社が新たに参入した。この他、日系企業も、第一生命ホールディングスが2018年度中の営業開始を目指しており、100人規模の従業員を雇用し、3,800万ドル近くを投資する予定という。

相次ぐ参入の背景には、形成されて日が浅いブラック ジャック 賭け 方市場において、法整備が進められ参入要件が明確になったこと、高い経済成長を続ける中、ブラック ジャック 賭け 方料収入が大きく伸びている状況などがある。

ブラック ジャック 賭け 方市場参入はブラック ジャック 賭け 方法に準拠

カンボジアのブラック ジャック 賭け 方市場は、「ブラック ジャック 賭け 方法(Law on Insurance)」の要件を順守すれば参入が可能だ。ブラック ジャック 賭け 方法は、ブラック ジャック 賭け 方の管理、ブラック ジャック 賭け 方加入者の正当な権利の保護、ブラック ジャック 賭け 方業に対する管理と統制の強化、ブラック ジャック 賭け 方業発展への寄与を目指して2000年6月20日に成立した。

ブラック ジャック 賭け 方法によると、カンボジアにおいてはブラック ジャック 賭け 方会社、ブラック ジャック 賭け 方代理店およびブラック ジャック 賭け 方ブローカーのみがブラック ジャック 賭け 方業を営むことができる(第4条)。そして、ブラック ジャック 賭け 方会社は国営、民間、ジョイントベンチャーいずれの場合であっても、公開有限会社(注1)の形態でなければブラック ジャック 賭け 方業を営むことはできない(第45条)。また、ブラック ジャック 賭け 方事業を営むためには以下の登録資本金を準備する必要がある(第46条)。

  • 生命ブラック ジャック 賭け 方会社、損害ブラック ジャック 賭け 方会社は、ライセンス付与日の為替レートで500万SDR(注2)に相当するリエル通貨。
  • 生損保両方の取り扱いをするブラック ジャック 賭け 方会社は、ライセンス付与日の為替レートで1,000万SDRに相当するリエル通貨。
    さらに、ブラック ジャック 賭け 方事業を開始する前に、ライセンスを受けたブラック ジャック 賭け 方会社は以下の事項を証明する文書を経済財政省(MEF)に提出しなければならない(第48条)。
  • 登録資本金の10%相当の保証金を積んでいること。
  • 登録資本金の50%に相当する支払能力が維持されていること。

なお、最初のライセンスはその発効日から5年間有効で、ライセンス料は5,000万リエルである。

ブラック ジャック 賭け 方市場は1993年以降に形成

カンボジアのブラック ジャック 賭け 方市場は、1993年にMEFが設立した損害ブラック ジャック 賭け 方会社であるカンボジア国立ブラック ジャック 賭け 方会社 (CAMINCO) が事業を開始し形成された。その後、香港系で日本の損害ブラック ジャック 賭け 方会社が一部出資しているアジアインシュアランスと、シンガポール系で現在カンボジア損害ブラック ジャック 賭け 方市場最大手のフォルテインシュアランスが1996年に事業を開始、2007年には、マレーシア資本のカンプロンパックインシュアランスと、カンボジア地場資本のブラック ジャック 賭け 方会社では国内最大であるインフィニティ総合ブラック ジャック 賭け 方が設立された。

生命ブラック ジャック 賭け 方市場については、2012年にMEFと外資生保4社の合弁でカンボジア生命が国内初の生命ブラック ジャック 賭け 方会社として事業を開始。その2カ月後にカナダのマニュライフが生保市場に参入、また同年、カンボジア最大のアクレダ銀行と提携しているプルデンシャル生命も参入した。2015年にはカナディア銀行系の投資会社とタイの生命ブラック ジャック 賭け 方会社の合弁でソバンナプム生命が設立、同社は各種ローンに付帯する団体信用生命ブラック ジャック 賭け 方や学資ブラック ジャック 賭け 方を扱っている。

生命ブラック ジャック 賭け 方7社、損害ブラック ジャック 賭け 方11社が競合

MEFによると、カンボジアでブラック ジャック 賭け 方業に関連している会社は代理店含め、現在57社に上り、総ブラック ジャック 賭け 方料収入は1億1,200万ドルである。57社の内訳は生命ブラック ジャック 賭け 方7社、損害ブラック ジャック 賭け 方11社、マイクロブラック ジャック 賭け 方8社、相互ブラック ジャック 賭け 方12社、ブラック ジャック 賭け 方代理店16社、再ブラック ジャック 賭け 方1社、リスク評価2社となっている。生命ブラック ジャック 賭け 方会社および損害ブラック ジャック 賭け 方会社をみると、生保、損保とも外国資本のブラック ジャック 賭け 方会社が多く、カンボジアブラック ジャック 賭け 方市場の成長を見越し外国から市場に参入する流れが続いていることがわかる(表1、2参照)。

表1:生命ブラック ジャック 賭け 方会社一覧
会社名 設立 資本 備考
ブラック ジャック 賭け 方生命 2012 ブラック ジャック 賭け 方 MEF、生保4社(インドネシアのセントラルアジア生命、香港のアジアインシュアランス、タイのバンコク・ライフ・アシュアランス、バンコク生命)の合弁会社。2015年にロイヤルグループ が株式100%取得。
マニュライフ生命ブラック ジャック 賭け 方 2012 カナダ ブラック ジャック 賭け 方生命設立2カ月後に事業開始。
プルデンシャル生命ブラック ジャック 賭け 方 2012 イギリス ブラック ジャック 賭け 方最大の銀行アクレダ銀行と提携。
ソバンナプム生命ブラック ジャック 賭け 方 2015 ブラック ジャック 賭け 方
タイ
カナディアインベストメントホールディングと タイのムアンタイ生命の合弁会社。
バンコク・ライフ・アシュアランスブラック ジャック 賭け 方 2017 タイ バンコク銀行系の生命ブラック ジャック 賭け 方会社。日本生命出資。
AIAブラック ジャック 賭け 方 2017 香港 AIAグループの子会社。
グランチャイナ生命 2017 中国 2018年3月に事業開始。
出所:
カンボジアブラック ジャック 賭け 方協会(IAC)のHPおよび各社HPより作成
表2:損害ブラック ジャック 賭け 方会社一覧
会社名 設立 資本 備考
カンボジア国立ブラック ジャック 賭け 方会社(CAMINCO) 1990 ブラック ジャック 賭け 方 MEFが設立、1993年事業開始。2001年に公営企業に転換。2008年、ビリヤBVB生命が株式75%取得。
アジアインシュアランス 1996 香港 あいおいニッセイ同和損保と三井住友海上が出資。
フォルテインシュアランス 1996 シンガポール 1996年ブラック ジャック 賭け 方引受証券会社として設立。カンボジア損害ブラック ジャック 賭け 方市場の最大手。2016年の同市場シェアは46.8%。
カンプロンパックインシュアランス 2007 マレーシア ブラック ジャック 賭け 方パブリック銀行とLPI キャピタルの合弁にて設立。
インフィニティ総合ブラック ジャック 賭け 方 2007 ブラック ジャック 賭け 方 カンボジア人オーナーブラック ジャック 賭け 方会社で国内最大。
ブラック ジャック 賭け 方・ベトナムインシュアランス 2009 ベトナム ベトナム投資開発銀行(BIDV)完全子会社のブラック ジャック 賭け 方投資開発銀行(IDCC)が出資。
ピープルアンドパートナーズインシュアランス 2015 ブラック ジャック 賭け 方 CEOは世界7カ国でブラック ジャック 賭け 方事業立上げ実績あり。
エバーケアインシュアランス 2017 中国 中国の不動産開発等を行うAIBOグループが出資。
イーストインシュアランス 2017 香港 香港のユエタイインターナショナルインシュアランスの子会社。生損保両方のライセンスを取得。
リーホーインシュアランス 2017 ブラック ジャック 賭け 方 投資会社であるリーホーグループの子会社。
フィリップ総合ブラック ジャック 賭け 方カンボジア 2017 シンガポール シンガポールのフィリップキャピタルの子会社。
出所:
カンボジアブラック ジャック 賭け 方協会(IAC)のHPおよび各社HPより作成

ブラック ジャック 賭け 方料収入はいずれも増加傾向に

近年、ブラック ジャック 賭け 方会社の参入が相次いだ背景の1つとして、ブラック ジャック 賭け 方料収入の顕著な伸びが挙げられる(表3参照)。損害ブラック ジャック 賭け 方市場について、2012~2017年のブラック ジャック 賭け 方料収入を種別に比較すると、一番規模が大きいのは火災ブラック ジャック 賭け 方である。これは2014年に策定されたタリフルール(ブラック ジャック 賭け 方料率基準)PDFファイル(837KB) により、ブラック ジャック 賭け 方金額1,000万ドル未満のブラック ジャック 賭け 方契約については、建物や家財などのブラック ジャック 賭け 方の対象ごとに同じ料率が適用されることとなった影響で、競合により低下していたブラック ジャック 賭け 方料率が一気に引き上げられたことが要因の1つである。また、入院・治療などの医療費に保障を掛ける医療ブラック ジャック 賭け 方は伸び幅が拡大しており、火災ブラック ジャック 賭け 方に続いて規模が大きい。貨物ブラック ジャック 賭け 方が伸びたのは、2016年に成田とプノンペンの直行航空便が開始したことが影響しているとみられる。

表3:損保のブラック ジャック 賭け 方料収入推移 (単位:ドル)
自動車 財産 海上 技術 傷害 医療 その他 合計
2012 6,949,409 10,474,521 671,769 3,412,336 2,840,277 5,313,298 6,301,186 35,962,796
2013 7,240,693 13,681,257 698,489 4,287,913 3,002,880 5,690,233 7,211,424 41,812,889
2014 8,123,794 18,110,074 2,903,699 5,023,883 3,539,896 6,877,312 8,397,083 52,975,741
2015 9,302,540 24,470,896 2,472,741 3,571,282 4,204,259 8,665,171 8,959,047 61,645,937
2016 10,181,794 26,313,938 5,229,519 5,852,662 4,755,756 11,257,000 6,810,941 70,401,608
2017 11,330,273 27,035,634 6,871,022 5,196,825 4,621,875 12,810,008 7,506,618 75,372,255
2017
構成比
15.0% 35.9% 9.1% 6.9% 6.1% 17.0% 10.0% 100.0%
2016-
2017年増加率
11.3% 2.7% 31.4% -11.2% -2.8% 13.8% 10.2% 7.1%
出所:
IAC「Life Industry Statistic for 2017」より作成

生命ブラック ジャック 賭け 方のブラック ジャック 賭け 方料収入を種類別に比較すると、突出して規模が大きいのは死亡保障と財産形成の両方を準備できる養老ブラック ジャック 賭け 方である(表4参照)。2017年はどの種類も大きくブラック ジャック 賭け 方料収入が伸びているが、中でも比較的安価で保障を準備できる定期ブラック ジャック 賭け 方の伸びが一番大きい。団体ブラック ジャック 賭け 方は企業が従業員に付保し、従業員が死亡した場合に遺族にブラック ジャック 賭け 方金を支払う福利厚生制度として活用されるが、労働者確保のためこのような保障を準備する法人も今後増加すると推測される。

表4:生命ブラック ジャック 賭け 方の種類別ブラック ジャック 賭け 方料収入 (単位:ドル)
定期 養老 終身 団体 合計
2016 816,589 41,456,460 514,790 346,679 43,134,518
2017 2,992,176 62,915,320 919,600 695,512 67,522,608
2017 構成比 4.4% 93.2% 1.4% 1.0% 100.0%
2016-2017 増加率 266.4% 51.8% 78.6% 100.6% 56.5%
出所:
IAC「Life Industry Statistic for 2017より」作成

社会ブラック ジャック 賭け 方制度の整備がブラック ジャック 賭け 方市場に影響も

一方で、現地の損害ブラック ジャック 賭け 方会社からは課題が聞かれる。ある外資企業は販売状況について、「カンボジアの損害ブラック ジャック 賭け 方会社が扱っているブラック ジャック 賭け 方は主に法人向けのもので、個人向けのブラック ジャック 賭け 方は所得の問題などがあり浸透していない」とし、「ブラック ジャック 賭け 方事故のリスクは高いため、高いブラック ジャック 賭け 方金額を設定し付保することが困難であり、大企業や高所得者はブラック ジャック 賭け 方をかける必要性を感じず、一方で小規模事業主や個人はブラック ジャック 賭け 方料負担を嫌うため、ニーズが限定的」との見方を示した。個人向けに普及しているブラック ジャック 賭け 方については、マイクロブラック ジャック 賭け 方会社が提供するマイクロブラック ジャック 賭け 方が人気であるという。同ブラック ジャック 賭け 方は低所得者層が加入しやすいよう、数セント単位の安価なブラック ジャック 賭け 方料で死亡時や病気・ケガが発生した時などに保障を受けられる設計となっている。

また、社会ブラック ジャック 賭け 方料の負担増がブラック ジャック 賭け 方契約減少の懸念につながっている。民間労働者に対するカンボジアの社会ブラック ジャック 賭け 方制度は、「社会保障法」にて労働災害ブラック ジャック 賭け 方、年金制度、従業員医療制度が規定されており、国家社会ブラック ジャック 賭け 方基金(NSSF)が運営している。2016年1月、健康ブラック ジャック 賭け 方制度の設立に関する政令が制定されて以降、労働災害ブラック ジャック 賭け 方制度および健康ブラック ジャック 賭け 方制度が段階的に運用されている。2018年1月から健康ブラック ジャック 賭け 方のブラック ジャック 賭け 方料が使用者の負担100%と大きくなったことをきっかけに、加入しているブラック ジャック 賭け 方契約を見直す法人が見受けられ、法人契約が主流の損害ブラック ジャック 賭け 方市場にとってマイナスの要因となっているとの声が聞かれる。

インフラ整備や普及活動が市場拡大を後押し

カンボジアのブラック ジャック 賭け 方市場の見通しとして、国内で進められているインフラ整備が市場に好影響をもたらすことが考えられる。ブラック ジャック 賭け 方法には、ブラック ジャック 賭け 方加入を義務付ける以下の文言がある。

  • 商業目的で自動車を所有・使用する個人または法人は、財産毀損(きそん)や第三者に対する損害を補償するために、賠償責任ブラック ジャック 賭け 方に加入しなければならない(第36条)。
  • 建築業者として事業を営む個人または法人は賠償責任ブラック ジャック 賭け 方に加入しなければならず、建設プロジェクト開始時に、ブラック ジャック 賭け 方契約を結んでいることを証明しなければならない(第40条)。
  • 旅客運送業務を行う個人または法人は、道路、海上、河川、空路、鉄道により運送される旅客の賠償責任ブラック ジャック 賭け 方に加入しなければならない(第42条)。

近年のインフラプロジェクトの増加は、請負業者が加入する賠償責任ブラック ジャック 賭け 方の増加を後押ししているとの声が聞かれる。さらに、例えば道路網や空港の機能向上などの整備がされれば、商業目的の自動車や旅客運送業務の増加に伴う賠償責任ブラック ジャック 賭け 方の増加が期待できる。

また、各ブラック ジャック 賭け 方会社は、大学生向けにブラック ジャック 賭け 方の仕組みに関するセミナーを実施するなど、ブラック ジャック 賭け 方を国民に普及させるための活動も行っている。こうした活動が、カンボジア国内でブラック ジャック 賭け 方に対する意識を高め、中長期的にはブラック ジャック 賭け 方市場に影響を与えていくことが考えられる。


注1:
公開有限会社とは、会社法により株式の一般公開を認められた有限責任会社を指す。
注2:
SDRとはSpecial Drawing Rights(特別引出権)の略で、全世界共通の通貨単位。1SDRは2018年1月時点で152.9円。
ブラック ジャック 賭け 方
執筆者紹介
ジェトロブラック ジャック 賭け 方調査部アジア大洋州課
安野 亮太(あんの りょうた)
2009年、明治安田生命ブラック ジャック 賭け 方相互会社入社。2018年より現職。
執筆者紹介
ジェトロ・プノンペン事務所
磯邊 千春(いそべ ちはる)
2016年よりジェトロ・プノンペン事務所勤務。