日本からの輸出に関する制度

調味料の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する調味料のHSコード

0904:とうがらし属またはピメンタ属の果実(乾燥し、破砕しまたは粉砕したものに限る)およびこしょう属のペッパー
0905:バニラ豆
0906:けい皮およびシンナモンツリーの花
0907:丁子(果実、花および花梗に限る)
0908:肉ずく、肉ずく花およびカルダモン類
0909:アニス、大ういきよう、ういきよう、コリアンダー、クミンまたはカラウエイの種およびジュニパーベリー
0910:しようが、サフラン、うこん、タイム、月けい樹の葉、カレーその他の香辛料
2103:ソース、ソース用の調製品、混合調味料、マスタードの粉およびミールならびに調製したマスタード
2209:食酢および酢酸から得た食酢代用物

具体的な製品の内容によっては異なる場合があるため、詳細は必ず確認してください。

関連リンク

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2024年8月

これまで米国は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県単位での輸入停止措置を講じていましたが、2021年9月22日に撤廃され輸出が可能となりました。
米国の食品安全基準に違反していないことの証明、または米国側でのサンプル検査などを課しています。輸入警告(インポートアラート)は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで公開されていますが、その内容は頻繁にアップデートされているため、注意が必要です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年8月

米国に輸入される調味料の安全は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)が管轄しています。日本から調味料を輸入するためには、FDAへの食品施設登録と事前通知などが必要となります。

【FDA食品施設登録】
バイオテロ法上、米国内でヒトや動物が消費するための食品を製造・加工・梱包・保管する米国内外の施設の所有者、経営者または代理人は、日本から輸出を行う前に、FDAに施設登録することが義務付けられています。さらに食品安全強化法の第102条により、登録は偶数年の10月1日から12月31日の間に更新することが義務付けられています。食品施設登録は、FDA業界用システム(FDA Industry Systems)からオンラインで行うことができます。
【FDA事前通知】

食品の到着までに、FDAに事前通知を提出する必要があります(連邦規則集第21条第1.279(c)条:21CFR 1.279(c))。事前通知は、必要な情報を持っている者であれば誰でも行うことができます。また、輸入申告で提出する情報はFDAに事前通知として提供されます。米国税関・国境取締局(CBP)のシステム(ABI/ACS)を通じて提出する場合は到着予定日の30日前から行うことができ、FDAの輸入食品事前通知システム(PNSI)を通じて提出する場合は到着予定日の15日前から行うことができます。航空輸送の場合は食品の到着の4時間前、海上輸送の場合は食品到着の8時間前までに、事前通知を提出する必要があります(連邦規則集第21巻第1.279(c)条:21CFR Part1.279(c))。

詳細は、関連リンクのFDAの食品施設登録(英語)および事前通知(英語)やオンライン ブラック ジャックの「バイオテロ法に関する情報(FDA食品施設登録・事前通知)」を参照してください。

また、次のカテゴリーに入る調味料については輸入前の手続きが必要です。米国に輸出する前に、輸出業者、現地の輸入業者、通関業者などに輸入の適否も含め、確認してください。

密封容器(レトルトパウチや缶詰など)入りの低酸性缶詰食品(常温流通)と酸性化食品(常温流通)
  • 水分活性が0.85より高く、pHが4.6より高い、密封・常温で流通する食品は、低酸性缶詰食品として連邦規則集21CFR Part108および113が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA2541またはFDA産業システム(FDA Industry Systems)により、施設(FCE:Food canning Establishment)登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を、様式FDA-2541dもしくは2541f、2541gの適切なフォームでFDAに提出しなければなりません。
  • 水分活性が0.85より高く、酸または酸性食品を加えることにより、pHを4.6以下の酸性状態にした加工食品を密封・常温で流通する場合は、酸性化食品として、連邦規則集21CFR Part108および114が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA-2541またはオンラインのFDA産業システム(FDA Industry Systems)により、施設(FCE)登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を、様式FDA-2541eでFDAに提出しなければなりません。

なお、一貫して冷蔵・冷凍で保存・流通させる場合は、FCE登録や製造工程情報の提出は不要です。

輸入可否や輸入通関にあたり、輸出者側で用意すべき書類は原材料によって異なります。動物由来の原材料が含まれている場合は、USDA(米国農務省)からの許可や日本からの動物検疫証明書が必要な場合があります。

原料に牛乳、脱脂粉乳、生クリーム、練乳などを使用した製品
商品によって必要な許可や取り扱いは異なるため、USDA動植物検査局(APHIS:Animal and Plant Health Inspection Service)のデータベースであるVSパーミットアシスタントで確認してください。VSパーミットの要否はUSDA APHISのVeterinary Services Permitting Assistantで確認と申請が可能です。USDA動植物検査局(APHIS)に直接問い合わせることもできます。
原料に畜肉、家きん肉(エキスを含む)由来の原料などを使用した製品
原則として、食品安全検査局(FSIS:Food Safety and Inspection Service)が認可した米国内外の工場で加工された畜肉、家きん肉以外は原料として使用できないという規則が厳格に適用されています。畜肉・家きん肉には、それらの小片、エキスも含まれます。日本の畜肉や肉エキスの処理施設はFSISに認定されていないため、日本産のこれらが含まれる調味料は米国に輸出できません。
原料に卵由来の原料を使用した製品

FDA所管の卵を含む加工品(egg containing products)や調理済みの卵製品(cooked)に該当する調味料は、製造工程で有害菌を殺菌し、食品に有害菌が存在していないことなど、食品の安全性について輸出者が確認したものであれば、日本産の卵由来のものであっても、通常は勾留対象とはなりません。卵製品(液卵、乾燥卵など)を原材料に使用する場合は、USDA FSISの認定施設由来もしくは低温殺菌済みや使用直前に割卵した殻付き卵由来の卵製品の使用は可能ですが、Animal Health Restrictionの対象になっている国からの卵製品を原材料にした食品の場合は、VSパーミットの取得が必要です。USDA APHISのデータベースであるVSパーミットアシスタントで確認するか、USDA APHISに直接問い合わせてください。
※ただし、担当する検査官によっては、卵製品と卵を含む加工品の区別に個人差があることに留意してください。卵を含む加工品がFDAの管轄下で検査されて輸入された場合、通常は前述の対応で問題ありません。

卵を含む加工品例で、FDAが所管する調味料の例: 【調味料】酸性のドレッシングなど

原材料に水産物が含まれている場合
原材料として水産物が含まれており水産物を特徴とした「水産加工食品」として輸出する場合は、水産物の米国輸入に関する規制が適用されます。水産物の規制については「水産物の輸入規制、輸入手続き」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省・動植物検疫局(APHIS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
オンライン ブラック ジャック英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国国土安全保障省・税関・国境警備局(CBP)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省・動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
バイオテロ法(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(410KB)
連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act:FD&C Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
連邦規則集
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国農務省から入手できるお主な情報
オンライン ブラック ジャックから入手できる主な情報
オンライン ブラック ジャックから入手できる主な情報

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2024年8月

米国に輸入される調味料についてはFDAの所管ですが、原料に畜肉・家きん肉(小片やエキスを含む)、卵、乳製品など動物由来の原料を使用している食品は、米国農務省(USDA:US Department of Agriculture)の動植物検査局(APHIS:Animal and Plant Health Inspection Service)と食品安全検査局(FSIS:Food Safety and Inspection Service)も関連する可能性があります。APHISは動植物検疫、FSISはヒトの健康に対する安全性を担当しています。

米国への調味料の輸入には、FDAなどからの輸入許可証の取得などは課されていません。ただし、原料に畜肉・家きん肉(小片やエキスを含む)、卵、乳製品など動物由来の成分を使用している場合、日本側で動物検疫が必要となることがあります。そのため、個別に米国農務省(USDA:US Department of Agriculture)の動植物検査局(APHIS:Animal and Plant Health Inspection Service)に確認することが確実です。また、品目によっては植物検疫証明書などが必要か日本の植物防疫所に確認してください。

問い合わせ先
USDA APHIS Import Export Service’s
AskNIES.Products@aphis.usda.gov
1-301-851-3300
USDA organisms and vectors staff
APIE@usda.gov
1-301-851-3300

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2024年8月

食品規格は、食品グループごとに連邦規則集21CFR Part130~169に規定されています。ドレッシングおよびフレーバーは21CFR Part169の分類です。サラダドレッシング(Salad Dressing)は、食用植物油脂に酸性化原料、卵黄原料、でんぷん質などを加えて調製した乳化半固体状の食品とされています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2024年8月

青果物と加工食品に関する米国における農薬の規制は、環境保護庁(EPA)と米国食品医薬品局(FDA)が管轄しています。EPAは農薬の種類と最大残留農薬限度(MRL)の承認と登録、FDAは食品についてEPAが設定した規制を執行する役割を担っています。

EPAは、農薬成分および農作物ごとに残留農薬の許容量を設定(ポジティブリスト制)しており、米国に輸入される青果物とその加工品は、その基準を満たしていなければなりません。なお、一部の農薬成分については、人体に安全だとして許容量の設定を免除しているものもあります。残留農薬の許容量に関する詳細は、「関連リンク」の「その他参考情報」にある農林水産省の「諸外国における残留農薬基準値に関する情報」や連邦規則集第40巻第180条(40CFR Part180)で確認してください。連邦規則集での確認方法はEPAのウェブサイト「残留農薬許容量情報(Part 180)の索引」を参照してください。

調味料中に含まれる加工された青果物に、許容量が設定されている農薬成分が残留している場合には、次の3つの条件をすべて満たさなければなりません。

  • 加工前の青果物における残留農薬が許容量を超えていない。
  • 現行適正製造規範(CGMPs)に基づく製造が行われ、残留農薬が可能なかぎり取り除かれている。
  • 加工品の残留農薬が、加工前の原料における許容量を超えていない(食品医薬品化粧品法(FD&C法)第408条(a)(2)、合衆国法典21USC346a(a)(2))。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2024年8月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法(FD&C)第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質は、ポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(連邦規則集第21巻第109.30条:21CFR Part109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制についてはFDAが中心に行っていますが、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

1. 有毒・有害物質の欠陥対策レベル
FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。各物質の欠陥対策レベルの値は食品によって異なりますが、同ガイダンスでは、例えばアフラトキシンについては「一般食品」において20ppbと設定されています。
なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。
また、FDAは個別の製品カテゴリーに鉛の上限を定めているケースがあります。例えば、ボトル入り水については5ppb、子供がよく消費するジュースやキャンデーについても、ジュースは50ppb、キャンデーは0.1ppmを上限としています。
ジュースに含まれる鉛の基準値は2004年に50ppbに設定後、その後2022年にガイダンス案が発表され、そのまま飲めるタイプのリンゴジュースについては鉛の基準値を10ppbに設定し、その他のそのまま飲めるタイプのジュースについては20ppbに設定すると記載されています。現状、正式な変更はありませんが、今後基準値が厳しくなる可能性はあります。
2. トータルダイエットスタディに基づく参考指標
米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(TDS:Total Diet Study)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。公表されている直近のデータは2018年から2020年に実施されたサンプリングによるもので、次のような結果となっています。ここでは、醤油とマスタードの例をあげます。
醤油に含まれるヒ素および有害貴金属などの参考指標(単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 9.6 12 11
検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
マンガン 8100 11000 9700
亜鉛 6800 7300 7100
マスタードに含まれるヒ素および有害貴金属などの参考指標(単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 28 38 35
720 780 747
5.1 6.4 5.8
マンガン 4000 4400 4167
亜鉛 6500 7000 6667
3. その他
米国では、連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。
一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示にかかる改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む’ではなく、’有害物質にさらされる’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。
なお、生殖毒性があるとされるビスフェノールA(BPA)に関しては、2017年12月31日以降は個々の商品もしくは商品棚への警告表示が必要となり、全体警告は認められません。また、酒類を含む発酵食品に天然に存在する物質であるカルバミン酸エチルもProp.65に含まれます。Prop.65の有害物質リストは1,000種類以上に及び、年に2~3回は内容が更新されます。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。
また、Prop.65の有害化学物質に癌を引き起こす可能性があるとしてアクリルアミドが載っていますが、このアクリルアミドについて警告文がないことによる訴訟が多数に上り、2021年3月に連邦裁判所はアクリルアミドを対象としたProp.65訴訟を一時的に禁止する暫定的な差し止め命令を発行しました。2024年8月現在においても、差し止め命令は有効となっています。
アクリルアミドはアミノ酸と糖分が加熱される際に自然に発生する物質で、食品製造工程において添加されるものではありません。カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)によると、フレンチフライ、ポテトチップス、その他の揚げたスナック食品、コーヒー、ローストした穀物ベースのコーヒー代替品、ローストアスパラガス、缶詰のスイートポテトとカボチャ、缶詰のブラックオリーブ、ローストナッツ、プルーンジュース、朝食用シリアル、クラッカー、クッキー、パン、トーストはすべて、さまざまな量のアクリルアミドを含む場合があります。
カリフォルニア州により、コーヒーと全粒粉の朝食用シリアルは免除対象となっています。1日の摂取量が最大許容量を超える場合に必要となる警告ラベルの文言のオプションが2022年11月に公表され、2023年1月1日から施行されました。また、2023年4月1日に発がん性物質として、生殖毒性がある物質として警告ラベルをつける必要のない最大許容量の数値も設定されました。アクリルアミドについては、この数値を上回る場合に通常の警告ラベルか、オプションとして新しく決められた文言のどちらか(次を参照)で警告ラベルを記載する必要があります。
新しくオプションとして認められた文言:
CALIFORNIA WARNING:Consuming this product can expose you to acrylamide, a probable human carcinogen formed in some foods during cooking or processing at high temperatures. Many factors affect your cancer risk, including the frequency and amount of the chemical consumed. For more information including ways to reduce your exposure, see www.P65Warnings.ca.gov/acrylamide
(仮訳)
カリフォルニア州の警告:この製品を摂取すると、高温での調理または加工中に一部の食品で生成されるヒトに対する発がん性の可能性があるアクリルアミドにさらされる可能性があります。化学物質の摂取頻度や量など多くの要因が、がんリスクに影響します。摂取量を減らす方法などの詳細については、www.P65Warnings.ca.gov/acrylamideを参照してください。
訴訟が継続中であるため、当該警告オプションでは、ヒトに対する発がん性の「可能性がある」としています。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
第21巻パート109.30(21CFR Part109.30)「ポリ塩化ビフェニル(PCB)の許容値」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)から入手できる主な情報
オンライン ブラック ジャックから入手できる主な情報

4. 食品添加物

調査時点:2024年8月

米国に輸入される調味料に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻第321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品に対して直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれにかかる規則は、連邦規則集第21巻170条から189条(21CFR170~189)に列挙されています。

米国において新規の食品添加物を使用する場合には、GRAS通知や、食品添加物申請(FAP:Food Additive Petition)をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

なお、製造/加工、梱包、包装、保管または輸送に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質と呼び、食品添加物として定義しています。食品接触物質に関する情報は、後述の「食品包装規制」の項目を参照してください。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻379条(21U.S.C.379)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「連邦規則集第21巻70条から82条(21CFR70-82)」を確認してください。

特に、赤色102号については、日本をはじめEUやアジアの主要国では着色料として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として使用されていますが、米国では現在、使用することはできません。

また、FDAは、トランス脂肪酸の原因となる部分水素化油脂(PHOs:Partially Hydrogenated Oils)について「安全と認められる(GRAS:generally regarded as safe)食品」ではないとし、2018年6月18日までに添加物として承認を受けていないかぎり、使用を禁止しました。これを受け、食品事業者は、PHOsを使用しない代替材料への切り替え、またはPHOsの使用継続許可に関する食品添加物申請(food additives petition)を提出し、FDAから承認されることが求められています。

また、カリフォルニア州では発がん性など健康を損なうリスクが大きいとされる4種類の食品添加物を用いた食品製造や使用、販売を禁止するカリフォルニア州食品安全法案418号が2023年10月に成立しました。規制対象となっているのは、臭素化植物油(BVO)、臭素酸カリウム、プロピルパラベン、および赤色3号で、2027年1月1日以降、これらの添加物を含む加工食品をカリフォルニア州で製造、販売(カリフォルニア州への輸入を含む)することが禁止されます。違反した個人や団体は、初回5,000ドル以下、2回目以降は1万ドル以下の罰金が科されます。

FDAは、これらの各成分の安全性を審査し、再評価していると述べています。特に赤色着色料3号については、連邦食品医薬品化粧品法のデラニー条項に基づいて安全性を審査中ですが、決定のタイムラインは示されていません。

2024年7月3日に、FDAは、食品への臭素化植物油(BVO)の使用を許可する規制を取り消す最終規則を公布しました。この規則は2024年8月2日に発効し、適用日は発効日から1年後となっています。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
合衆国法典
連邦規則集
米国カリフォルニア州政府から入手できる主な情報
その他参考情報
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
オンライン ブラック ジャックから入手できる主な情報
その他

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2024年8月

食品の製造/加工、梱包、包装、保管または輸送に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(FCS:Food Contact Substances)といいます(食品医薬品化粧品法第409条(h)(6)、合衆国法典21USC348(h)(6))。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物として定義しています。なお、梱包などの資材を構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、資材の製造業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA規則に合致している物質(次の1を参照)でない場合は、FDAへの食品接触物質通知(次の2を参照)が必要です。

1. 食品接触物質の規制の適合確認
次の規則に当てはまらない食品接触物質は、FDAへの食品接触物質通知をしなければなりません。
  • 間接添加物(連邦規則集第21巻第174条から第179条:21CFR Part174-179)
  • GRAS(連邦規則集第21巻第182条、第184条、第186条:21CFR Part182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material、連邦規則集第21巻第181条:21CFR Part181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption、連邦規則集第21巻第170.39条:21CFR Part170.39)
2. FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification)
食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の120日以上前にその物質の情報をFDAに通知しなければなりません(連邦規則集第21巻第170.100条:21CFR Part170.100)。通知から120日の間にFDAから異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集第21巻第170.104条:21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については関連リンクを参照してください。
2024年3月、FDAは、食品接触物質通知が無効であるとFDAが判断する方法と時期に関する規則(21CFR170.105および21CFR170.102)を改正する最終規則を発表しました。この最終規則を発行する前は、FDAは安全性の懸念に基づいてのみ、食品接触物質通知がもはや有効ではないと判断することができましたが、今回の改正により、FDAが安全性以外の理由で、食品接触物質通知が無効であると判断できるようになります。安全性以外の理由とは、例えば製造業者が、その食品接触物質通知の物質を製造、供給、または使用しなくなった場合や、食品接触物質通知の認可がほかの認可と重複した場合(食品接触物質の使用が食品添加物規制によって既に認可されている場合、または発行された規制免除の閾値の対象である場合など)の場合にFDAは食品接触物質通知が無効である、と判断し、宣言することができます。最終規則では、安全性の懸念に基づいて認可を取り消すFDAの権限も、引き続き維持されており、一方、FDAが無効であると判断する前に、企業から関連情報をFDAへ提出することも可能です。FDAは規則改訂を通じて食品接触物質の管理プロセスをより効率的にすることが、食品化学物質の安全性を強化するアプローチの一部であるとしています。食品接触物質通知が有効であるかは、FDAの有効な食品接触物質通知一覧から確認することができます。
3. PFAS
PFASとは、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質と呼ばれる化学物質の部類で、非粘着性およびグリース(潤滑性)、耐油性、耐水性に優れた特性により調理器具、食品包装、および食品加工において使用されています。FDAは食品接触物質として長鎖PFASを2011年に禁止しましたが、短鎖PFASは許可してきました。しかし、6:2フルオロテロマーアルコール(6:2 FTOH)を含む短鎖PFASの安全性に関してもFDAは懸念し、規制の変更措置を取り始めています。2024年2月に、FDAは関連する製造業者が、PFASを含む耐油性材料を、米国内で食品包装に使用するためのPFASを含む耐油性材料販売することを自主的に中止することを発表しました。
また、FDAの連邦レベルにおける動きだけでなく、ワシントン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州などいくつかの州では、既に食品包装だけでなく、その他のPFASの使用を禁止し始めている州もあり注意が必要です。
4. フタル酸エステル類
FDAは、可塑剤、接着剤、消泡剤、表面潤滑剤、樹脂、および殺ダニ剤として使用される23種類のフタル酸エステルとほかの2つの物質の食品接触使用許可を取り消しました。この措置により、これらのフタル酸エステルは、第21巻第175条から第178条(21CFR Part175-178)の規制によって認可された物質のリストから削除され、食品接触用途ではフタル酸エステルの使用は残り9種類に制限されます。このうち8つは可塑剤としての使用が許可され、1つはモノマーとしての使用が許可されています。
連邦レベルにおける動きだけでなく、ミネソタ州、ミシガン州、ニュージャージー州、ニューヨーク州は現在、立法会議でフタル酸エステル類を制限する法案を検討しています。メイン州では食品包装のフタル酸エステル類の禁止法が2022年に施行されているなど注意が必要です。
5. 食品包装用リサイクルプラスチック
米国では、プラスチックを含む使用済みリサイクル(PCR:post-consumer recycled)材料の使用を増やすことに重点が置かれています。一方で、食品接触物質におけるPCRプラスチック材料の使用に関するFDAの主な安全上の懸念は、次の3点です。
  • PCR材料中の汚染物質がリサイクル材料から作られた最終的な食品接触物質に出現することで食品に移行する可能性があること
  • PCR材料は食品接触用途として規制されていない可能性があること
  • PCRプラスチック中のアジュバント(添加剤・補助物質)は食品接触用途としての規制を順守していない可能性があること
リサイクルプラスチックから作られた食品接触物質の製造業者は、未使用の材料と同様に、リサイクルされた材料が意図された用途に適した純度であり、未使用の材料のすべてが既存の仕様を満たす保証責任があります。リサイクルポリマーに新規添加物を使用する場合、あるいは未使用ポリマーに現在許可されている添加物の量を超えて認可された添加物を使用する場合は、食品接触物質通知(FCN)または食品添加物申請(FAP)が必要です。FDAは、食品包装材メーカーがPCRプラスチックを食品包装材に使用するための工程を評価する際の参考として「産業界向けガイダンス-食品包装における再生プラスチックの使用:化学上の検討事項(Guidance for Industry-Use of Recycled Plastics in Food Packaging:Chemistry Considerations)」を作成しています。また、FDAは食品接触物質の製造に使用されるPCRプラスチックを製造するための特定のプロセスの適合性に関して肯定的な意見を出した申請のリストを公開しています。
カリフォルニア州は、ギャビン・ニューサム知事が2020年9月24日に議会法案793(AB793)に署名したことにより、プラスチックボトルに使用されるべきリサイクル樹脂の最低限割合(%)を義務付ける米国の初の州となりました。
この州法により、カリフォルニア州では2022年から、州の容器回収プログラムの対象となるすべてのプラスチックボトルに、平均して少なくとも15%の使用済みリサイクル樹脂の利用が義務付けられています。必要な使用済みリサイクル樹脂の量は、2025年には25%、2030年には50%に増加します。
また、最低要件を満たさない飲料メーカーは、目標量に満たない使用済み樹脂1ポンド(454g)につき20セントの罰金が課せられます。
報告義務
製造業者は、カリフォルニア州で販売される飲料容器に使用されている未使用プラスチックと使用済みリサイクルプラスチックの量を報告する必要があります。
報告義務適用業者
  • プラスチック材料の回収業者は、収集および販売された空のプラスチック飲料容器を報告する必要があります。
  • 使用済みリサイクル プラスチックの製造業者は、食品用およびボトル用のプラスチック材料の販売量を報告する必要があります。
  • 飲料製造業者は、前暦年に州内で販売されたCRV(カリフォルニア州償還価値)の対象となるプラスチック飲料容器に使用したバージン プラスチックおよび使用済みリサイクル プラスチックの量をポンド単位で、樹脂の種類別に報告する必要があります。
重要な日付
  • 2022年1月1日より、飲料メーカーは少なくとも15%の再生プラスチックを利用することが義務付けられます。
  • 2025年1月1日より、飲料メーカーは少なくとも25%の再生プラスチックを利用することが義務付けられます。
  • 2030年1月1日より、飲料メーカーは少なくとも50%の再生プラスチックを利用することが義務付けられます

* 2023年1月1日より、要件を満たさない飲料メーカーは行政罰則の対象となり、違反に対する罰則は2024年3月1日より適用されます。

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6. ラベル表示

調査時点:2024年8月

調味料を含む食品のラベル表示は、公正な包装および表示法(Fair Packaging and Labeling Act)により規制されています。調味料を商業目的で米国に輸入するには、米国税関・国境取締局(CBP)およびFDAが定める表示を行わなければなりません。

一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。詳しくは、FDAのガイダンス資料を確認してください。

主要表示パネル:PDP(Principal Display Panel)
  1. 食品名/識別事項
  2. 内容量・正味重量
情報パネル:IP(Information Panel)
  1. 原材料名(2種類以上の原材料〔食品添加物を含む〕が使用されている場合は、それぞれの名称を表示しなければなりません。また、アレルギー物質を使用している場合には、その原材料名を明確に表示しなければなりません。表示が義務付けられているアレルギー物質は乳、卵、魚(例:ヒラメ、タラ)、甲殻類(例:カニ、ロブスター、エビ)、ナッツ(例:アーモンド、クルミ、ピーカン)、ピーナッツ、小麦および大豆に加え2023年1月1日からゴマについてもアレルギー表示が義務化され、全部で9種類となります。魚、甲殻類、ナッツについては、その種も明記する必要があります。
  2. 栄養成分表示
  3. 製造業者、包装業者、流通業者のいずれかの名称と住所
  4. 警告および取り扱い上の注意
  5. 原産国
なお、4.栄養成分表示について、2016年7月26日に改正法が施行されました。改正のポイントは、次のとおりです。
  • 消費者に見てほしいサービングサイズやエネルギー量(カロリー)の文字をより大きく太字にして強調すること。
  • 栄養素表示に”added sugars”を新たに追加すること。
  • ビタミンA、ビタミンCの代わりにビタミンDとカリウムの表示を追加すること。
また、全米バイオ工学食品情報開示基準(NBFDS:National Bioengineered Food Disclosure Standard)により、いわゆる遺伝子組み換え食品の情報開示が義務付けられています。USDAの農産物マーケティング局(AMS)は、バイオ工学(BE:bioengineered)の技法を用いて生産されうるBE食品リストを作成しています。このリストは、BE食品の研究開発の進展により今後さらに追加・更新される可能性がありますが、2024年時点のリストには表示規制対象のBE食品としてりんご(アークティック種)、キャノーラ、トウモロコシ、パパイヤ(リングスポット抗ウイルス性)、パイナップル、大豆、テンサイ、とうもろこし、じゃがいもなどが含まれており、バイオ工学技術を用いて作られた品種を原材料に使用している場合には開示義務があります。
商品ラベルにBE食品である旨を開示する方法としては、次の複数の方法があります。
  • BE食品であることを文字で表示(bioengineered food / contains a bioengineered food ingredient)
  • シンボルマークで表示
  • QRコードで表示(Scan here for more food Information等)
  • テキストメッセージ、電話番号などでBE食品情報の入手先を分かるようにするなど。
なお、小麦に関してUSDAは、2022年7月時点ではこれまでに遺伝子組み換え小麦の販売や商業栽培を同省が承認した実績はなく、また未承認の遺伝子組み換え小麦の市場流通は確認されていないとしています。従ってAMSのBE食品リストに小麦は含まれておらず、NBFDSによる情報開示義務の対象にもなっていません。

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7. その他

調査時点:2024年8月

食品の衛生および安全性

米国に輸入される調味料の安全性は、FDAが所轄しています。米国に調味料を輸出する製造/加工、梱包、保管施設は、食品の衛生および安全性を確保することを目的とし、連邦規則集第21巻パート117(21CFR Part117)で定められる現行適正製造規範(CGMP:Current Good Manufacturing Practice In Manufacturing, Packing or Holding Human Food)に従った衛生管理を行う必要があります。

また、2011年1月に成立した食品安全強化法(FSMA:Food Safety Modernization Act)第103条により、米国で消費される食品を製造/加工、梱包、保管する施設は、危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)として、食品安全計画の策定と実施が義務付けられています。輸入業者は、第301条により、外国供給業者検証プログラム(FSVP:Foreign Supplier Verification Program)として、輸入食品に対する安全検証活動を実施する必要があります。さらに、2019年7月以降は、第106条に基づき「意図的な食品不良事故の防止(食品防御)」にも対応する必要があります。適用対象や要件などの詳細は、オンライン ブラック ジャックの「食品安全強化法に関する情報」で確認してください。

なお、次の場合には特別な食品安全規制が適用されるため、米国に輸出する前に規制を確認し、輸出業者、現地の輸入業者、通関業者などに輸入の適否を確認してください。

  • 常温流通される密封容器の低酸性食品と酸性化食品の場合(常温流通)
  • 原料に牛乳、脱脂粉乳、生クリーム、練乳などを使用した製品
  • 原料に畜肉、家きん肉(エキスを含む)、卵由来の原料を使用した製品品
  • 原料に水産物を使用している場合

米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)による食品施設の査察

米国では2011年1月4日、食品安全強化法(FSMA)が成立し、FDAの権限が多岐にわたって強化されました。FSMAの制定により日本企業への影響は、さまざまな点で生じています(「食品関連の規制」の「7.その他」を参照)。特に、同法の第201条に基づき、FDAによる外国の食品関連施設への査察権限が強化され、日本の食品関連施設でもFDAによる査察が実施されるようになりました。そのため、米国で消費される食品の関連施設は、FDAからの査察にいつでも対応できるよう、米国の規則に沿った対応をする必要があります。

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