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最終更新日:2023年11月22日
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会社形態には、株式会社、商事有限会社、一人有限会社がある。このほか、法人格を有しない組合契約として、協同組合、企業連合、共同事業体がある。支店は法人格を持たない。
- 会社形態
- 株式会社
株式会社には、株主数の上限を20人とし、株主の株式譲渡に会社の承認を必要とする非公開会社(S.A.C.)と、株主数に上限がなく、株式譲渡の自由が認められている公開会社(S.A.A.またはS.A.)がある。
株式会社には、最低2人(居住、非居住いずれも可)の株主が必要で、設立に際しては公開、非公開のいずれかを選択し、商号の末尾に略号(S.A.C./S.A.A.またはS.A.)を付す。
必置機関は、原則的に株主総会、取締役会、支配人であるが、S.A.C.については、取締役会の設置義務はない。
資本金は、国内通貨、外国通貨による現金出資のほか、設備などの現物出資も可。 - 商事有限会社
株主数は2~20人。商号には末尾にS.R.L.を付す。必置機関は株主総会と支配人。出資金は現金出資に限られる。 - 一人有限会社
出資者一人で設立できる会社形態。商号の末尾にE.I.R.L.を付す。必置機関は代表者と支配人。兼務も可能である。現金出資、現物出資のいずれも可。
- 株式会社
- 設立手続き
- 会社形態を選ぶ。
- 設立趣意書を作成する。趣意書には、発起人、事業目的、定款、役員構成など設立する会社の基礎データを記載する。公認弁護士が署名すること。なお、事前に類似商号がないか調査の必要がある。
- 国内金融機関に設立する会社名で口座を開設する。
- 会社の事業所所在地を所轄する国家登記監督庁(SUNARP)事務所で、公証人の認証を得た設立趣意書を添えて、会社設立登記申請を行う。
- 税務監督庁(SUNAT)事務所で納税者登録番号(RUC)を取得する。取得にはSUNARPに登記済の会社設立証明書、所在地証明(電気料金または水道料金の納入通知書)、所定の申請書、身分証明書、事業所の所有権証明書または賃貸契約書を提出する。
- 株主名簿ならびに会計帳簿を作成し、公証人の認証を受ける。
- 労働雇用促進省で、賃金台帳の認可を受ける。
- 所在地を所轄する地方自治体で、営業許可証の交付を受ける。交付手続きには、所定の申請書、区画証明書、国家防災庁(INDECI)の報告書、事業所の所有権証明書または賃貸契約書などを提出する。
- 外国人が出資する場合は民間投資促進庁(ProInversión)で、直接外国投資登記を行うことが義務付けられている。
根拠法:法律26887「会社一般法」(1997年12月9日公布)、大統領令066-2007-PCM「防災安全技術検査規則」(2007年8月5日公布)、国家防災庁長官決議251-2008-INDECI「防災安全技術検査実施マニュアル」(2008年6月28日公布)、法律28976号「営業許可枠組法」(2007年2月5日公布)
- 留意点
- 資本金
S.A.A.は、1人当たりの持株数が2,000株以下、または1人当たりの出資額が資本金の5%以下とする。E.I.R.L.を除き、会社設立にあたり発行株価額の25%以上の資本金を金融機関に払い込む必要がある。 - S.A.の設立方法
設立方法には、発起人が全株式を引き受ける「発起設立」と、発起人は株式の一部だけを引き受け、残りを募集する「募集設立」の2種類がある。いずれも、公証人の手続きが必要。- 発起設立:発起人は、資本金を国内の金融機関に払い込み、発起人会議事録を作成し、公認弁護士の承認と公証人の認証を受けて、SUNARP所管事務所で設立登記申請を行う。
- 募集設立:発起人は、設立計画書を作成し、公証人の認証を受けて、SUNARP所管事務所に預けたうえで、株主を一般から募集する。計画書に従って設立総会を開催し、開催後30日以内に取締役を選任し、SUNARP所管事務所で設立登記申請を行う。
- 設立費用
- 公証人手数料(資本額や書類の分量により算出)
- 登記申請手数料(資本額の1,000分の3)
- その他の費用(取締役会登記申請費用、弁護士・公証人への報酬など)
- 資本金
- 支店・駐在員事務所
- 支店
外国企業が、ペルー国内に支店を設立することは可能。支店は本店の一部と見なされ、常駐の代表者を置き、本店が委任状で定める範囲で業務を執行する。
開設手続きは、株式会社の手続きに準じる。- 現地代表者の委任状および支店としての法人登記を、SUNARP所轄事務所にて行う。
- SUNATで、納税者登録番号(RUC)を取得
- 銀行口座等の開設
支店設立の公正証書の記載事項は、[1]本店の現在事項証明書(外国企業は、定款に支店開設防止条項がない旨証する文書を添付)、[2]定款または提携契約のコピー、[3]支店設立合意書(本店の資本金割当、支店所在地、代表者とその権限、国内法令への準拠を記載)
- 駐在員事務所
駐在員事務所は、会社一般法に規定がなく、商行為を行えない制約があるため、商行為を行う目的で進出する企業が開設する現地拠点としては不適当である。
商行為を行わない情報収集やマーケティングが目的の場合、または金融機関である場合は、開設可能。その場合、SUNATへの登録は「仮設事務所(Establecimiento No permanente)」、または「非居住者の代表事務所(Oficina de Representación de No Domiciliados)」となる。現地代表者の委任状をSUNARP所管事務所に登録し、SUNATで納税者登録番号(RUC)を取得する。
- 支店
- 組合契約
共通の事業目的を持つ出資者が、特定の事業を共同経営する場合の規定。明文化された契約はあるが、法人格はなく、登記対象とはならない。協同組合、企業連合、共同事業体(JV)の3方式がある。
外国人投資家が持分として出資したときは、直接外国投資と見なされる。ただし、外国人投資家が財やサービスを対象事業に提供し、利益分配を受ける商取引契約にあたる場合を除く。 - その他の手続き
前記の会社設立手続きとは別に、業種別による次の手続きが必要である。- 製造業
武器弾薬、軍用・警察装備品、規制対象薬品の製造:内務省と国防省の許可を取得のうえ、生産省の査察を受ける。 - 商業
- 規制対象薬品の流通販売:a.の手続きに準ずる。
- 農薬、獣医用品、飼料の流通販売:農業検疫局(SENASA)の許可申請
- ワシントン条約規制対象の動植物:森林野生動物局(SERFOR)の許可申請
- 警備・安全保障:内務省の許可申請
- 農業消毒:農業検疫局(SENASA)の許可申請
- 旅行・娯楽業
- 旅行代理店:通商観光省(MINCETUR)で、公認旅行代理店認証を申請
- 宿泊施設:MINCETURで等級取得申請
- 遊技場(カジノ、スロットマシーン):MINCETURの所定手続き
- 飲食店:MINCETURで等級取得申請
- 陸運業(旅客、観光、貨物)
運輸通信省で、営業許可申請などの手続き - 農業
- 野生種加工:森林野生動物局(SERFOR)の許可申請
- 食肉加工:農業検疫局(SENASA)の衛生許可申請
- 植物性殺虫剤:農業検疫局(SENASA)の衛生許可申請
根拠法:
- 会社設立全般:法律26887「会社一般法」(1997年12月5日公布)、国家登記監督庁決議200-2001-SUNARP-SN「会社登記規則」(2001年7月24日公布)
- RUC関連:政令943「RUC法」(2003年12月20日公布)、同施行細則・税務監督庁決議210-2004/SUNAT(2004年9月19日発効)、大統領令012-2005-EF「税務監督庁行政手続」(2005年1月24日公布)
- 外国投資登記関連:政令662(1991年9月2日公布)第19条、カルタヘナ条約委員会決議291(1991年5月19日公布)第3、5、7条
- 製造業
詳細は次の資料を参照。
ジェトロ調査レポート:「ペルーにおける会社設立・税制の概要」(2022年3月)
外国企業の会社清算手続き・必要書類
株主総会で、会社の解散と清算人選任の決議を採択後、清算人が清算手続きを行う。
- ペルーで設立された会社の場合
- 会社解散の事由があるとき、取締役会は30日前までに解散決議と清算人選任決議を議題とする株主総会の召集通知を発送する(第409条)。
- 株主総会で解散決議と清算人選任決議が採択された日から10日以内に、SUNARP所管事務所での解散登記および解散の公告を行う(第412条)。清算人の数は奇数であること(第414条)。
- 清算人は、債権の回収、財産の換価処分、債務の弁済など所掌業務を履行の上、(第416条)清算事務報告書、残余財産分配提案書、貸借対照表、損益計算書を株主総会に提出する。株主総会が開催されない場合は、承認されたものとみなす(第419条)。
- c.の文書が承認されたら、定款などの定めに従い残余財産を分配する(第420条)。
- 残余財産分配後、清算人は消滅登記申請を行う。登記簿上の社名が抹消され、会社は消滅する(第421条)。
- 会社消滅後、債務の弁済を受けていない債権者は、消滅会社の株主に弁済を請求できるが、登記消滅後2年でその権利を失う(第422条)。
- 外国企業がペルー国内に設立した支店の場合
本社の合意の下、清算人を任命し、必要な権限を与えた旨記載した公正証書で解散登記申請する。清算手続きは、前記の会社清算手続きに準ずる。(第404条) - 債務超過における清算手続き
法律26887「会社一般法」(1998年1月1日発効)は、次のように規定する。- 債務超過がある場合、あるいは債務超過の疑いがあると認められるときは、取締役会は、直ちに株主総会を開催して事情を説明後15日以内に債権者に通知し、必要な場合には、破産一般法の規定に従い破産宣告を申請する(176条2段目)。
- 資本欠損が資本額の50%を下回った場合、法定準備金または任意準備金を設定している場合を除き、損失を補填できぬまま1会計年度を経過したときは、新規出資するか、あるいは、債権者が損失を全額負担する(220条)。
- 純資産額が資本額の3分の1を下回った場合、弁償がなされるとき、あるいは、相当額の増資または減資を行うときを除き、清算の原因となる(407条4項)。
(注)括弧内は会社一般法の該当条文
根拠法:法律26887「会社一般法」(1997年12月5日公布)、国家登記監督庁決議200-2001-SUNARP-SN「会社登記規則」(2001年7月24日公布)
その他
特になし。