外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2024年07月19日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

外国企業がカンボジア現地法人を設立する場合、商業省への商業登記に加え、経済財政省租税総局への税務ブラック ジャック 遊び方、労働職業訓練省への事業所開設申告、国家社会保障基金(NSSF)および会計監査規制当局(ACAR)へのブラック ジャック 遊び方が必要となる。2020年6月からはこれらの手続きのうち前三者の手続きが、2023年7月からは前四者の手続きがワンストップのオンライン申請によって完了することが可能となった。

外国企業がカンボジアに投資する場合、業種や投資額によっては、適格投資プロジェクト(QIP)を利用することが可能である。ここでは、QIPを利用しない通常の投資案件について概説する(QIPについては、「外資に関する奨励」参照)。

ワンストップによる設立手続き

  1. 進出形態
    カンボジアに進出する外国企業の主な形態には、駐在員事務所、支店、現地法人、パートナーシップ、事業協力契約、個人事業主などの方法があるが、ここでは現地法人の設立に関して概説する。
  2. 従前の手続き
    従前、カンボジアにおける会社設立は、商業省、租税総局、労働職業訓練省の順に、それぞれに対する手続きを行うものとされており、手続き完了まで、数カ月を要することが通常であった。こうした状況は、法人設立や外資による直接投資のインセンティブを削ぐものであるとして課題となっていた。カンボジア政府は、手続きの簡易化・必要期間の短縮を目的とし、ワンストップのオンラインでの設立手続きが可能となるプラットフォームを作成、2020年6月10日付政令第84号(Sub-Decree No. 84 on Business Registration Through Information Technology System)により施行された。
  3. 新オンライン・システムの概要
    会社設立申請のオンライン・システム(Cambodia Data Exchange:CamDX外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、クメール語・英語が準備されている。申請者は、オンライン・システムを通じて、必要情報の入力および必要書類のデータファイルによる提出を行い、ブラック ジャック 遊び方費用をオンラインで支払う(銀行決済(ABA銀行、ACLEDA銀行など)、クレジットカードまたはデビットカード決済)。提出書類に不備などがなければ、申請後、8営業日以内に会社設立手続きが完了するとされる(前記政令第8条)。手続きが完了すると、設立証明書・税務ブラック ジャック 遊び方証書などの各証書(デジタルファイル)が交付される。導入後の実務において、現実には10営業日程度要している場合もあるようだが、本システム導入前と比較すると大幅に短縮されている。
  4. オンライン・システムでの手続き・必要書類
    商業省・租税総局・労働職業訓練省・国家社会保障基金(NSSF)に対する手続きが法令上必要となるが、本オンライン・システムはワンストップサービスであり、申請者は一括して一度手続きを行うことで足りる(後述のように各手続き完了後にそれぞれ別途必要となる手続きは存在するが、本システムのブラック ジャック 遊び方完了をもって事業の開始は可能となる)。
    必要書類は、形態によって若干異なるが、現地法人の場合は次のものとなる。原則として書面原本は不要でデータファイル(PDFファイル)の提出で足りることとなり、また書類数も従前より少なくなった。
    1. 商業省への会社ブラック ジャック 遊び方
      商業省への会社ブラック ジャック 遊び方に際しては、まず使用を希望する商号を予約し、会社ブラック ジャック 遊び方申請を行う。会社ブラック ジャック 遊び方は申請後、3営業日以内に完了するとされ、完了すると法人設立証書(Certificate of Incorporation)が発行される。
      申請に際しての必要書類は次のとおり。
      • ブラック ジャック 遊び方住所地の土地登記または賃貸借契約書
      • 取締役の証明写真(jpgまたはjpegファイル、3カ月以内に撮影、背景は白)
      • 取締役のIDカード
      • 親会社の定款
      • 親会社のブラック ジャック 遊び方証書
      • 該当する場合、参考書類(既存の会社商号と似た名称を使用する場合、使用許可書。その他、ライセンスや関連書類)
      • 代理人が申請する場合、申請権限授与書
    2. 税総局への税務ブラック ジャック 遊び方
      租税総局に対し、税務ブラック ジャック 遊び方・VATブラック ジャック 遊び方・事業ブラック ジャック 遊び方税(Patent Tax)のブラック ジャック 遊び方を行う。前二者は基本的に設立時のみである。事業ブラック ジャック 遊び方税とは、会社の事業に対しての課税であり、当局の定める事業目的カテゴリーに応じ、複数の場合は複数項目について、年度ごとに支払う必要がある。商業省での会社ブラック ジャック 遊び方完了後、4営業日以内に完了するとされ、完了すると事業ブラック ジャック 遊び方税証書、VATブラック ジャック 遊び方証書、税務ブラック ジャック 遊び方IDカード、税務申告の通知書面が発行される。
      申請に際しての必要書類は次のとおり。
      • 事業所の固定資産税の支払い証書または固定資産の情報
      • 銀行口座情報(税務ブラック ジャック 遊び方の完了後15日以内に提出することが必要。これがない場合、租税総局の証書が撤回される)
    3. 労働職業訓練省への事業所開設申告
      事業所開設申告(Declaration of Opening the Enterprise)に関する申請を行うこととなる。租税総局での税務ブラック ジャック 遊び方完了後、1営業日以内に完了するとされ、事業所開設申告が発行される。申請に際して、労働職業訓練省用に別途求められる必要書類はない。
    4. 国家社会保障基金(NSSF)への企業ブラック ジャック 遊び方
      雇用者は、事業所設立後30日以内にNSSFへのブラック ジャック 遊び方を、従業員の雇用開始後3日以内に従業員をブラック ジャック 遊び方することが義務付けられている(2022年7月5日付労働法に服する者のNSSFへのブラック ジャック 遊び方および保険料の支払についての手続きに関する省令第168号)。企業ブラック ジャック 遊び方終了後、NSSFからは企業のID番号および企業ブラック ジャック 遊び方証明書が発行される。
    5. 会計監査規制当局(ACAR)の電子申告システム(e-Filing System)へのブラック ジャック 遊び方
      すべての企業は毎年ACARへの財務諸表の提出を義務付けられており、財務諸表の提出はACARの電子申告システム上で行う必要があることから、前記設立に関する手続きを完了した後、別途、同システムへのブラック ジャック 遊び方を行う必要がある(財務諸表の提出義務と会計監査の要否は「備考」参照)。
  5. 手続き費用
    手続き費用も減額された(金額は、4,000リエル=約1米ドルとし算定)。
    1. 商業省(2020年3月23日共同省令333号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(856KB)
      • 商号予約費用:約6.25米ドル
      • 商業ブラック ジャック 遊び方費用:約252.5米ドル
    2. 租税総局(前記閣僚評議会令第9条)
      • 税務ブラック ジャック 遊び方費用:100米ドル(小規模納税者5米ドル)
      • 事業ブラック ジャック 遊び方税(Patent Tax)ブラック ジャック 遊び方費用(1項目・1事業年度当たり)
        1. 小規模納税者:約100米ドル(設立時:約50米ドル)
        2. 中規模納税者:約300米ドル(設立時:約150米ドル)
        3. 大規模納税者:約750米ドル(設立時:約375米ドル)
    3. 労働職業訓練省(2020年3月27日共同省令335号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.91MB)
      • 事業所開設申告:30米ドル
    4. 国家社会保障基金(NSSF):無料
  6. 関連手続き

    従前、商業省での会社ブラック ジャック 遊び方は、商業省の商業登記用オンライン・システム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて行われていた。このウェブサイトは継続されているが、新オンライン・システム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとは連動していないため注意が必要である。現状、申請者は、前述の会社設立手続きの完了後、商業省のオンライン・システムへのブラック ジャック 遊び方申請をすることを要する(申請費用約40米ドル、新商業ブラック ジャック 遊び方システムで取得した設立証明書・商業ブラック ジャック 遊び方情報などの提出が必要)。

    また、租税総局に対しては、ブラック ジャック 遊び方完了後に、別途、新オンライン・システムの導入前に求められていたと同様の手続きを要求されている。すなわち、新法人の取締役などの代表者が租税総局に出向き、顔写真の撮影および指紋のブラック ジャック 遊び方を行う必要がある。現時点での実務では、前述の銀行口座情報の提出から1~2週間程度後に、租税総局から15営業日の期限を付した出頭要請レターが交付される。

    労働職業訓練省に対する必要手続きとしては、前述の事業所開設申告のほか、従たるものとして、会社台帳ブラック ジャック 遊び方(Registration of Enterprise Book)に関する申請および従業員給与台帳使用ブラック ジャック 遊び方(Registration of Using Payroll ledger)/コンピューター給与計算システムの承認(Approval on Computerized Payroll System)に関する申請が存在する。これらは新システムに統合されておらず、労働職業訓練省所管のシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますブラック ジャック 遊び方(同システム導入について、2020年12月31日労働職業訓練省令430号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

    国家社会保障基金(NSSF)に対する必要手続きとしては、企業ブラック ジャック 遊び方後、従業員ブラック ジャック 遊び方および毎月の保険料の支払いを行う必要がある。これらの手続きは新システムに統合されておらず、NSSF所管のシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますブラック ジャック 遊び方。

  7. その他
    このように、会社設立時の手続きは大きく改善され、所用期間が非常に短縮された。また、ブラック ジャック 遊び方した会社情報の内、法人のブラック ジャック 遊び方所在地、定款変更、事業目的、およびブラック ジャック 遊び方銀行口座情報の変更については2024年1月15日よりCamDX上で行うことが可能となっており(Joint Press Release on Launching the 5 Functions of Registration for Revision of Information of Company or Enterprise via CamDX)、利便性が向上している。
    しかし、特に税務ブラック ジャック 遊び方の関係では、設立法人の取締役などがカンボジアを訪問し租税総局に出頭する必要があるなど、別途の手続きの負担が残っている。

国家社会保障基金(NSSF)への社会保険料の支払い

国家社会保障基金(National Social Security Fund:NSSF)が運営するカンボジアの社会保障制度は、労災保険と健康保険が両軸であったが、2022年7月から年金制度も開始された(同年10月給与分から支払い開始)。

保険料は、毎翌月に納付義務がある。労働災害保険および健康保険の保険料は使用者が負担するものとされており、労働災害保険料および健康保険は従業員の月額給与の0.8%、健康保険料は月額給与の2.6%である。年金の保険料は労使が折半するものとされており、導入後5年間の保険料率は月額給与の4%(使用者2%、労働者2%)である。もっとも、保険料は、上限基準額として月額給与120万リエル(約300米ドル)が定められており、これを超える場合は一定額となる(2021年付8月19日政令第144号)。

外国企業の会社清算手続き・必要書類

会社は、株主総会における特別決議、解散趣旨書の作成と商業省への提出、債権者への通知、解散に関する公告、資産および債務の清算、商業省への解散届出書の提出、商業省の解散証明書の発行を経て、解散することができる。

会社の解散については、「カンボジア会社法」の第251条から第258条で定められている。

ブラック ジャック 遊び方:ビジネス関連法・法務「カンボジア会社法(2015年3月)」「カンボジア会社法改正法(2022年3月)」

資産または債務を有する会社については、株主総会における特別決議、解散趣旨書の作成と商業省への提出、債権者への通知、解散に関する公告、資産および債務の清算、商業省への解散届出書の提出、商業省の解散証明書の発行(実務上は解散を承認する旨の通知メールが送付される)を経て、解散することができる(会社法第252条~257条)。
株式を発行していない会社は取締役全員の決議によって何時でも解散することができ、資産および負債を有しない会社は、株主の特別決議によって解散することができる(会社法第251条)。
取締役または年次株主総会における議決権を有する株主は、会社の任意清算または解散を提案することができる(会社法第252条)。

2022年1月の改正会社法は、会社の清算に際して、ライセンスを有する会計事務所または監査事務所を清算人として選任することが必要であるとした(同法第255条)。さらに、2023年4月20日の会計監査規制当局省令19号は、清算業務を行う事務所はカンボジア弁護士1人以上を有するか、法律事務所との合意書を締結する必要があるとし(第21条)、清算人の資格を加重している。
なお、解散および清算に関する条項は、裁判所に破産を申し立てた会社には適用されない(会社法第258条)。

会社の解散手続きの中では税務関係手続きが最も重要である。租税総局・関税総局に会社を解散する旨通知し、税務調査を受けた上で、税金状況証明書(Certificate of Tax Situation)を取得する必要がある。この手続きでは1年以上など相当の期間を要するケースもある。
商業省による解散証明書の発行後、労働職業訓練省、国家社会保険基金(NSSF)への通知を行う。なお、個別のライセンスを取得している場合には、各管轄官庁への申請・届出が必要な場合がある。さらに、会社が適格投資案件の指定を受けている場合にはカンボジア開発評議会(CDC)関係の手続きが、工場を閉鎖する場合にはカンボジア産業科学技術イノベーション省への申請が必要となる。

その他

業種・業態によっては、個別のライセンスを各監督省庁から取得する必要がある。

参考:個別のライセンス取得が必要な業種(一部)
業種 監督省庁 備考
飲食店 観光省 審査あり
ゲストハウス 観光省 審査あり
ホテル 観光省 審査あり
旅行代理店業、旅行オペレーター業 観光省 許可証上の名義はカンボジア国籍の者である必要あり(インバウンド旅行オペレーター業を除く)
不動産サービス業 経済財政省 無犯罪証明書の提出要
保険ブローカー業 経済財政省 無犯罪証明書の提出要
通関業 関税・消費税総局 通関に関する専門家が必要
運送業 公共事業運輸省 運送会社のブラック ジャック 遊び方・トラックのブラック ジャック 遊び方が必要
診療所、病院 保健省 許可証上の名義はカンボジア国籍の医師である必要あり
法律事務所 弁護士会 代表者を含む弁護士はカンボジア国籍である必要あり
海外人材派遣業 労働職業訓練省 代表者および51%以上を保有する株主は同一人物でかつ、カンボジア国籍である必要あり
警備事業 内務省 代表者および多数株主はカンボジア国籍である必要あり(法令ではなく、運用上求められている状況)
教育機関 教育・青少年・スポーツ省 審査あり