ベトナムのビンファスト、米ノースカロライナ州EV工場の稼働を2028年に後ろ倒しと発表

(米国、ベトナム)

アトランタ発

2024年07月17日

ベトナムの大手複合企業のビングループ傘下で、電気自動車(EV)メーカーのビンファストは7月12日、2024年第2四半期納入実績などの報告の中で、米国ノースカロライナ州チャタム郡で建設中の同社EV組み立て工場の稼働を2028年に後ろ倒しすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同社は2022年3月、最大20億ドルを投じて、同社にとって北米初の自動車組み立ておよびバッテリー製造工場をノースカロライナ州に設立し、年間15万台の生産能力を確保すると発表、2024年7月の稼働を予定していた(ベトナムのビンファスト、オンライン)。2023年7月には同工場起工式を開催するとともに、稼働予定時期を2025年とした()。稼働予定時期を2028年に後ろ倒しすることで、同社は資本配分を最適化し、短期的な支出をより効果的に管理し、短期的な成長目標達成への取り組みや既存事業の強化により多くの経営資源を集中させるという。

同社は2024年の世界全体の納車見込みを10万台としていたが、今回の発表で8万台に修正した。なお、2023年の北米での同社の納車台数は1,000台に届かなかった、との報道もある(ビジネス・ジャーナル5月29日)。また、ノースカロライナ州の新工場も、2023年12月以降、建物面積の縮小などの修正を同州チャタム郡に提出しており、建設が保留されている(カロライナ・ジャーナル4月18日)。一方で、同社は2024年4月、新たに12社のディーラーと契約し、米国における同社のディーラー網が7州(注)にまたがる18社になったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、米国での販売拡大に取り組んでいる。

米国南東部は、EV関連の大型投資が相次ぎ注目を集めている(注目度高まる北米グリーン市場、その最前線はEV関連ブラック)。一方で、2024年上半期の米国におけるバッテリー式EV販売は前年同期比6.6%増と着実に増加しているものの、2023年下半期(前年同期比50.3%増)と比較して伸びが鈍化しており(米新車販売、第2四半期は前年同期比横ばい、ブラック)、新興EVメーカーのリビアンのジョージア州の新工場建設一時中断や、フォードのカナダのオンタリオ州工場やテネシー州のブルー・オーバル・プラントでのEV生産開始時期の後ろ倒しが発表されている(2024年3月14日4月9日記事参照)。ただし、韓国の現代自動車グループは6月18日、75億9,000万ドルを投じてジョージア州に建設中のメタプラント・アメリカが2024年第4四半期から稼働し、同社EVの2025年型「アイオニック5」を生産する予定だと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(注)ノースカロライナ、ニューヨーク、テキサス、フロリダ、カンザス、コネチカット、ケンタッキーの7州。その他、カリフォルニア州には同社直営店が15店舗ある。

(檀野浩規)

(米国、ベトナム)

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