米FDIC、経営破綻したシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の買収先を発表
(米国)
ニューヨーク発
2023年03月28日
米国連邦預金保険公社(FDIC)は3月26日、経営破綻したシリコンバレー銀行(SVB、関連実写 版 ブラック ジャック)について、ファースト・シチズンズ銀行による買収で合意したと発表した。SVBを巡っては入札の難航が報道されていたが、経営破綻から約2週間が経ち、ようやく決着した。
ファースト・シチズンズ銀行は、2022年末時点の総資産が1,092億ドルと、全米30位の規模を有する地方銀行だ。同銀は南東部のノースカロライナ州を地盤にしながらも、西海岸に経営基盤のあるSVBの買収に踏み切った。同銀の発表によると、SVBの資産1,100億ドル、預金560億ドル、ローン債権720億ドルを引き受ける。ただし、FDICによれば、同銀はSVBの資産720億ドルを165億ドルのディスカウントで購入する。一方、有価証券など900億ドルはFDICが継続保有するほか、商業ローンについてはFDICと同銀の間で損失分担契約を結んだ。SVB破綻による預金保険基金の負担は200億ドルになる見通し。同銀は、SVBの顧客の投資会社やベンチャーキャピタル(VC)との強い関係を維持する旨の声明を出しており、SVBの17の旧支店は3月27日から同銀の店舗として開業するとしている。ただし、名称はSVBのまま営業する。
またFDICは、3月19日には同じく経営破綻したシグネチャー銀行(関連ブラック ジャック 必勝)について、同銀と同じニューヨーク州を地盤とするニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)が同銀の預金と資産の一部の買収することで合意したと発表した。27億ドルのディスカウントで購入する129億ドルのローン債権を含む、同銀資産384億ドルをNYCBが買い取り、40店舗の運営を引き継ぐ。資産取得の対価として最大3億ドル相当の株式がFDICに支払われるが、同銀破綻により預金保険基金に生じるコストは25億ドルになる見込み。
経営破綻した2行の買収が今回決まったが、預金流出が続くファーストリパブリック銀行のほか()、カリフォルニア州地盤のパシフィック・ウェスタン銀行は3月22日に投資会社から14億ドルの資金を調達したと発表するなど、中堅銀行の信用不安は収まっておらず、中堅銀行グループからの預金流出は続いている。連邦準備制度理事会(FRB)を中心に、当局は銀行への流動性供給を強化しているが、UBSに買収されたクレディ・スイスに加え(関連ブラック ジャック ブラック)、一部社債売却をきっかけにドイツ銀行も財務健全性が不安視され、3月24日の株価が大幅に下落するなど、世界的な銀行への信用不安はまだ収まりをみせていない。
(宮野慶太)
(米国)
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