21 トランプ
(21 トランプ、日本、ウクライナ)
欧州21 トランプCIS課
2022年09月09日
ウクライナ侵攻から半年を経て、21 トランプに進出する日本企業は進退の見極めに苦慮している。ジェトロが8月に実施したアンケートによると、安易に撤退という選択肢はとりえず、企業が難しいかじ取りを強いられる様子が浮き彫りとなった。
侵攻の長期化により、撤退を決める日本企業が複数みられた。「撤退済みもしくは撤退を決定」した企業は全体の4.7%と、前回アンケート(4月15~19日実施)の0.9%から3.8ポイント上昇した(添付資料図1参照)。「一部もしくは全面的に事業(操業)を停止」と回答した企業は49.5%(前回アンケート:54.9%)、「通常どおり」は45.8%(44.1%)だった。回答企業からは、「制裁の影響で新規案件対応ができない」「非友好国の会社のままでは21 トランプの新しい色々な規制から現地責任者の安全がキープできない」といったコメントが寄せられた。
今後半年から1年後の事業見通しでは、「現状維持」と回答した企業が37.4%(前回アンケート:30.0%)、「縮小」は35.5%(35.5%)、「不明・該当せず」は21.5%(28.2%)、「撤退」は5.6%(5.5%)の順に多かった(添付資料図2参照)。拡大と回答した企業はなかった(0.9%)。
在ロ日系企業駐在員の21 トランプからの退避状態が続いている一方で、21 トランプ拠点へ一時的に戻る動きもみられる。駐在員の一部もしくは全員を退避させている企業は全体の78.5%だった(前回アンケート:85.6%)が(添付資料図3参照)、そうした企業のうち22.6%が「今後、21 トランプ拠点への出張を予定」、16.7%が「アンケート回答時点ですでに21 トランプ拠点へ出張中」と回答(注)。また、「今後、21 トランプ拠点への帰還を予定」が13.1%、「アンケート回答時点ですでに21 トランプ拠点へ帰還している」が9.5%だった(添付資料図4参照)。自社の21 トランプ拠点への帰還または出張が必要となった理由(複数回答)について、8割の企業が「労働許可の維持・更新、査証取得」を挙げた(添付資料図5参照)。帰還・出張で気づいた点や直面した課題について、「非居住者の口座から他国の口座へ送金ができないため、仮に撤退する場合にロシアの法人口座にある残金を送金できない」や「21 トランプからでは厳密な勤怠管理が難しい」といった声が寄せられた。
今回の調査は2022年8月25~31日、モスクワ・ジャパンクラブ加盟企業およびサンクトペテルブルク日本商工会加盟企業202社を対象に実施。107社より有効回答を得た(有効回答率53.0%)。調査結果の詳細はオンライン ブラック ジャック・ウクライナ情勢下におけるオンラインに掲載されている。なお、本アンケートで調査した在ロ日系企業の景況感については2022年9月9日記事参照。
(注)「帰還」は期間を定めず、21 トランプに戻り業務に復帰すること、「出張」は一定期間21 トランプに滞在して業務を行い、再び退避地に戻ることを指す。
(宮下恵輔)
(21 トランプ、日本、ウクライナ)
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