特集:アジアで深化する生産ネットワークと新たな潮流ブラック ジャック コツ

2018年3月15日

タイでは、乗用車やピックアップトラック、および関連するブラック ジャック コツ部品の輸出が増えている。しかし、近年は周辺のASEAN加盟国においても、ブラック ジャック コツ産業の発達の兆しがあり、各国のタイへの輸入依存度が、中長期的には下がる可能性がある。タイがブラック ジャック コツの輸出競争力を維持するための課題を探る。

輸出競争力の高いブラック ジャック コツ産業

タイの輸出品目をHSコード4桁でみると、2016年は輸出額で、乗用車が首位、ピックアップトラックが5位に位置する。ブラック ジャック コツの輸出の多さに比例し、ブラック ジャック コツ部品の輸出額も高い(6位)。もちろん、ハードディスクや集積回路もタイの主要輸出品目である。しかし、乗用車やピックアップトラックは、貿易特化係数の値も、おのおの順に0.8と0.9に達しており、輸出競争力も高い。そのため、ブラック ジャック コツ産業の動向は、タイ経済全体に与える影響が大きいと言える。

完成車輸出は、市場多角化へ

タイのブラック ジャック コツの輸出額を、国・地域別でみると、ASEAN、中東諸国、およびオーストラリア向けが多く、これらの国・地域向けが、タイのブラック ジャック コツ輸出全体の6割以上を占める(表1)。特に、ASEAN向けの輸出が多いが、中でもフィリピンやベトナム向けの輸出額が高く、かつ増加傾向にある。

表:タイのブラック ジャック コツ輸出額の推移(国・地域別)(単位:100万米ドル)
輸出先の国・地域 2000年 2005年 2010年 2016年 2016年/
2000年比
全世界 1,616 5,145 12,876 18,099 11.2
(1)オーストラリア 435 1,172 3,018 4,913 11.3
(2)ASEAN 127 1,251 3,100 4,595 36.1
(3)中東 136 974 2,467 2,628 19.3
上記(1)~(3)の合計 699 3,397 8,584 12,136 17.4
注:
乗用車(HS8703)および貨物ブラック ジャック コツ(HS8704)についてデータ抽出。
出所:
Global Trade Atlas」を基にジェトロ作成

他方、フィリピンは2016年、自国のブラック ジャック コツ産業育成のため「包括的ブラック ジャック コツ産業振興戦略(CARS)」を導入した(注1)。現地のブラック ジャック コツ生産が増加することで、中長期的に、タイからのブラック ジャック コツ輸入が減少する可能性がある。またベトナムは、2018年に完成車の域内関税がゼロになるが、現地報道によれば(2017年10月)、ブラック ジャック コツ輸入業者に対し、メンテナンス工場の自社所有を義務化するなど、厳しい条件の付与を発表した。タイから同国へブラック ジャック コツ輸出の足かせとなる可能性がある。

今後タイが他国情勢の影響を過度に受けず、ブラック ジャック コツ輸出を拡大するためには、輸出市場の多角化が重要だ。そのため、自由貿易協定(FTA)締結による関税削減を通じ、米国や欧州連合(EU)などへの市場アクセス改善も必要だ。

高付加価値化が求められる部品

タイのブラック ジャック コツ部品輸出もASEAN向けが多い。しかし、近年インドネシアやフィリピンもブラック ジャック コツ部品の輸出額を高めている(表2)。さらに、従来タイで集中生産したエンジン駆動装置を、インドネシアで平行して生産するなど、生産部品の「持ち合い」の例も見られる。

こうした状況は、ブラック ジャック コツ部品においても、各国のタイへの輸入依存度を下げる可能性がある。タイがブラック ジャック コツ部品産業の競争力を維持するためには、新製品の開発や、製品の高付加価値化が必要だ。

表2:ASEAN主要国のブラック ジャック コツ部品の輸出額の推移(単位:100万米ドル)
2000年 2005年 2010年 2016年 2016年 /
2000年比
タイ 479 2,155 4,600 7,361 15.4
インドネシア 260 888 1,256 2,302 8.8
フィリピン 571 1,355 1,671 1,318 2.3
マレーシア 132 380 802 850 6.4
注:
ブラック ジャック コツ部品(HS8707、HS8708、HS8407.31~HS8407.34)につきデータ抽出。
出所:
Global Trade Atlas」を基にジェトロ作成

電気ブラック ジャック コツに見る、産業高度化への課題

タイ政府は、中長期的な国家戦略の方向性を示す「タイランド4.0」を提唱している。10の重点産業において、先端技術を外国企業の誘致を通じて導入、産業の高度化や高付加価値化を目指す(注2)。その重点産業の一つが電気ブラック ジャック コツ(EV)などの「次世代ブラック ジャック コツ」である

タイ政府は、国内EV産業育成のため、手厚い投資恩典を用意し、先端技術を有する外国企業誘致を強化している(注3)。このように、産業高度化に向けては、新産業での投資恩典の活用など、日本企業にもビジネスチャンスが期待される。その一方、まずは、十分なインフラの整備、高度人材の育成、そして官民での意識の共有が重要となる。インフラについて、EVを例にすれば、国内充電スタンド設置・普及が必須だ。また先端技術を導入しても、機械修理は人が行うため、高度人材育成が必須だ。そして官民の意識共有だ。EVで言えば、政府が描く開発の道筋やスピード感を、具体的に企業と共有する必要がある。

これらの中で、特に人材育成については、外国企業頼みではなく、研究開発への政府予算の投入、基礎教育の強化など、タイ政府が担うべき役割は非常に高いと言えよう。

物流 ‐地域のハブとしてのタイ

また「タイランド4.0」は、タイが地域のハブとなること目指しており、そのためには通関制度や物流サービスの改善が重要だ。2015年、メコン地域の「越境交通協定(CBTA)」が全加盟国に批准された(注4)。これにより、タイとミャンマー間にて、車両の相互通行の早期実施が期待される。また、企業サプライチェーンのグローバル化が進むなか、タイが地域の調達・販売拠点となるべく、「非居住者倉庫」活用促進が期待される。そのためには、明文化された、透明性の高いルールの導入と運用が必要だ。

越境物流の円滑化は、タイの労働集約産業の周辺国への移管や、ASEANワイドの最適分業化を促進するだろう。その結果、タイはより付加価値が高く、競争力のある産業に資本を注入することができるため、産業全体のさらなる高度化につながると思われる。


注1:
フィリピンで生産される新規ブラック ジャック コツモデルを対象に、国内での生産、現地調達率向上を条件に、投資恩典を付与する政策。
注2
10の重点産業には、次世代ブラック ジャック コツ、スマートエレクトロニクス、医療ツーリズム、農業バイオ、未来食品、ロボット、医療ハブ、航空・ロジスティクス、バイオ燃料、デジタルが挙げられる。
注3
具体的には、外国企業に対し、次世代ブラック ジャック コツのタイでの生産を条件に、機械輸入税や法人所得税を免除している。
注4
アジア開発銀行(ADB)が主導する、大メコン圏(GMS)開発プログラムの一環であり、メコン地域の陸上交通の円滑化を図る。
ブラック ジャック コツ
執筆者紹介
ジェトロブラック ジャック コツ調査部アジア大洋州課
田口 裕介(たぐち ゆうすけ)
2007年、ジェトロ入構。ブラック ジャック コツ産業人材育成協会(AOTS)バンコク事務所出向(2014~2017年)、アジア大洋州課(2017~2018年)。2018年より現職。