「上海国際福祉機器展」への出展、日本企業がブラック ジャック 必勝 法で最多(中国)

2024年10月7日

「上海国際福祉機器展(CHINA AID)」は、中国最大規模の介護・福祉関連製品・サービスの展示会だ。2024年の出展社数と来場者数はともに過去最高を記録し、出展社数は2023年に東京で開催された「国際福祉機器展」を超えた。ビジネスマッチングが活発なうえ、業界の最新動向に関する情報収集が可能なことが最大のメリットだ。日本企業の出展はブラック ジャック 必勝 法で最多の75社で、中国市場を重視する姿勢がうかがえた。本稿では、「上海国際福祉機器展」の2024年の開催状況を通じて、中国の高齢者産業動向について概観する。

出展社数と来場者数は過去最高

中国銀齢網によると、2024年に中国各地で開催済みまたは開催予定のヘルスケア関連の展示会は約70件に及ぶ。うち、介護・福祉分野では、上海市で開催の「上海国際福祉機器展(CHINA AID)」が最も有名だ。同展示会は2000年から開催しており、2024年まで18回開催されている。

2024年の会期は6月13~15日の3日間で、国内外から450社が出展した。出展規模は、東京で開催されたアジア最大級の福祉機器展示会「国際福祉機器展(H.C.R.)」の規模(2023年:379社)を超えている。また、2024年の来場者数は5万7,147人に上り、主催者の発表によると、出展社数と来場者数はともに過去最高を記録した(図1参照)。

図1:上海国際福祉機器展の出展社数と来場者数の推移(2014~2024年)
出展社数の推移(2014~ブラック ジャック 必勝 法)は、2014年300社、2015年300社、2016年301社、2017年327社、2018年330社、2019年365社、2020年301社、2021年403社、2023年403社、ブラック ジャック 必勝 法450社。来場者数の推移(2014~ブラック ジャック 必勝 法)は、2014年26,041人、2015年31,208人、2016年35,174人、2017年40,458人、2018年42,919人、2019年47,890人、2020年34,588人、2021年40,000人、2023年47,030人、ブラック ジャック 必勝 法57,147人。

注1:2014年と2015年の出展社数は約300社、2021年の来場者数は約4万人と発表されており、ここでは300社、4万人として記載。
注2:2022年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止。
出所:上海国際福祉機器展主催者の発表を基にジェトロ作成

来場者の主要目的は商談・情報収集

「上海国際福祉機器展」が注目されている主な理由として、2点挙げられる。

1点目は、バイヤーの来場が多く、企業間取引が活発なことだ。2024年の来場者属性をみると、来場者の業種の割合としては、介護・医療サービス機関が27.9%と一番多かった。次いで一般来場者が14.7%であり、続いて社会組織・関連協会13.1%、ディストリビューター・代理店11.1%の順となった(図2参照)。

図2:上海国際福祉機器展の来場者属性(2024年)
介護・医療サービス機関27.9%、一般14.7%、社会組織・関連協会13.1%、ディストリビューター・代理店11.1%、金融業・不動産業8.7%、高齢者向け用品および関連サービスのサプライヤー8.1%、政府機関7.3%、人材教育機関4.6%、メディア2.3%、その他2.2%。

出所:上海国際福祉機器展主催者の発表を基にジェトロ作成

来場目的(複数回答)のトップ3位は、「製品またはサービスの調達」(40.6%)、「業界の情報収集・研究」(32.2%)、「連携の可能性の発掘」(28.2%)であった(表参照)。地域別では、上海市が位置する華東地域の来場者が約5割を占めた。

表:上海国際福祉機器展の来場者の目的(2024年)
来場の目的 割合(%)
製品またはサービスの調達 40.6
業界の情報収集・研究 32.2
連携の可能性の発掘 28.2
会議または関連イベントへの参加 9.4
次年度の出展に向けた情報収集 7.5
その他 15.0

出所:上海国際福祉機器展主催者の発表を基にジェトロ作成

IOT技術をPRする出展が目立つ

注目される主な理由の2点目は、業界の最新動向に関する情報収集が可能なことだ。出展分野または会期中に開催される各種フォーラムを通じて、中国高齢者産業の発展状況ならびに業界の注目分野を把握することができる。

「上海国際福祉機器展」の出展対象分野は、(1)介護ケアなど高齢者向けサービス、(2)介護用品・福祉機器、(3)リハビリ・医療サービス・機器、(4)高齢者向け住宅・バリアフリー製品、(5)健康関連製品・施設であり、介護・福祉分野を中心に幅広いヘルスケア産業が対象である。2024年の製品別出展社数は公表されていないが、主催者によると、(1)、(2)、(4)の出展が比較的多かったという。

筆者が展示会を回った印象では、「IOT」「認知症」「睡眠」「バリアフリー」をテーマにした製品・サービスを訴える企業が多かった。とりわけ多かったのが、中国企業によるIOT(モノのインターネット)技術の活用である。例えば、介護プランやカルテの電子化などの介護業務支援システム、離床感知センサーなどの介護見守り支援機器、睡眠状態や心拍数などの動きを検知する機能が搭載されたベッド、家の煙やガスなどの異常を感知するシステムなどが見られた。

ブラック ジャック 必勝 法
IOT技術をPRする中国企業のブース(ジェトロ撮影)

認知症については、認知症のケアが可能な施設、施設の設計実績、施設の運営や人材教育に関するコンサルティングサービスをPRする中国企業が増えてきた。中国には1,507万人の認知症患者と3,000万人を超える軽度認知障害者がいるとされており、認知症ケアへの注目度が高まっている。会期中は「認知症」をテーマにしたフォーラムも開催され、中国で認知症ケア施設を運営しているフランスのオルペアや、上海市で認知症患者にやさしいコミュニティの整備に取り組んでいる上海尽美長者服務中心(上海尽美高齢者サービスセンター)などが講演した。

一般来場者を意識したイベントも

上海国際福祉機器展の2024年の特徴ならびに今後の実施計画などについて、主催者である上海国展展覧中心の馬智雯総経理助理に話を聞いた(2024年9月3日ヒアリング)。

質問:
2024年の出展社と来場者にみられる例年と違った変化は。
答え:
中国国務院が2024年1月に発表した「シルバー経済の発展と高齢者福祉の増進に関する意見」(関連ブラック クイーン ブラック ジャック)を受け、シルバー経済の発展ポテンシャルが注目されている。幅広い年齢層の高齢者をターゲットにしたビジネスの可能性を探る企業が増えており、展示会でも、これまで高齢者市場と直結した事業を行わなかった企業の出展が増えた。例えば、中国家電大手のハイアールは、施設や在宅で高齢者の使用に適する品ぞろえを強化しており、初出展した。来場者にも、観光業、ホテル業、クルーズ船運営など、これまであまり見られなかった分野の企業が増えた。

バイヤーでにぎわっているハイアールのブース(ジェトロ撮影)
質問:
主催者による2024年の初の取り組みは。
答え:
一般来場者向けの「銀髪生活節(シルバー生活まつり)」を初めて開催した。高齢者向けの商品を取り扱っている企業約60社が、会場の特定エリアに出展し、自社の商品をPR・販売した。上海市には高齢者用品を専門に取り扱っているリアル店舗が少なく、同出展を通じて、高齢者やその家族に対する認知度の向上を図りたいと考えている。2024年の一般来場者数は前年比で増加しており、来場者全体に占める割合は前年比5.5ポイント増の14.7%だった。メディア向けの広報を強化したほか、上海市の各コミュニティ政府が管轄エリアの高齢者向けに無料送迎サービスを提供したこと、アクティブ高齢者向け有料講座を開設している各種学校の団体客が増加したことなどが割合の拡大に寄与した。
質問:
日本企業の出展動向と日本企業へのアドバイスは。
答え:
海外からは15カ国・地域より出展があり、うち日本企業数は75社と、ブラック ジャック 必勝 法で最多となった。日本企業の出展社数は年々増加しており、中国市場を重視する姿勢がうかがえる。出展分野別でみると、介護・福祉関連の用品や機器を取り扱う企業が圧倒的に多い。日本企業は製品やサービスの品質が保証される半面、綿密かつ慎重な一面があるため、ビジネスチャンスを迅速につかめない面がある。中国の政策・市場動向を的確に把握し、迅速に判断・対応することも重要だと考えている。
質問:
2025年のブース予約状況とイベントの実施計画は。
答え:
約7割が予約済みの状態である。次年度も各種フォーラムと「銀髪生活節」を継続し、BtoBとBtoCをともに重視していく方針だ。フォーラムの議題は、業界が注目しているホットテーマを参考にして、2025年初頭に決める予定だ。

現地での情報収集は必要不可欠

2024年の「上海国際福祉機器展」において、日本企業はジャパンパビリオンまたは独自出展の形で75社が出展し、日本企業のプレゼンスは高かった。ジェトロはジャパンパビリオンを設置し、認知症向けなどの介護サービスや関連商品分野、リハビリ機器を中心とした介護福祉用具分野の日本企業28社が出展した(ブラック ジャック トランプ やり方、「CHINA)。また、中国企業には、日本企業との連携実績または日本のケア理念を参考にして製品化したことをPRした事例が多数みられており、日本のノウハウがまだ高く評価されていることが見て取れる。

一方で、これまで中国市場に参入した日本企業には苦戦しているところも多い。消費者の支払い能力の低下と収益モデルの未確立、優良パートナーの発掘不足、人材不足、競争の激化など、課題も山積(さんせき)しているためだ。したがって、中国市場への参入を検討する企業にとっては、現地市場に関する的確な情報収集がとりわけ重要となる。ネット上で取れる中国の高齢者人口や市場規模だけでなく、展示会などを通じて、現地の市場動向を多方面から入手する必要がある。それを踏まえて、自社の商品・サービスの優位性と課題を正確に分析し、適切な参入時期、参入形式を検討することが求められている。

執筆者紹介
ジェトロ・大連事務所
呉 冬梅(ご とうばい)
2006年から、ジェトロ・大連事務所に勤務。経済情報部を経て、現在はヘルスケアなど各種事業を担当。