国務院、シルバー経済の振興に向けた意見を発表
(中国)
北京発
2024年01月25日
中国国務院は1月15日、「シルバー経済の発展と高齢者福祉の増進に関する意見」を発表した。同意見は、シルバー経済の発展により人口の高齢化に対応しつつ、経済成長を牽引することを図るものだ。
同意見では、(1)生活関連事業の発展による喫緊の課題の解決、(2)高齢者向け製品の供給拡大・品質向上、(3)多様化するニーズに応えるための産業の育成、(4)シルバー経済の発展に必要となる土地・資金・人材などの確保やビジネス環境の改善、の4つの分野に関する26項目の措置を打ち出した。
(1)については、高齢者向けの食事配給サービスの拡大、在宅高齢者支援サービスの充実、社区(コミュニティー)における高齢者向けのサービスの拡大、高齢者向け健康サービスの改善、介護サービスの整備、高齢者向け文化・スポーツサービスの充実、農村の養老サービスの向上といった面から具体的な取り組みが盛り込まれた。
(2)については、京津冀(北京市・天津市・河北省)、長江デルタ、広東・香港・マカオグレーターベイエリア、四川省成都市・重慶市などで、シルバー経済に特化したハイレベルの経済産業園区を10カ所程度設けることとした。そのほか、シルバー経済分野のリーディングカンパニーの育成、関連企業のチェーン展開やグループ化支援、介護サービス、文化・観光、高齢者用品、バリアフリー改修などにおける標準化のトライアル実施などの措置を通じて、高齢者製品の供給拡大・品質向上を図るとした。
さらに、(3)については、機能性の高い、高齢者向けの服・靴・帽子や健康食品などの開発の強化、スマート介護ロボットや徘徊防止のためのスマート端末などのスマートデバイスの普及、リハビリ補助器具、介護用具産業、アンチエイジング産業の発展促進などにより潜在力がある産業を育成するとした。
国家統計局の発表によれば、中国の2023年末時点の60歳以上の人口は2億9,697万人となり、総人口の21.1%を占めた。また、試算によれば、中国のシルバー経済の市場規模は約7兆元(約140兆円、1元=約20円)、GDP比では約6%となっており、2035年には約30兆元に達すると見込まれている(「新華社」1月17日)。
(張敏)
(中国)
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