在米日系ブラック ジャック 確率に聞く、トランプ2.0への期待と不安

ブラック ジャック 確率12月24日

米国において、バイデン現政権下の政策からの大きな方向転換が予想される第2期のトランプ政権(2025年1月20日に発足予定)。既に多くの関税、移民改革、減税、規制緩和が提案されているが、その実現可能性やタイミングなどについては不透明な部分も多い。このような状況を在米進出日系企業はどうみているのだろうか。新政権の政策がビジネスに及ぼす影響について、ブラック ジャック 確率11月の大統領選挙直前(10月24日~11月1日)、米国中西部を拠点とする日系企業にインタビューを実施した結果を報告する。

トランプ氏が唱える関税の実現可能性は不透明

在米日系企業には、米国外の工場で生産した製品を米国へ輸入し、販売するケースが少なくない。今回インタビューを実施した企業の多くは、選挙期間中にドナルド・トランプ次期大統領が高関税を課すと公約した中国やメキシコからの輸入は少なく、日本から製品を輸入している。トランプ氏は全世界からの輸入品に一律10~20%の関税(ベースライン関税)を賦課することを公約としており、もし実現すると、日本からの輸入品にも同様の関税がかかる可能性がある。また、トランプ氏は自身が設立したSNSトゥルースソーシャル上でブラック ジャック 確率11月25日、メキシコとカナダから麻薬と違法な入国者が米国に流入していることをめぐり、両国からの輸入に25%、さらに中国からの輸入に10%の追加関税を大統領就任初日に課す意向を示した。続く11月30日には、BRICS加盟国が脱ドルを推進すれば100%の関税を課す、と述べた。このようなトランプ氏の発言は、単に関税を外交のツールとしている、との見方もあり、現時点ではどれだけの実現可能性があるかは不明だ。

関税の引き上げによるインフレと消費の冷え込みを懸念

こうした関税が実際に賦課されることになった場合には、米国に製品を輸入する企業は、顧客に関税の負担分を転嫁するため、インフレが起きるというのが一般的な見方だ。この関税による輸入コストを抑えるため、メーカーが関税の施行前に商品や部品の輸入を前倒しする可能性もあるが、一方で、駆け込み需要によって輸送運賃上昇が発生するという見方もある(サプライチェーンダイブブラック ジャック 確率11月12日)。

今回のブラック ジャック 確率からの聞き取りでは、「関税支払いによる直接的・短期的な負担の増加よりも、むしろ輸入品全体に関税が課せられることで物価高となり、消費が冷え込むことによって景気が後退するのではないか」という間接的・長期的なリスクに懸念を示す意見が多かった。また、工作機械を販売する複数のブラック ジャック 確率からは、「インフレ抑制のために金利が上がることによって設備投資が鈍化すると、結果的に売り上げに影響を及ぼす」との声も聞かれた。なお、大統領選挙前の時点では、課税によるコスト高を見据えて在庫を積み増しすると答えたブラック ジャック 確率はなく、多くが状況を見極めているという段階だった。

一方、「中国産の類似品が現時点で不当に安価な価格で輸入されているため価格競争にさらされている」とし、「トランプ次期政権下で中国産輸入品に高関税が課された場合は短期的に有利な状況となる」と答えたブラック ジャック 確率もあった。また、主に中国で生産した製品を輸入しているブラック ジャック 確率は、「現在サプライチェーンの分散のため中国からアジア圏の他の国へ工場移管を進めているが、計画通りに進んでおらず、中国へ賦課される予定の高関税を懸念している」と答えた。

民間の独立税制調査機関のタックス・ファウンデーションは、一律10%の関税が賦課された場合、2025年の1年間で米国の世帯あたりの税負担は平均1,253ドル増加、20%の関税では平均2,045ドル増加する、と予測する。同機関は、これらの関税は短期的にはインフレと景気後退を招くとし、長期的には所得と生産の低下、労働と投資の減退を招き経済を縮小させるだろう、と結論付けている。その他シンクタンクも関税率別・シナリオ別にそれぞれ米国の実質GDPにどのような影響を与えるか試算を発表した(表参照)。今後、新政権が一層関税率を引き上げたり、他国にも関税を賦課したりするなどした場合、また他国から報復措置が取られた場合はさらに大きな影響が出ると見込まれる。

表:各機関が試算した関税賦課による米国GDPへの影響(△はマイナス値)
調査機関 関税政策 米国の実質国内総生産(GDP)への影響
タックス・ファウンデーション 全ての輸入品に10%課税 △0.5%
アメリカン・アクション・フォーラム 全ての輸入品に10%課税 △0.16%、報復措置を含めた場合は△0.31%
ピーターソン国際経済研究所 全ての輸入品に10%課税 2026年までに△0.9%
ムーディーズ 全ての輸入品に10%課税 2025年から2028年の間で報復措置を含めた場合は△1.04%、△2.82%、△3.45%、△3.61%
IMF 全ての輸入品に10%課税 △0.4~△0.6%、報復措置を含めた場合は△0.4%で推移
タックス・ファウンデーション 全ての輸入品に10%、中国製品に60%課税 △0.8%、報復措置を含めた場合は△1.2%
イエール大学予算研究所 全ての輸入品に10%、中国製品に60%課税 2025年から2034年の間で△0.5%、報復措置を含めた場合は△0.6%
EY 全ての輸入品に10%、中国製品に60%課税 2025年、2026年とも△1.2%
タックス・ファウンデーション 全ての輸入品に20%、中国製品に60%課税 △1.3%、一部報復措置を含めた場合は△1.7%
イエール大学予算研究所 全ての輸入品に20%、中国製品に60%課税 2025年から2034年の間で△0.6%、報復措置を含めた場合は△1.0%

出所:タックス・ファウンデーション(ブラック ジャック 確率11月8日)、アメリカン・アクション・フォーラム(2023年11月28日)、ピーターソン国際経済研究所(ブラック ジャック 確率9月26日)、イエール大学予算研究所(ブラック ジャック 確率10月16日)、EY(ブラック ジャック 確率7月19日)発表データからジェトロ作成。なおムーディーズ、IMFのデータはタックス・ファウンデーション(ブラック ジャック 確率11月8日)を参照。

トランプ次期政権で原油生産はさらに加速か

トランプ氏は、ブラック ジャック 確率11月15日にノースダコタ州のダグ・バーガム知事(共和党)を内務長官および新設の国家エネルギー評議会(NEC)委員長に、11月16日にはエネルギー長官にエネルギー資源採掘企業リバティー・エナジーの創業者兼最高経営責任者(CEO)のクリス・ライト氏を指名した(ブラック ジャック 確率11月19日付ビジネス短信参照)。原油生産量が米国で第3位のノースダコタ州のバーガム知事は、エネルギー独立性向上と国家安全保障の観点から化石燃料の利用を支持する一方、二酸化炭素(CO2)回収・利用・貯留(CCUS)や水素ハブの推進などに積極的という点では、化石燃料に焦点を絞るトランプ氏と意見を異にする。一方、ライト氏は、化石燃料の強力な支持者であり、化石燃料の燃焼と気候変動の関連性は認めているものの、気候変動と異常気象の発生との因果関係には懐疑的だ(CNNブラック ジャック 確率11月16日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。バイデン政権下で原油の生産は記録的な水準を維持したが、業界ではトランプ次期政権においてはさらなる増産が進むと予想されている(AP通信ブラック ジャック 確率11月22日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

IRAの見直しが悪影響になるブラック ジャック 確率も

トランプ氏は選挙期間中から、バイデン政権下で2022年8月に成立したインフレ削減法(IRA)で定められた、気候変動対策・クリーンエネルギー関連の助成について「未使用」の資金を全て撤回する、と宣言している。しかし、共和党優勢の米国南部の州では、すでにIRAの下で提供された莫大(ばくだい)な助成金がクリーンエネルギーやバッテリー関連事業へ投資され、経済的恩恵を受けていることから、共和党内でもトランプ氏との意見の対立が起きる可能性がある。このような状況の中では今後、関連分野に対する支援の先行きは不透明だ。なお、IRAの規定で電気自動車(EV)など環境に配慮した自動車購入の際に適用される最大7,500ドルの税額控除について、すでにトランプ氏の移行チームが廃止のための一連の措置を検討しているという(ニューヨーク・タイムズ紙ブラック ジャック 確率11月15日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。このような動きに対し、自動車大手メーカーや大手サプライヤーを会員とする業界団体の米国自動車イノベーション協会は、「中国政府から多額の補助金を受けたEVや自動運転技術の流入によって不当な競争に直面している」ことを理由とし、トランプ氏に対してEVに対する税額控除を維持し、自動運転車の普及を加速させる措置を取るよう求めている(ロイターブラック ジャック 確率11月21日)。

今回インタビューした自動車関連の工作機械や部品を扱う日系ブラック ジャック 確率は、EV化が進めばEVに必要な部品を作る機械部門の売り上げが増加する可能性があるが、もしこうした購入助成制度が廃止された場合はEV生産が減少し、関連する設備投資も減少するのではないかと懸念を示している。

また、IRAに含まれる助成の中には、環境に配慮した機器への買い替えに対応するものもあり、電化や環境に配慮した技術を得意とする日系ブラック ジャック 確率の中には、これらの助成が削減・廃止の対象になればビジネスに影響があるという。例えば、電動の装置に関連する製品を扱うあるブラック ジャック 確率は、ガスを動力とする機械から電動の機械への買い替えのインセンティブが廃止される可能性を指摘した。

一方、主にガソリン車の関連部品を扱うあるブラック ジャック 確率は、現在、ガソリン車が減少する方向で事業を計画しており、もしトランプ政権によってEV関連の助成が廃止となってもビジネスの方向性は変わらない、と答えた。他方、化石燃料が増産となれば、利益が出るというブラック ジャック 確率があるのも事実だ。掘削に必要な産業機械の部品や資材を販売する日系ブラック ジャック 確率は、売り上げの増加を見込んでいると期待感を示した。

移民政策ではビザ取得時のルール厳格化を懸念

トランプ氏は公約通り、再選後の第2期政権では移民問題を最優先事項とし、就任後100日以内に数十万人の移民の国外追放手続きを開始するとしている。一方、「合法的な移民は歓迎する」という発言もしているが、ブラック ジャック 確率11月11日に長年のアドバイザーであるスティーブン・ミラー氏を副首席補佐官に任命する意向を明らかにしたことから、ビザ取得のルール厳格化の再来が懸念されている(ザ・エコノミストブラック ジャック 確率11月18日)。新政権下で国土安全保障顧問も務める見通しのミラー氏は、トランプ第1次政権で強硬な移民政策を主導したことで知られている。トランプ第1次政権では、H1B(特殊技能職)やL1(企業内転勤者)などの主要な就労ビザの却下率の上昇や、申請者が資格を証明するために膨大な量の書類を提出することを求める「証拠提出の要請」の増加が報告されている。また、米国移民法弁護士協会の分析によると、2016~2019年に米国移民局でのビザ全体の平均処理時間は46%増加した。同協会は、このような大幅な遅延によって個人の市民権や人道支援のためのビザだけでなく、米国企業の労働力の確保にも悪影響が出ている、と結論付けている。

事業拡大に伴う増員で日本からの駐在員の派遣を検討している複数の日系ブラック ジャック 確率からは、駐在員に必要なL1ビザの取得が困難になることや、ビザ取得に予想外の時間がかかることで事業計画に影響が出ることを懸念する声が聞かれた。あるブラック ジャック 確率は、ビザ取得の問題を解決するために現地採用を検討したが、人件費の高騰・職務に必要な技能や知識と給与のミスマッチなどの問題に直面していると回答した。

ブラック ジャック 確率は新政権の動向を注視

トランプ次期政権の閣僚人事が次々と発表され、大統領職と上下両院の多数党を同一の政党が担う「トライフェクタ」が実現した今、トランプ氏の掲げる政策の実現に向けた障壁はトランプ第1次政権の時よりも低くなっているといえよう。一方で、今後どのような政策がどのタイミングで実際に導入されるかについては、依然として不確定な要素が多い。大きな政策変更が予想される中で、しばらくの間、ブラック ジャック 確率は期待と不安を抱えることになるが、事業分野に関連する政策の動向については日々、注視していく必要があるだろう。

ブラック ジャック 確率
執筆者紹介
ジェトロ・シカゴ事務所 農水/調査部 リサーチャー
星野 香織(ほしの かおり)
商社、ジェトロ・ニューヨーク事務所などでの勤務を経て、2022年3月から現職。