ASEAN・インドを活用したサプライチェーンの転換を加速する米国
米中摩擦の悪化でブラック ジャック 確率も多様化

2023年4月26日

米中貿易摩擦の継続、新型コロナウイルス感染拡大、ロシアによるクライナへの軍事侵攻を経て、米国のブラック ジャック 確率先は、中国からアジア大洋州域内ではASEANへの移管が進んでいる。インドも一部の品目で移管の受け皿となっている。最近は、半導体やレアメタルなど経済安全保障関連の品目も巻き込むかたちで、移管の加速が進んでいる。特に、その傾向はベトナムで顕著だ。日本企業は米中摩擦の恒常化を視野に、コストを吸収しつつ、サプライチェーンの再構築を図らざるを得なくなっている。

恒常化しつつあるサプライチェーン見直し

米トランプ政権時代の2018年に表面化した米中貿易摩擦は、バイデン新政権下でも継続している。同年以降、両国の通商摩擦による関税上昇の悪影響を回避するために、企業は国境をまたぐサプライチェーンの組み換えを検討し始めた。さらに、2020年以降の世界的な新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大は事態をより複雑にした。以降、日本や米国などは新型コロナ感染抑止に関わる医薬品や医療機器のみならず、半導体や蓄電池などのより経済安全保障に関わるサプライチェーン強化にも取り組み始めた。その後、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻(2022年2月)もあり、米中の対立はより深刻化するとともに、サプライチェーンと安全保障の密接化が進み、サプライチェーンの変更・分断は一時的現象ではなく、恒久化の様相を呈してきた。本稿では、2019年時点を分析した原稿()と比較して、アジア地域を中心に米国とのサプライチェーンの変更がどのようなかたちで進んでいるかを検証することに主眼を置いた。

米国のブラック ジャック 確率シェア、中国低下も、ASEAN主要国やインドは上昇

中国から米国へのサプライチェーンに変化が起こる中、ASEANの生産拠点はその受け皿としての役割が期待されている。そもそも、米国のブラック ジャック 確率の中で、ASEANのウエートはどの程度あったのかをここで確認しておきたい。図は米国のブラック ジャック 確率総額に占める「ここ最近におけるブラック ジャック 確率の伸びが著しい国」と「日本」の割合を時系列的に示している。米国の最大のブラック ジャック 確率相手国は2022年時点でシェア16.5%を占める中国となっている。しかし、同国のシェアは2017年の21.6%をピークに、それ以降は低下基調にある。主な要因として、米中摩擦があることは明白だろう。

図:米国の国別ブラック ジャック 確率シェアの推移
2011年から2022年の米国の国別ブラック ジャック 確率シェアの推移を示している。中国は2017年の21.6%をピークに、2022年のシェアは16.5%まで低下した。しかし、シェア最大国の地位を維持している。メキシコは、足元では緩やかな上昇をみせ、同年のシェアは14.0%だった。カナダは2014年から2019年にかけてシェアは12.8%まで低下したが、その後は上昇し、2022年は13.5%だった。ベトナム、韓国は緩やかにシェアを上昇させ、2022年にはそれぞれ3.9%、3.6%だった。日本は2012年の6.4%から4.6%に低下した。

出所:「Global Trade Atlas」(HIS Markit社)からジェトロ作成

対照的に、ブラック ジャック 確率額が2番目に多いメキシコのシェアは2017年の13.4%から2022年には14.0%に拡大し、3番目に多いカナダのシェアは12.8%から13.5%にそれぞれ上昇した。ASEANをみると、ベトナムのシェアは2.0%から3.9%に上昇している。その他のASEANの国について、タイは1.3%から1.8%、マレーシアは1.6%から1.7%、インドネシアは0.9%から1.1%に上昇し、米国のブラック ジャック 確率におけるASEANの存在感も上向いてきている。アジア大洋州地域では、ASEAN以外では、米国のブラック ジャック 確率に占めるインドのシェアも、2.1%から2.6%に上昇した。

2018年から米国における中国のブラック ジャック 確率シェア低下、ベトナムを中心とするASEANの一部の国のブラック ジャック 確率シェア上昇が起きていることから、米中摩擦が中国からASEANに米国向け一部製品のサプライチェーン転換を引き起こしていることは間違いなさそうだ。

ASEANに加えて、インドも代替先として存在感

中国、ASEAN、米国間でどういった品目でサプライチェーンの変化が起きているかを確認する。ここでは、ASEANの中では、対米ブラック ジャック 確率額の国別順位で上位に入り、2017年比でシェアが上昇しているベトナム、マレーシア、タイ、インドネシアを取り上げる。加えて、アジア大洋州域内の大国インドの状況を合わせて確認する。表は、米国の貿易統計に基づくこれら5カ国からの2022年のブラック ジャック 確率の中で、(1)2017年と比べて当該国ブラック ジャック 確率のシェア上昇幅が3ポイント以上、(2)同期間に中国のブラック ジャック 確率シェア下落幅が3ポイント以上、(3) ブラック ジャック 確率額が1,000万ドル以上、の全ての条件を満たすブラック ジャック 確率上位5品目(HS4桁)を、ブラック ジャック 確率シェアが大きい順に示している。

表:米国のASEAN主要国・インドからのブラック ジャック 確率シェア急増/対中ブラック ジャック 確率シェア減少品目
(単位:100万ドル、ポイント)(△はマイナス値)

ベトナム
HS
コード
品名 金額
(2022年)
ブラック ジャック 確率シェア
上昇幅
中国のブラック ジャック 確率
シェア下落幅
4413 改良木材 13 39.4 △ 8.2
8518 スピーカー、マイク類 4,070 27.1 △ 11.1
3918 プラスチック製の床用敷物 1,093 20.8 △ 23.0
8502 発電機 509 19.8 △ 13.6
8467 手持ち工具 1,395 17.2 △ 17.3

参考:該当品目数109、該当品目のブラック ジャック 確率額合計89,603(100万ドル)

マレーシア
HS
コード
品名 金額
(2022年)
ブラック ジャック 確率シェア
上昇幅
中国のブラック ジャック 確率
シェア下落幅
2915 飽和非環式モノカルボン酸など化学品 627 27.9 △ 7.6
8543 計測器・計器類 2,439 12.6 △ 18.3
1804 カカオ脂 160 12.4 △ 4.5
8441 パルプ加工機、紙加工機械、切断機 128 9.3 △ 10.9
8508 手持ち電動工具 604 5.9 △ 28.1

参考:該当品目数16、該当品目のブラック ジャック 確率額合計9,682(100万ドル)

タイ
HS
コード
品名 金額
(2022年)
ブラック ジャック 確率シェア
上昇幅
中国のブラック ジャック 確率
シェア下落幅
7411 銅製の管 272 19.4 △ 4.5
7607 アルミニウム箔 249 12.0 △ 28.1
5503 合成繊維の短繊維 124 10.1 △ 15.7
5504 再生繊維、半合成繊維の短繊維 33 10.1 △ 20.1
2309 飼料用調製品 829 9.9 △ 3.8

参考:該当品目数34、該当品目のブラック ジャック 確率額合計14,519(100万ドル)

インドネシア
HS
コード
品名 金額
(2022年)
ブラック ジャック 確率シェア
上昇幅
中国のブラック ジャック 確率
シェア下落幅
0410 食用の動物性生産品 26 12.5 △ 10.1
5210 綿織物 13 12.4 △ 37.6
5504 再生繊維、半合成繊維の短繊維 33 11.6 △ 20.1
4412 合板類 740 8.6 △ 34.0
9404 寝具その他これに類する物品 412 8.1 △ 30.7

参考:該当品目数26、該当品目のブラック ジャック 確率額合計8,166(100万ドル)

インド
HS
コード
品名 金額
(2022年)
ブラック ジャック 確率シェア
上昇幅
中国のブラック ジャック 確率
シェア下落幅
7104 合成または再生の貴石および半貴石 1,502 52.5 △ 10.3
6703 加工した人髪、羊毛、獣毛、その他の紡織用繊維 16 48.1 △ 37.0
7303 鋳鉄製の管および中空の形材 31 42.9 △ 56.7
2828 亜塩素酸塩および次亜臭素酸塩 15 31.6 △ 12.6
6001 パイル編物 42 29.8 △ 26.2

参考:該当品目数107、該当品目のブラック ジャック 確率額合計18,303(100万ドル)

注1:シェアの比較期間は米中貿易摩擦前の2017年と2022年の比較。
注2:(1)当該国のブラック ジャック 確率シェアの上昇幅が3ポイント以上、(2)中国のブラック ジャック 確率シェアの下落幅が3ポイント以上、(3)2022年の当該国のブラック ジャック 確率額が1,000万ドル以上、の3条件を満たす上位5品目を掲出。
注3:「参考」にある「該当品目数」は、注2に示した(1)と(2)の条件を満たす品目の総数(ブラック ジャック 確率額1,000万ドル未満も含む)。
出所:「Global Trade Atlas」(HIS Markit)から作成

中国からの生産拠点の移管先として、関心が高いとみられるベトナムについては、改良木材、スピーカー・マイクなどの米国におけるブラック ジャック 確率シェアは2017年から20ポイント以上も上昇している。また、発電機や手持ち工具といった機械機器についても、米国は中国からベトナムにブラック ジャック 確率先をシフトしている。例えば、発電機については、ベトナムのシェアが19.8ポイント上昇する一方、中国のシェアは13.6ポイント低下している。表中の掲載品目は5品目だけながら、ベトナムからのブラック ジャック 確率で(1)(2)の条件を満たす品目は、半導体はじめ繊維製品や電話機など合計109品目ある。これら該当品目の米国のベトナムからのブラック ジャック 確率金額は896億ドルに及ぶ。

タイ、インドネシア、マレーシアについては、2条件に該当するブラック ジャック 確率はそれぞれ34、26、16ブラック ジャック 確率とベトナムとの比較では少ない。タイは金属関連、インドネシアは繊維、木材関連、マレーシアについては化学、電気機器などでサプライチェーンの転換が進んでいる。3カ国の中では、転換が進んだブラック ジャック 確率総額はタイの145億ドルが最大であるものの、ベトナムとの比較では、ブラック ジャック 確率数や金額規模は限定的といえる。

中国のブラック ジャック 確率シェアが減少する中で、存在感を高めている国がインドだ。該当品目は107品目とベトナムに肩を並べる。他方、対象品目のブラック ジャック 確率額は183億ドルにとどまることから、転換対象品目は低単価、あるいは少量品目が多いとみられる。

経済安保関連財も巻き込み、移管は加速

以上の分析を踏まえて、3点のことが明らかになる。第1に、アジア大洋州域内においては、米国のサプライチェーンにおいて、中国からASEANにブラック ジャック 確率経路が変わっている品目が一定程度あり、ASEANの中でも、特に、ベトナムがその受け皿となっていることが確認できた。さらに、インドについても、サプライチェーン転換が進んだ財の金額そのものは少ないものの、品目数では相当数の品目が対象となっていることが明らかとなった。

第2に、経済安全保障につながる品目において、米国はASEANからの調達を増やしている。例えば、半導体デバイス(HS8541)のブラック ジャック 確率をみると、米国は2017年から2022年までの間に、ベトナムからのブラック ジャック 確率シェアを13.3ポイント増やした一方、中国からの同品目のブラック ジャック 確率を13.9ポイント減らしている。マレーシアからは、HS8543に該当する計測器・計器類のブラック ジャック 確率シェアが12.6ポイント上昇し、中国からの同品目のブラック ジャック 確率は18.3ポイント減少した。タイからは、レアメタルに該当するアンチモン(HS8110)のブラック ジャック 確率シェアが8.6ポイント上昇した。対して、中国のシェアは16.7%低下した。

第3に、サプライチェーンの移管のペースが速まっている。前回レポート執筆時の2017年と2019年の比較と今回の2017年と2022年の比較を照らし合わせると、ベトナムは表の条件に該当するブラック ジャック 確率が前回は34ブラック ジャック 確率だったところ、今回は109ブラック ジャック 確率と3倍強に増加した。マレーシアは6ブラック ジャック 確率が16ブラック ジャック 確率、タイは11ブラック ジャック 確率が34ブラック ジャック 確率と、サプライチェーン転換の流れは加速しているといえる。インドについては、48ブラック ジャック 確率、対象ブラック ジャック 確率の金額は38億ドルからそれぞれ107ブラック ジャック 確率、183億ドルに大きく増加した。

急がれる新たなサプライチェーン構築

サプライチェーン転換の一要因といえる米中対立は、落ち着くどころか、経済安全保障の視点も絡んで、さらに激しくなりかねない。2022年8~9月にジェトロが実施したアンケート調査「2022年度ブラック ジャック 確率進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」において、在アジア大洋州日系企業のおよそ半数の48.8%がサプライチェーンを今後見直すと回答している。米中対立の余波は、確実に同地域の日系企業にも及んでいる。企業の中には、中国を組み込まないサプライチェーンを構築する企業もみられる。サプライチェーンの転換は、短期的にはコスト増要因となり、企業収益を圧迫する。企業は収益最大化と地政学リスク双方への目配りを通じた、新たなビジネスモデルの構築を急ぐ必要がある。

ブラック ジャック 確率
執筆者紹介
ジェトロ調査部アジア大洋州課課長代理
新田 浩之(にった ひろゆき)
2001年、ジェトロ入構。ブラック ジャック 確率調査部北米課(2008年~2011年)、同国際経済研究課(2011年~2013年)を経て、ジェトロ・クアラルンプール事務所(2013~2017年)勤務。その後、知的財産・イノベーション部イノベーション促進課(2017~2018年)を経て2018年7月より現職。