中国、ブラック ジャック オンライン、輸出は世界2位に
2023年8月3日
2022年の中国の自動車販売台数は2,686万4,000台だった。新型コロナウイルス感染拡大が影響する中でも、前年比2.1%増となり2年連続で増加した。要因は新エネルギー車(NEV)の販売増だ。前年比で93.4%増と、2021年に続いて大幅に伸びた。自動車販売台数に占めるNEVのシェアは25.6%に達した。自動車輸出台数は311万1,000台、前年比54.4%増となり2年連続で過去最高を更新した。
販売台数は2年連続増
中国自動車工業協会(CAAM)の発表によると、2022年の中国の自動車販売台数は前年比2.1%増の2,686万4,000台と、2年連続で増加した。
中国の自動車販売台数は、2017年の約2,888万台をピークに3年連続で減少していた。しかし、2021年に増加に転じ、2022年も都市ロックダウンなど厳しい新型コロナウイルス感染対策の影響下にもかかわらず、増加を維持した。ただし伸び率は、前年比で1.7ポイント鈍化した(図1参照)。販売台数の内訳をみると、乗用車は9.5%増の2,356万3,000台、商用車は31.2%減の330万台だった。
なお、2022年の自動車生産台数は3.4%増の2,702万1,000台と、販売台数を超える伸びになった。
2022年の販売台数を月別にみると、1~2月は2021年の伸びが高かったにもかかわらず増加を維持するなど、堅調に推移した。しかし、3~5月には吉林省長春市や遼寧省瀋陽市、広東省深セン市、上海市といった大都市でのロックダウンなどが影響し、前年同月比で大幅に減少した。その後、6月以降9月までは20%を超える伸びが続いた。要因としては (1)ロックダウンが解除されたことや、(2)前年の伸び率が半導体不足による生産減の影響もあってマイナスだったことに加え、(3)自動車取得税の減税(注1)など中国政府による刺激策(主な刺激策は表参照)や、(4)各地方政府による購入補助金(2022年7月1日付ビジネス短信参照)などが奏功したと見られる。10月からは新型コロナウイルス感染が再拡大し、各地で行動制限が強化されたことなどから、販売台数の伸び率は11月、12月はマイナスとなった(図2参照)。
成立日 | 組織 | 名前 | 番号 | 主な内容(自動車関連) |
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2022/4/20 | 国務院弁公庁 | 消費の潜在力をさらに引き出すことによる消費の持続的な回復の促進に関する意見 | 国弁発〔2022〕9号 |
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2022/5/17 | 国務院弁公庁 | 貿易の安定維持と質の向上推進に関する意見 | 国弁発〔2022〕18号 |
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2022/5/24 | 国務院 | 経済安定に向けた一括した政策措置に関する通知 | 国発〔2022〕12号 |
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2022/5/25 | 財政部 | カーボンピークアウト・カーボンニュートラル実現業務支援の財政支援意見 | 財資環〔2022〕53号 |
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2022/5/31 | 財政部 | 一部乗用車の車両取得税の減額に関する公告 | 財政部、税務総局公告2022年第20号 |
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2022/7/5 | 商務部など | 自動車流通の活性化と自動車消費拡大に関する若干の措置 | 商消費発〔2022〕92号 |
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2022/9/18 | 財政部、税務総局、工業・情報化部 | NEVの自動車取得税免税政策の継続に関する公告 | 財政部、税務総局、工業・情報化部公告2022年第27号 |
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2022/10/15 | 国務院弁公庁 | 第10回全国「放管服」深化テレビ電話会議重点任務分担法案に関する通知 | 国弁発〔2022〕37号 |
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2022/11/21 | 工業・情報化部、国家発展改革委員会、国有資産管理委員会 | 回復の勢いを固め、工業経済振興に力を入れる通知 | 工信部聯運行〔2022〕160号 |
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出所:中国政府ウェブサイト
NEVが伸びを牽引、ガソリン車などは減少
ブラック ジャック オンラインの増加は、新エネルギー車(NEV)が好調だったことによる。NEVの販売台数は前年比93.4%増の688万7,000台と、2021年(約2.6倍)に続いて大幅に増加した。自動車販売台数に占めるシェアは25.6%に達した(図3参照)。
NEVのうち、バッテリー式電気自動車(BEV)が81.6%増の536万5,000台、プラグインハイブリッド車(PHEV)が約2.5倍の151万8,000台だった。一方、ガソリン車など非NEVの販売台数は12.2%減だった。非NEVは2018年以降、一貫して前年比で減少している。
NEVの企業グループ別販売台数は、1位がBYDで186万2,000台(前年比約3.1倍)、2位が上海汽車で105万9,000台(45.5%増)、3位がテスラで71万1,000台(46.8%増)、4位が東風汽車で50万2,000台(約2.5倍)、5位が吉利汽車で32万9,000台(約4倍)だった。
中国企業はNEVへのシフトを強めている。BYDは、2022年3月に化石燃料の完成車の生産を終了し、現在はNEV生産に特化している。また、上海汽車は2022年12月18日、2025年には販売台数の40%をNEVにすると発表した。
日系は引き続き外資系2位
2022年の乗用車販売台数について国別(注2)シェアを見ると、中国系が前年比5.5ポイント増の49.9%で、2年連続でシェアを拡大した。外資系ではドイツ系が19.5%(前年比1.1ポイント減)、日系が17.8%(2.8ポイント減)、米国系が9.4%(0.8ポイント減)、韓国系が1.6%(0.8ポイント減)、フランス系が0.8%(0.2ポイント増)だった(図4参照)。
日系は2012年にドイツ系に外資系1位を奪われて以降、一貫して2位にとどまっている。2021年はドイツ系とほぼ同シェアにまで回復したものの、2022年には再度差が拡大した。
2022年は、フランス系を除いて主な外資系はいずれもシェアを落とした。原因としては、NEVの販売台数が中国系に後れを取っていることが大きい。乗用車市場信息聯席会(CPCA)のNEV乗用車の企業別販売台数ランキング上位15社を見ると、3位のテスラのほかは、一汽大衆が14位、上汽大衆が15位〔いずれもフォルクスワーゲン(VW)の合弁会社〕に入っているにとどまる。NEV市場が急激に拡大する中で、ガソリン車を中心とするラインナップで販売を拡大するのは難しくなっている。なお、CAAMによると、NEVに占める中国系のシェアは79.9%に達している。
中国が世界2位の自動車輸出国に
2022年の中国の自動車輸出台数は前年比54.4%増の311万1,000台で、2年連続で過去最高を更新した(図5参照)。自動車輸出台数は2021年に前年比で倍増し200万台を超え()、2022年も引き続き大幅増となった。輸出台数のうち、NEVは2.2倍の67万9,000台と全体の伸びを押し上げた。現地メディアでは自動車輸出台数はドイツを上回り日本に次いで世界2位となったと報じられている(中国、新エネルギー車を中心に自動車カジノ 無料が急拡大)。
CAAMによると、2022年の中国からの完成車輸出先は、1位がメキシコ(25万4,000台)。2位サウジアラビア(22万2,000台)、3位チリ(21万2,000台)、4位ベルギー(20万7,000台)、5位ロシア(16万2,000台)と続く。欧州自動車工業会(ACEA)によると、ロシアはウクライナ侵攻の影響で国内の自動車生産が67.4%減となり、さらに日米欧韓などの主要自動車生産国がロシア向け輸出を停止している。このような状況の中、中国メーカーはロシアへの輸出を継続していることもあり、現地で急激にシェアを伸ばしているとされる(2022年8月17日付地域・分析レポート参照)。
2022年の中国からのNEV輸出先は、1位がベルギー、2位が英国、3位がフィリピンとなっている。ベルギーが最大になった理由としては、港湾での完成車取扱台数が世界最大のアントワープ・ブルージュ港を擁するというのが大きい。同国に輸出されたのち、欧州各国に再輸出されていると考えられる。
中国系メーカーは引き続き国外販売に力を入れている。東風汽車集団傘下のNEVメーカー嵐図汽車(VOYAH)は2022年6月12日、ノルウェーのオスロに販売拠点を開設した。中国国有NEV企業による国外販売拠点設置はこれが初とされる。なおノルウェーでは、中国からのNEV輸入が大幅に増加しているとされる()。
中国系メーカーが消費地で生産を進める動きも進んでいる。BYDは2022年9月8日、タイのWHAグループ(注3)と契約を締結し、現地で国外初の乗用車工場を建設すると発表した。2024年に生産開始予定で、年間生産能力は15万台を予定している。タイ国内での販売に加えて、ASEAN加盟国などへの輸出も目指す。また、SAICモーターCP(上海汽車とタイのチャロン・ポカパングループの合弁)は、現地で充電ステーションを整備するなど、EV普及に向けた環境整備を進めている(広報と充電ステーション拡充に注力(カジノ 無料)。
中古車販売台数は前年比減、日系は化石燃料車残価率でトップ
中国自動車流通協会(CADA)によると、2022年の中古車販売台数は8.9%減の1,602万7,800台だった。2022年は1月、2月を除くすべての月で前年同月比減となった。
中古車平均価格は、12月時点で5万9,300万元(約118万6,000円、1元=約20円)、前年比で1万2,500万元低下した。
調査会社のJ.D.Powerは、中古車の国別(注2)残価率(注4)について発表している。その結果によると、化石燃料車では1位が日系(57.5%)、2位はドイツ系(53.2%)、3位は韓国系(48.3%)だった。ブランド別ではレクサス(68.5%)、東風本田(63.9%)、ポルシェ(63.5%)、広汽本田(60.8%)、広汽トヨタ(59.7%)と日系が上位を占めた。
一方で、EV残価率の国別(注2)1位は米国系(65.4%)、2位ドイツ系(47.5%)、3位中国系(42.4%)。日系は、4位(34.7%)だった。
2023年1~4月もNEVは大幅増
CAAMによると、2023年1~4月の自動車販売台数は、前年同期比7.1%増の823万5,000台となった。その中で、NEVは42.8%増の222万2,000台だった。伸び率がやや減速したとは言え、大幅増を維持している。自動車輸出台数は89.2%増の137万台、NEVだけに限ると2.7倍の34万8,000台となっている。
CAAMは、2023年も自動車販売台数は引き続き安定を維持するとした。伸び率としては、3%前後の増加を予想している。
- 注1:
- 自動車取得税の減税については、2022年6月6日付、を参照。
- 注2:
- 完成車メーカーの本拠地所在国別。
- 注3:
- WHAグループは、工業団地運営などを事業種目とする。
- 注4:
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残価率=取引価格÷希望小売価格×100。
ここで言う「取引価格」は、CtoBのオークション価格。化石燃料車は購入後3年、EVは購入後1年の価格が適用される。
- 執筆者紹介
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ジェトロ・北京事務所 経済分析部 部長
河野 円洋(かわの みつひろ) - 2007年、ジェトロ入構。在外企業支援・知的財産部知的財産課、ジェトロ岐阜、ブラック ジャック オンライン調査部中国北アジア課、ジェトロ・広州事務所、企画部企画課を経て2022年1月より現職。