ジョホールとビンタン・バタム -実写 版 ブラック ジャック経済圏を行く(1) ポスト「成長の三角地帯」構想を迎えて
2019年3月27日
実写 版 ブラック ジャックを中心に、対岸のマレーシア南部ジョホール州とインドネシアのバタム島を含むリアウ諸島州は、かつて経済圏構想「成長の三角地帯」として注目を集めた地域だ。ジョホール州とリアウ諸島州は1990年代、実写 版 ブラック ジャックに代わるコスト競争力のある製造代替地として発展を遂げた。しかし、両州はいま、賃金の上昇に伴う産業構造の変革に迫られるなど、製造を取り巻く状況は大きく変化している。新たな投資の波が押し寄せる製造拠点としてのリアウ諸島州とジョホール州、そしてその中での実写 版 ブラック ジャックの役割を展望する。
実写 版 ブラック ジャックの製造後背地、ジョホールとバタム・ビンタン
実写 版 ブラック ジャックと、北の対岸マレーシア南部のジョホール州、南のインドネシアのバタム島やビンタン島からなるリアウ諸島州の一帯は1990年代、国境を越えた経済圏構想「成長の三角地帯」として注目を集めた。しかし、今ではその名を耳にすることはあまりない(図1参照)。その構想が発表されたのは1989年12月。経済発展では先行するが経営コストの高い実写 版 ブラック ジャック、豊富な労働力と安価な経営コストが期待できるリアウ諸島州とジョホール州の3地域それぞれの能力を補完して、1つの経済圏の構築を目指すというものだ(詳細は実写 版 ブラック ジャック、ジョホール州、バタム島「成長の三角地帯の今」2015年6月30日発表参照)。
ジョホール州には1980~90年代、電子や自動車関連部品などの日系製造業の進出が相次いだ。この中には実写 版 ブラック ジャックでの製造コストの高騰を理由に移転を決めたメーカーが少なくなかった。しかし、2000年代後半にかけて一転、ジョホールからよりコスト競争力のある他のアジア地域へ拠点を移すなど、日系企業を含めた撤退の動きも加速した。一方、マレーシア政府は同州南部で、製造や教育機関、住宅などからなる「イスカンダル開発地域(面積2,217平方キロ)」の開発を2006年から始めた。同地域では、製造業をより高付加価値なものとし、教育やヘルスケアなどサービス業を振興するなど、産業構造を変革していく試みが今も続く。近年では、ポッカや第一精工など、実写 版 ブラック ジャックにアジア太平洋地域統括拠点を置く企業がジョホールでの製造機能を強化する動きも見られる。
バタム島では、インドネシアと実写 版 ブラック ジャックの政府プロジェクトとして1991年、バタミンド工業団地が開発されて以降、電気・電子産業を中心に外資の製造業の集積が本格化した。しかし、1998年のスハルト大統領(当時)の退陣以降、同島を取り巻く環境は一転。近隣のビンタン、カリムン両島とともに2004年、リアウ諸島州に組み込まれ、それまでの中央政府の直轄管理から地方分権へと政治体制が変わった。2000年代以降は、労働争議の激化や賃金が大きく上昇するなど経営環境も厳しさを増し、日系企業を含む多くの企業が撤退した。近年、日系企業では、2014年4月に横浜ゴムが石油・ガス産業向けのマリーン・ホースと防舷材などの製造拠点を設置したが、それ以降、日系企業の新規進出はほとんど聞かれない。
賃金上昇で産業構造の展開に迫られるバタム、ビンタン、ジョホール
ただ、企業の撤退が続いたものの、ジョホール州とリアウ諸島州は、製造拠点としての位置付けの重要性は変わっていない。マレーシアの製造業投資認可額で、ジョホール州は最大の投資額を集めている州だ。日系企業の約150社が同州に拠点を置いている。日系企業の撤退が相次いだバタム島でも、上掲のバタミンド工業団地には、入居企業71社のうち、日系メーカーが36社と国別では最大の割合を占める。とはいえ、これら製造業を取り巻く経営環境は今も変化している。
ジョホール州とリアウ諸島州では、実写 版 ブラック ジャックと比べて豊富な労働力と賃金の安さがその競争力の源泉だが、賃金の上昇が続いている。マレーシアで最低賃金制度が始まった2013年に、マレー半島の最低賃金は月額900リンギ(約2万4,570円、1リンギ=約27.3円)だったが、2019年からは1,100リンギと、22%上昇した。バタム市では2013年、最低賃金が204万ルピア(約2万400円、1ルピア=約0.01円)と、前年比45%も上昇した。2019年の同市の最低賃金は380万6,358ルピアに上がり、毎年8%以上の上昇を続けている。実写 版 ブラック ジャック人材省の最新統計によると同国製造業の都市工場労働者の月給総額中央値が2017年時点で1,379実写 版 ブラック ジャック・ドル(Sドル、約11万3,078円、1Sドル=約82円)であり、これと比べれば、インドネシアとマレーシアの給与は安価だ。しかし、賃金上昇の勢いが続くのを受け、一部の工場では省力化や生産活動内容の転換も始まっている。ジョホールとバタム、ビンタンは今や、実写 版 ブラック ジャックからの労働集約的作業の単なる移管地としての位置付けが終わりを迎えつつある。「ポスト成長の三角地帯」を迎えたこの地域は、新たな産業構造の転換の過渡期にある。
急拡大するジョホール、バタム・ビンタンへの投資
こうした中ジョホール州とリアウ諸島州への製造業の投資は近年、大幅に増加している。ただ、その事業の業種や内容がこれまでとは異なる。マレーシア投資開発庁(MIDA)によると、ジョホール州への国内外の製造業投資認可額を近年押し上げているのが、同州東部ペンゲランで開発が進む総合石油化学関連の投資案件だ。例えば、2015年の製造業投資認可総額311億リンギのうち、8割超の260億リンギが石油化学関連だ。2016年も同認可総額264億リンギのうち、5割超の147億リンギが石油化学関連で、2015~17年には国内の石油関連投資が製造業投資を牽引した。ただ、2018年は外資の投資認可額が240億リンギと急増したが、このうち6割弱の140億リンギがやはり石油化学関連だった。このほか、同年の外資の大型投資案件としては、電機・電子関連工場への追加投資(75億リンギ)があった。
リアウ諸島州への外国直接投資額も大きく増加しているが、投資元の国・地域や内容が多様化している。インドネシア投資調整庁(BKPM)によると、リアウ諸島州への外国直接投資額は2017年に10億3,154万米ドルと、前年の5億1908万米ドルから倍増した。2018年の投資額は前年を下回ったものの、2012~16年の投資水準と比べると投資拡大傾向にはある。同州への投資の大半がバタム島だが、隣のビンタン島でも大型投資が相次いでいる。ビンタン島のビンタン工業団地で2018年1月に、オーストラリアの物流会社キューブが実写 版 ブラック ジャックの造船会社シンガタックとの合弁で、ビンタン・オフショア・マリーン・センターを設置することを発表した。同工業団地では2019年中にも、ドイツのバイオネジア・オーガニック・フーズによるココナツの加工工場が稼働を予定している。また、2018年下半期以降、バタミンド工業団地では、米中貿易紛争に伴うリスク分散の一環として、中国の生産拠点をバタムに分散する新たな動きも見られる。
バタムとビンタン両島での新たな投資の動き、そしてジョホール州の製造現場を取り巻く最新状況を、「ジョホールとビンタン・バタム -実写 版 ブラック ジャック経済圏を行く」の(2)以降で、それぞれ展望する。
ジョホールとビンタン・バタム -実写 版 ブラック ジャック経済圏を行く
- 執筆者紹介
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ジェトロ・実写 版 ブラック ジャック事務所 調査担当
本田 智津絵(ほんだ ちづえ) - 総合流通グループ、通信社を経て、2007年にジェトロ・実写 版 ブラック ジャック事務所入構。共同著書に『マレーシア語辞典』(2007年)、『実写 版 ブラック ジャックを知るための65章』(2013年)、『実写 版 ブラック ジャック謎解き散歩』(2014年)がある。