日本からの輸出に関する制度

牛肉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛肉のHSコード

0201:
牛肉(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る)
0202:
牛肉(冷凍したものに限る)

具体的な製品の内容により規則が異なる場合があるため、詳細は必ず確認してください。

関連リンク

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年7月

2014年3月4日に米国農務省(USDA)の動植物検疫検査局(APHIS)が「BSE包括的規則」を施行したことで、骨なし牛肉の米国への輸出はBSEを理由に制限されることがなくなりました。日本からの牛肉輸出は骨なし肉に加え、骨つき肉、内臓の輸出も認められています。具体的には、枝肉(二分割または四分割した枝肉)、カット、食用内臓(※)、その他の未加工生肉、およびプライマル・サブプライマル(※※)に該当する製品が日本から米国に輸出可能です。

(※)頬肉(Cheek Meat)、頭肉(Head Meat)、心臓(Heart Meat)および食道(Weasand Meat)を除く可食臓器

(※※)牛肉のと畜後、まずはプライマルカットに分割され、さらにそれを部分肉にカットしたものをサブプライマルカットと呼びます。

米国政府は、牛肉の輸入に際し、米国の食品安全基準やラベル規制などに準拠していること、米国側でのサンプリング検査などを課しています。準拠していないと判断されると出荷物が拘留されるため注意が必要です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年7月

米国向け牛肉輸出では、食品安全検査局(FSIS)が認定する日本国内施設で生産された製品のみ輸出が認められています。そのため、対象となる製品がUSDAの「米国向け食肉輸出が認められた国および各国の食肉取扱施設リスト」や農林水産省の「アメリカ合衆国向け輸出食肉取扱施設リスト」に含まれる施設で処理されたものでなければなりません。農林水産省のリストは、関連リンクの「北米|証明書や施設認定の申請」に掲載されています。

新たに対米輸出食肉を取り扱うと畜場や食肉処理場としての認定を受けるには、関連リンク「アメリカ合衆国向け輸出食肉の取扱要綱」に記載の食肉衛生関係および家畜衛生関係の要件を満たす必要があります。

新たに対米輸出食肉を取り扱うと畜場または食肉処理場としての認定を受けるには、と畜場ならびに食肉処理場の設置者が、と畜場などを管轄する食肉衛生検査所長および都道府県知事などを経由して申請書とその他の必要資料を厚生労働省宛てに提出し、あわせて、当該申請書類の副本を当該と畜場の所在する地域を管轄する地方厚生局宛てに提出します。

必要書類は次のとおりです。

  • 施設の構造・設備に関する書類(施設・設備の図面など)
  • 衛生管理などに関する書類
    1. 施設・設備の衛生管理マニュアル(就業後清掃・始業前点検プログラムを含むもの)
    2. 給水・給湯の管理マニュアル
    3. 排水処理マニュアル
    4. 廃棄物処理マニュアル
    5. ねずみ・昆虫防除マニュアル
    6. 消毒剤などの管理マニュアル
    7. と殺・解体処理作業マニュアル(と畜場の場合)、分割・細切処理作業マニュアル(食肉処理場の場合)
  • 動物福祉に関する書類(と畜場のみ)
  • その他参考資料(当該施設におけると畜・解体処理能力および3カ年の実績、処理する獣畜の生産地についての過去3カ年の実績および今後3カ年の計画)
  • HACCPなどに関する資料

「加工場および製品が米国基準に合致すると認定されるための審査」と「検疫証明」に関する申請過程は、厚生労働省の規定に基づいて進められ、厚生労働省が書類審査および輸出食肉検査担当官による現地調査を実施し、要件を満たしていると判断した場合、担当地方自治体を通じて、申請者に対して審査合格についての通知をするとともに、FSIS向けに施設認定通知を送付します。

認定手続きの詳細は、農林水産省のウェブサイト「北米|証明書や施設認定の申請」から「アメリカ合衆国向け輸出食肉の取扱要綱」を参照してください。

なお、連邦規則集第9巻第94.27条(9CFR Part94.27)では、食肉処理解体前の圧搾空気注入気絶法ならびに食肉処理解体時の脊髄破壊法(ピッシング)を使用してと畜した牛肉の輸入を禁じています。

関連リンク

関係省庁
ブラック ジャック オンライン (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省動植物検疫検査局(USDA APHIS) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦食用獣肉検査法(Federal Meat Inspection Act)第601条から第625条、第641条から第645条(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
連邦規則集
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
農林水産省から入手できる主な情報
農林水産物・食品 輸出支援プラットフォームから入手できる主な情報
ブラック ジャック オンラインから入手できる主な情報

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年7月

日本から輸入される牛肉は、連邦規則集第9巻第94.11条(9CFR Part94.11)に規定されている口蹄疫(FMD)要件と、連邦規則集第9巻第94.18条(9CFR Part94.18)または連邦規則集第9巻第94.19条(9CFR Part94.19)に規定されている牛海綿状脳症(BSE)要件の対象となり、輸出検疫証明書が求められます。従って動物検疫所による輸出検査が必要になります。

日本から牛肉を輸出するためには、まず食肉衛生証明書を取得してから、動物検疫所による輸出検査を受けて輸出検疫証明書を得ることが必要です。

食肉衛生証明書を取得するためには、認定と畜場などを管轄する食肉衛生検査所などへ検査申請書を提出します。食肉衛生証明書の取得にあたって必要な申請事項は次のとおりです。

  • と畜しようとする年月日
  • と体番号
  • 性別、品種、月齢、出生の年月日
  • 特徴
  • 産地
  • 個体識別番号
  • 生産者氏名録
  • 販売先住所・氏名
  • と畜場および食肉処理施設名称
  • 仕向け地
  • 積み荷番号

検査に合格した牛肉に対して、厚生労働省より、当該牛肉の輸出時に必要となる食肉衛生証明書が発行されます。当該証明書は、動物検疫所による輸出検査を受けて農林水産省により輸出検疫証明書の発行を受ける際に必要となります。

輸出検疫証明書の取得にあたっては、輸出検査申請書を動物検疫所へ、もしくはNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を通じて申請する必要があります。

なお、食肉衛生証明書については、2025年4月1日以降、申請1件あたり870円の発行手数料の納付が必要になります。

輸出国の動物にかかわる病気の状況や制限に関する情報および質問についてはAPHISの次の部署にお問い合わせください。

USDA APHIS
Veterinary Services, Strategy and Policy, Animal Product Import and Export(APIE)

4700 River Road, Unit 40
Riverdale
, MD 20737
電話:(301)851-3300
Eメール:APIE@USDA.GOV

関連リンク

その他参考情報
農林水産省から入手できる主な情報
農林水産物・食品 輸出支援プラットフォームから入手できる主な情報

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年7月

牛肉の規格は明確に定められていません。なお、米国の牛肉の格付けは、米国農務省(USDA)が行っています。

関連リンク

関係省庁
米国農務省(USDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる情報

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年7月

残留農薬に関する規制は該当しませんが、残留動物用医薬品規制の対象になります。

牛肉の残留抗生物質の許容値については、米国食品医薬品局(FDA)が制定しており、USDA食品安全検査局(FSIS)は、FDAが制定する、畜肉、家きん肉、卵製品に区分した残留許容値を各業者が順守するよう強化・監視します。

2022年12月にFDAは、業界向けガイダンス「ヒトの健康が懸念される細菌に対する微生物学的影響に関する動物用新規抗生物質医薬品の安全性の評価」の改正案を公表しており、パブリックコメントを経て最終化される予定です。当該ガイダンスに記載のリスク評価アプローチは、食品生産動物におけるすべての抗生物質動物用新規医薬品に対して提出された申請の評価に推奨されます。次に説明する3つの申請者は、リスク評価アプローチが自社の申請に適しているかどうかを判断するためにFDAに相談されることをお勧めします。ガイダンスは法的な強制力はないと書かれていますが、抗生物質は特に重要なトピックになっている事もあるため、該当する医薬品を取り扱う場合にはFDAの提案しているフォームに従って申請する事によりFDAの考え方をよく理解しておく必要があります。

  • 特定の追加の動物用新規医薬品申請(NADA:New Animal Drug Applications
    微生物の食品安全情報は、通常、カテゴリー I の補足NADAには必要ありません (21 CFR 514.106(b)(1))。ただし、特定のカテゴリー II 補足NADAについては情報が必要な場合があります (21 CFR 514.106(b)(2))。 これらの補足では、親申請の特定の安全性または有効性データの再評価が必要になる場合があります。
  • 抗菌薬の組み合わせに対するNADA
    微生物の食品安全性情報は、通常、同法のセクション 512(d) に定義されている抗菌薬の組み合わせには必要ありません (21 U.S. C. 360b(d))。微生物の食品の安全性は、通常、組み合わせを構成する個々の抗菌薬に対するNADAの一部として扱われます。ただし、特定の種類の抗菌薬の組み合わせについては情報またはデータが要求される場合があります。
  • 短縮された(一般的な)NADA
    微生物の食品安全性情報は、承認された抗菌性の動物用新規医薬品およびその組み合わせのジェネリックコピーについてFD&C法第512条(b)(2)に基づいて提出される動物用医薬品の短縮された申請(ANADA)には必要ありません。

また、日本と米国の相違の一例に、フルオロキノロンの使用が挙げられます。日本では抗菌剤の慎重使用として「フルオロキノロンなどの第二次選択薬は、第一次選択薬が無効の場合にのみ使用」できますが、FDAはラベル表示外薬品使用ELDU(Extra label Drug Use:承認済み表示に掲載されていない目的・方法における薬品の使用)規定で、フルオロキノロンの使用を禁止しています。

肥育用ホルモン剤については、FDAが製造・販売を承認し、適正な使用方法と食肉への残留基準を設定しています。詳細については、ホルモン剤の使用方法や禁止事項について規定している連邦規則集第21巻522「動物用新規医薬品の注入・投薬形態」を参照してください。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2023年7月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質は、ポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(連邦規則集第21条第109.30条(21CFR Part 109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

1.有毒・有害物質の欠陥対策レベル

FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。

なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。

2.トータルダイエットスタディに基づく参考指標

米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。
公表されている直近のデータは2018年から2020年に実施されたサンプリングによるもので、次のような結果となっています。ここでは例として、加熱済み牛ひき肉、およびオーブン調理済み牛ステーキ(ロース/サーロイン)について取り上げます。

加熱済み牛ひき肉に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 8.5 4.1
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
580 910 760
検出なし 検出なし N/A
マンガン 検出なし 170 27
亜鉛 48000 78000 56444
オーブン調理済み牛ステーキ(ロース/サーロイン)に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 21 5.6
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
560 1400 896
検出なし 検出なし N/A
マンガン 検出なし 140 26
亜鉛 48000 78000 61037

3.その他

米国では連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示にかかわる改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を表示し、その物質を’含む’ではなく、’有害物質にさらされる’という表現にしています。インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。Prop.65の有害物質リストは1,000種類以上におよび、年に2~3回はリストの内容が更新されます。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

関連リンク

関係省庁
米国食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦規則集
その他参考情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)から入手できる主な情報
米国カリフォルニア州司法省から入手できる主な情報
ブラック ジャック オンラインから入手できる主な情報

4. 食品添加物

調査時点:2023年7月

食品に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻第348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻第321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品への直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれにかかわる規則は、連邦規則集第21巻第170条 から第189条(21CFR Part170-189)に列挙されています。

使用可能な食品添加物のリストについては、関連リンクの「使用が許可されている着色料一覧」および「使用が許可されている添加物一覧(着色料以外)」から確認することが可能です。米国において新規の食品添加物を使用する場合には、食品添加物申請(Food Additive Petition:FAP)をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

意図的に使用することにより、直接的または間接的に食品の成分となる、またはなりうる物質、あるいは、食品の性質に影響を及ぼす、または及ぼし得る物質を食品添加物として定義しています。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻第379条(21U.S.C.379)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「連邦規則集第21巻第70条から第82条(21CFR Part70-82)」を事前に確認してください。

特に、赤色102号については日本をはじめEUやアジアの主要国では着色料として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として広く使用されていますが、米国では着色料として使用することはできません。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年7月

食品の製造、包装、梱包、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます〔食品医薬品化粧品法第 409 条(h)(6)、合衆国法典 21U.S.C.348(h)(6)〕。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)(食品添加物の一種)として定義しています。なお、包装などの資材から構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、包装資材の製造業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA 規則に合致している物質(次の1を参照)ではない場合は、FDA への食品接触物質通知(次の2を参照)が必要です。

  1. 食品接触物質の規制の適合確認
    次の規則にあてはまらない食品接触物質は、FDA へ食品接触物質通知をしなければなりません。
    • 間接添加物(連邦規則集 第21巻第174条から第179条:21CFR Part174-179)
    • GRAS(連邦規則集第 21巻第182条、第184条、第186条:21CFR Part182,184,186)
    • 1958年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material, 連邦規則集 第21巻第181条:21CFR Part181)
    • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集第 21巻第170.39条:21 CFR Part170.39)
  2. FDA への食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification
    食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の 120 日以上前にその物質の情報をFDA に通知しなければなりません(連邦規則集 第21条第170.100条:21CFR Part170.100)。通知から 120 日の間に FDA から異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集 第21条第170.104条:21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については関連リンクの「申請フォーム FDA3480」を参照してください。
  3. PFAS

    PFASとは、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質と呼ばれる化学物質の部類で、非粘着性およびグリース(潤滑性)、耐油性、耐水性に優れた特性により調理器具、食品包装、および食品加工において使用されています。FDAは食品接触物質として長鎖PFASを2011年に禁止しましたが、短鎖PFASは許可してきました。しかし、FDAは、6:2フルオロテロマーアルコール(6:2 FTOH)を含む短鎖PFASの安全性に関しても懸念し、規制の変更措置を取りはじめています。さらに、米国環境保護庁(EPA)が飲料水に関する規制を発表し、米国素材メーカーの3Mが2025年末までの製造および使用の中止を発表しています。

    また、FDAの連邦レベルにおける動きだけでなく、ワシントン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州などいくつかの州では食品包装などのPFASを禁止する動きがありますので注意が必要です。

  4. フタル酸エステル類

    FDAは、可塑剤、接着剤、消泡剤、表面潤滑剤、樹脂、および殺ダニ剤として使用される23種類のフタル酸エステルと、ほかの2つの物質の食品接触使用許可を取り消しました。この措置により、これらのフタル酸エステルは、連邦規則集第21巻第175条から第178条(21CFR Part175~178)の規制によって認可された物質のリストから削除され、食品接触用途ではフタル酸エステルの使用は残り9つに制限されます。このうち8つは可塑剤としての使用が許可され、1つはモノマーとしての使用が許可されています。

    連邦レベルのFDAのみならずミネソタ州、ミシガン州、ニュージャージー州、ニューヨーク州は現在、立法会議でフタル酸エステル類を制限する法案を検討しています。メイン州では食品包装中のフタル酸エステル類の禁止法が2019年に可決されているなど注意が必要です。

  5. 食品包装用リサイクルプラスチック

    米国では、プラスチックを含む使用済みリサイクル(PCR: post-consumer recycled)材料の使用を増やすことに重点が置かれています。一方で、食品接触物質におけるPCRプラスチック材料の使用に関するFDAの主な安全上の懸念は、次の3点です。

    1. PCR材料中の汚染物質がリサイクル材料から作られた最終的な食品接触物質に出現することで食品に移行する可能性があること、
    2. PCR材料は食品接触用途として規制されていない可能性があること、
    3. PCRプラスチック中のアジュバント(添加剤・補助物質)は食品接触用途としての規制を順守していない可能性があること

    リサイクルプラスチックから作られた食品接触物質の製造業者は、未使用の材料と同様に、リサイクルされた材料が意図された用途に適した純度であり、未使用の材料のすべての既存の仕様を満たすことを保証する責任があります。

    リサイクルポリマーに新規添加物を使用する場合、あるいは未使用ポリマーに現在許可されている添加物の量を超えて認可された添加物を使用する場合は、食品接触物質通知(FCN)または食品添加物申請(FAP)が必要です。

    FDAは、食品包装材メーカーがPCRプラスチックを食品包装材に使用するための工程を評価する際の参考として「産業界向けガイダンス - 食品包装における再生プラスチックの使用:化学上の検討事項(Guidance for Industry - Use of Recycled Plastics in Food Packaging: Chemistry Considerations)」を作成しています。また、FDA は食品接触物質の製造に使用されるPCRプラスチックを製造するための特定のプロセスの適合性に関して肯定的な意見を出した申請のリストを公開しています。

関連リンク

関係省庁
食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦規則集
その他参考情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
厚生労働省から入手できる主な情報
ブラック ジャック オンラインから入手できる主な情報

6. ラベル表示

調査時点:2023年7月

1. 表示の「事前承認」および「一般承認表示」

FSISは所管する牛肉などについて、それぞれの小売段階での表示内容の必要条件とその基準を定めています。牛肉およびその加工品の販売には、ラベル表示内容について原則としてUSDAから事前承認を受ける必要があります。

FSISのラベル表示の「事前承認」を担当しているLPDD(The Labeling and Program Delivery Division)に、様式FSIS Form 7234-1、ラベルなどの必要書類にカバーレターを添えて郵送、もしくはLSAS(ラベル提出・承認システム:Label Submission and Approval System)を通じてオンラインで承認申請手続きを行います。

なお、日本から米国向けに牛肉を輸出できる施設はUSDAのFSISから認定されている施設のみであり、これらの施設からの出荷については「一般承認表示(generically approved labeling)」の使用が許可されており、表示内容の「事前承認」は不要です。

ただし、一般承認表示で許可されているのは、特別な表記(Wagyuなど)がない場合のみであり、記載すべき情報がすべて書かれていればFSISにあらためて承認を受ける必要なく使用する事ができます。「一般承認表示」であっても記載すべき情報が記載されているかなどのサンプルチェックは行われています。

「一般承認表示」は、連邦規則集第9巻第412条(9CFR Part412)(畜肉)、または「食品基準・表示方針書(Food Standards and Labeling Policy Book)」で製品基準が明示され、かつ品質表示(quality claims)や栄養成分表示(nutrient content claims)、健康表示(health claims)などの表示に誤りがないことなどの要件を満たさなければなりません。 一方、動物の育種や飼育を含む“Wagyu”など特別な表記を記載する場合には、その根拠を立証するために必要な文書に関するラベル申請のガイドライン(Labeling Guideline on Documentation Needed to Substantiate Animal Raising Claims for Label Submission)が規定されています。製品のラベルにWagyuという表記をする場合は必要な書類を準備し、個別にFSISへの事前承認申請が必要となります。

2. 表示義務項目

必要な表示項目は、次のとおりです。

主要表示パネル:PDP(Principal Display Panel
  1. 食品名(連邦規則集第9巻第317.2(e)条:9 CFR Part317.2(e))
  2. 取り扱い上の注意(連邦規則集第9巻第317.2(k)条:9 CFR Part 317.2(k))(※「要冷蔵」など)
  3. USDA検査証明マーク(official inspection legend)と認定施設番号(Est. Number)(連邦規則集第9巻第312.2(b)条: 9CFR Part 312.2(b))
  4. 内容量(連邦規則集第9巻第317.2(h)条:9 CFR Part 317.2(h))
主要表示パネル、もしくは情報パネル:IP(Information Panel
  1. 製造業者、梱包業者または流通業者の名称と住所(連邦規則集第9巻第317.2(g)(2)条:9 CFR Part317.2(g)(2))
  2. 原材料(連邦規則集第9巻第317.2(c)(2)条:9 CFR Part317.2(c)(2))
  3. 栄養表示(連邦規則集第9巻第317.300-400条:9 CFR Part317.300-400)
  4. 安全な取り扱い上の注意(連邦規則集第9巻第317.2(1)条:9 CFR Part317.2(l))
  5. 原産国(連邦規則集第19巻第134.11条:19CFR Part134.11)
3.のUSDA検査証明マークについては、主要表示パネル(PDP)上において配置する場所や最小サイズ要件は規定されていません。しかしUSDA検査証明マーク内の情報が、文字サイズや太さの比率が同じであるなど一貫性があることが求められています。また、「検査済みおよび合格」を1行で表示するのではなく、連邦規則集第9巻第312.2(b)条:9 CFR Part 312.2(b)に規定されているマークのとおり、マーク内本文の1行目に「検査済(INSPECTED )」、2行目に「合格(AND PASSED)」と表示しなければならないと細かく指定されています。

関連リンク

関係省庁
ブラック ジャック オンライン (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国税関・国境取締局(CBP)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦規則集
その他参考情報
ブラック ジャック オンラインから入手できる主な情報
農林水産省から入手できる主な情報
ブラック ジャック オンラインから入手できる主な情報

7. その他

調査時点:2023年7月

食品衛生に関しては、危害要因分析重要管理点(HACCP)方式による衛生管理実施基準に準じます。牛肉の輸出施設は、衛生標準作業手順書(SSOP)を作成、実施するとともに、必要な改訂を行い維持管理することが義務付けられています。SSOPは食肉の直接的な汚染または粗悪化を防止するために毎日の作業前および作業中の手順を記載するもので、食品が直接接触する設備、装置、機械および器具の取り扱い方法についても詳細に文書化し、それに従った作業を手順どおり実施し記録・管理を行うものです。

米国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2023年7月

輸入通関にあたり、牛肉についてはForm FSIS 9540-1「Import Inspection Application(輸入検査申請)」を、米国農務省(USDA)の食品安全検査局(FSIS)に提出します。Form FSIS 9540-1は紙または電子申請が可能です。紙の場合は、公式輸入検査施設のFSIS検査担当官に紙の申請書を提出します。電子申請の場合は、米国の税関・国境取締局(CBP)の輸入検査システム(ACE)を通じて提出することによって、FSISの公衆衛生情報システム(PHIS)の輸入コンポーネントに転送されます。輸入検査申請は、製品が再検査される公式輸入検査施設に貨物が到着する前に、かつ、米国税関・国境取締局(CBP)に輸入申告が申請される前に、FSISに提出されなければなりません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2023年7月

日本から牛肉を輸入するにあたって、通関に必要な書類は次のとおりです。

通関書類
  1. エントリーマニフェスト(CBP Form 7533)あるいは貨物引き取り申告(CBP Form 3461)、またはポートディレクターが要求する商品の引き取りに必要なその他の書類
  2. 通関権の証明
  3. 商業インボイスなど
  4. パッキング・リスト
  5. その他輸入が認められるか否かを判断するために必要な関連資料・情報(エントリーサマリー(CBP Form 7501)、船荷証券(Bill of Lading)、原産地証明(必ずしも必要ではないが求められることもあり)、輸出検疫証明書、食肉衛生証明書など)
  6. インポート・セキュリティ・ファイリング(Import Security Filing: ISF)。(海上輸送で米国に輸入される貨物は、最後の外国港を出発する24時間前にISFの申請が必要となります)

関連リンク

その他参考情報
ブラック ジャック オンラインから入手できる主な情報

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2023年7月

ブラック ジャック オンラインが、米国に入国した製品の状態、ラベルと添付書類を確認したのち、必要に応じて再検査を実施します。さらにFSISは、製品をランダムにサンプリングし、薬物および化学物質の残留物を検査します。再検査に合格した製品には、USDA検査マークが刻印されて、米国への入国が許可されます。もし、輸入された肉製品が米国の要件を満たしていない場合は、「米国入国拒否」と刻印され、45日以内に輸出、破壊、または動物向け食品に転換する必要があります。食品関連の規制の「2. 残留農薬および動物用医薬品」「3. 重金属および汚染物質」を参照してください。

関連リンク

4. 販売許可手続き

調査時点:2023年7月

牛肉を含む食肉は、米国が、(1)米国向けに輸出ができると認可した国で、(2)連邦食用獣肉検査法の安全基準を満たすと認められた施設で生産された製品でなければ輸入、販売することができません。

販売そのものに関する免許ではありませんが、生のひき肉製品を販売する際に、情報管理に関して留意が必要です。連邦規則集第9巻第320.1(b)(4):9 CFR 320.1(b)(4)により、生のひき肉製品の情報管理が販売店・肉市場・卸売量販店に義務付けられています。記録義務のある情報は次のとおりです。

  1. 各ロットの牛ひき肉製品の製造に使用される原料を供給する事業所の事業所番号
  2. すべてのサプライヤーのロット番号と製造日
  3. 牛肉の成分や生産ロット間で引き継がれるあらゆる材料を含む、供給された材料の名称(牛の部位など)
  4. 生のひき肉製品の各ロットが製造された日時
  5. 粉砕装置、およびひき肉との接触面が洗浄、消毒された日時

これらの記録を、牛ひき肉を製造した場所で保管すること、および、1年間保管することが義務付けられています。各州や地方自治体が定める規制がないかについても確認が必要です。 詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

なお、倉庫業、ラベル貼付や再包装を行う場合は、USDAや郡、市の衛生局への食品施設登録や査察が必要な場合もあるため確認が必要です。

5. その他

調査時点:2023年7月

なし

米国の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年7月

米国に牛肉を輸入・販売するにあたって、輸入者は関税を納付しなければなりません。 関税表は米国国際貿易委員会(USITC)が管理しており、「2023 HTSA 改訂版 (2023 HTSA Revision)」の第2章に肉類の関税率が記載されています。日本から米国内に輸入される牛肉に課せられる関税は、肉の質・部位・加工度合により4.4セント/kg 、または4%、10%、26.4%と大幅に異なり、それぞれ「世界各国の関税率(World Tariff)」で検索が可能です。

牛肉の関税率
HSコード 税率
201: 牛肉(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る) 4%, 10%, 26.4%
4.4¢/kg
202: 牛肉(冷凍したものに限る) 4%, 10%, 26.4%
4.4¢/kg

なお、2019年12月4日に日本国会で承認された日米貿易協定(2020年1月1日発効)により、2019年までの日本枠200トンと複数国枠を合体し、中南米の国などと合わせて65,005トンを上限に4.4セント/kgの低関税で日本から牛肉を輸入できるようになりました。

2. その他の税

調査時点:2023年7月

州、地方自治体へ納付する売上税

米国内では地方自治体により売上税が課されます。州ならびに郡や市の地方自治体により売上税の合計税率は異なるため、USITC、米国税関・国境取締局(CBP)、州、地方自治体のウェブサイトで確認する必要があります。

3. その他

調査時点:2023年7月

商業貨物税関使用料、港湾維持料

輸入者は牛肉やその加工品の輸入にあたって、関税だけでなく商業貨物税関使用料(Merchandise Processing Fee:MPF)を納付する必要があります。正式通関(Formal Entry)の場合、MPFは輸入申告価格(FOB価格)の0.3464%で、最低29.66ドル、最高575.35ドルです。さらに、船便による輸入の場合には、輸入者は貨物価格の0.125% の港湾維持料(Harbor Maintenance Fee:HMF)を納付しなければなりません。これらは米国税関・国境取締局(CBP)が徴収しています。

その他

調査時点:2023年7月

日本の有機JAS制度との同等性
米国は、日本の有機JAS制度を米国の有機制度と同等と認め、輸出時の手続きについて双方で合意しています。これにより、2020年7月16日から有機JAS制度による認証を受けた有機畜産物などに「organic」などと表示して、米国へ輸出できます。 対象範囲は、有機JAS制度に基づき、最終的に日本国内で生産、加工または包装され、格付けがされた有機畜産物、有機畜産加工食品および有機農畜産物加工食品(ただし、有機JASに基づく管理方法により抗生物質を使用していないと認められる家畜、家きんに由来するものに限る。)となっています。
2023年1月に、米国農務省のNOP(National Organic Program)が、有機製品の監視を強化し、不正を防止するための規則(Strengthening Organic Enforcement)を最終決定しました。新規則は、米国へ輸入されるすべての有機製品に電子NOP輸入証明書の使用を義務付け、有機認証取得には輸入業者やトレーダーを含むより多くのサプライチェーン内の企業の参画を要するなど、有機製品への信頼性強化のために、当局の監視と執行の権限を大幅に強化するものです。NOP輸入証明書の申請にはNOP 2210-1を使用します。ただし、日本の有機JAS制度と米国の有機制度との同等性の仕組みを活用した輸出については、本規制の適用前の現在でも、NOP 2210-1の様式が使用されています。本規制の適用期限は2024年3月19日です。