技術・工業および知的財産権供与に関わる制度
最終更新日:2024年07月19日
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技術・工業および知的財産権供与に関わる制度
特許権の存続期間は出願日から20年、実用新案は出願日から10年、意匠は出願日から5年(5年の延長が2回可能で、最大15年)、商標権は登録日から10年(更新可)、著作権は著作者が生存している期間と死後70年と、それぞれ法律で定められている。アルゼンチンは、工業所有権保護に関するパリ条約などに加盟している。
管轄機関
国家産業財産権庁(Instituto Nacional de la Propiedad Industrial:INPI)
司法省国家著作権局(Dirección Nacional del Derecho de Autor:DNDA)
工業所有権
知的財産権および工業所有権は、憲法第17条において「すべての著作者、発明者は法律で認められた期間はその著作物、発明、発見などに対する権利を有する」と定められ、保護されている。発明特許・実用新案法(1995年法律24481号および同法を改正する2018年法律27444号)、意匠法(1963年政令法6673号および同法を改正する2018年法律27444号)、商標法(1981年法律22362号および同法を改正する2018年法律27444号)、技術移転法(1981年法律22426号)、植物品種権法(1973年法律20247号)、秘密保護法(1996年法律24766号)などで規定されている。工業所有権保護に関するパリ条約には1966年加盟した。特許・商標の出願は、経済省傘下の国家産業財産権庁(INPI)で行う。
工業所有権の概要は次のとおり。
- 発明特許・実用新案(1995年法律24481号および同法を改正する2018年法律27444号)
- 発明特許
存続期間は出願日から20年。特許要件は、実用的であること、新規性(技術的に未知)を含んでいること、技術的な発明過程を提示すること。発見、科学理論、数学上の公式などは発明とみなされず、公共秩序維持、人間・動物の生命・健康を阻害する発明、自然界に存在する生物体・遺伝子なども特許対象にはならない。INPIに出願すると、INPIは方式審査、予備審査を行い、18カ月後に出願内容が公開される。その後、実体審査が行われる。特許の登録までに平均で5年を要する。特許権を保持するには特許の維持費を毎年支払う必要がある。 - 実用新案
存続期間は出願日から10年。要件は、特許要件のうち新規性と実用性のみで、発明過程の提示は不要。登録までに平均で3年を要する。実用新案は、物体、工具、利器、装置によって機能の最適化を目指すもので、意匠は工業製品の装飾的性格の形状に関わるもの。
- 発明特許
- 意匠(1963年政令法6673号および同法を改正する2018年法律27444号)
工業製品の形状や外観に新規性を加えるものであれば登録が可能。発明特許・実用新案と異なり、新規性の実体要件について審査は行われない。既に海外または国内で発表された製品などは対象外となる。出願時に問題がなければ1週間で登録は完了する。存続期間は出願日から5年で、その後2回、各5年、合計15年の延長が可能。 - 商標(1981年法律22362号および同法を改正する2018年法律27444号)
他の商品やサービスと区別させるあらゆる文字、図形、記号、広告フレーズ、色の組み合わせ、個人名、音、香り、包装紙、包装容器などを登録することができる。商標登録が不可とされるのは、同一または紛らわしい類似のもの、欺瞞的なもの、公の秩序または善良の風俗を害するもの、連邦および地方政府・外国政府・国際機関、宗教団体、保健関連団体が使用するもの、本人または相続人の同意のない個人名、ペンネーム、肖像画など。有効期間は登録日から10年で、その後は10年ごとに無制限に更新が可能。出願から登録までに要する期間は、出願時に問題がなければ約18カ月。商標権者は、登録日から5年目と6年目の間に商標が使用されていること示す宣誓書を商標局に提出しなければならない。
不使用を理由とする取消審判および商標法違反に基づく無効審判は、INPIに対して行い、INPIが審判する。審判に不服がある場合は、その通知から30営業日以内に連邦裁判所に上訴することができる。悪意の登録に基づく無効訴訟は、連邦裁判所で審理される。
またアルゼンチンでは、パリ条約および知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)第6条2項により、著名商標も保護されている。 - 技術移転(1981年法律22426号)
海外の居住者から国内の居住者への商標・特許などの有償での譲渡およびライセンス供与、技術援助またはエンジニアリングなど有償の技術移転契約が登録対象。ソフトウェアは、司法省国家著作権局(DNDA)が管轄。所得税法上の恩典(93条a)を受ける際にのみ登録が必要で、技術移転を登録することにより、使用料の支払いが経費として認められる。所得税法上の恩典の適用を受けるためには、海外送金する前に登録することが必要で、問題がなければ40日で登録は終了する。
著作権
著作権については、知的財産法(1933年法律11723号)により規定されている。著作物とは、科学、文学、芸術の範囲に属すもの、また音楽、コンピュータ・プログラム、データベースなども含む。同法は、出版物、翻訳物、複製物などにも一定の権利も認めるほか、権利が第三者に譲渡された場合も保護する。作詞家や作曲家が創作する著作権の管理は、SADAIC、AADI-CAPIF、CADRAのような民間団体が行う。著作権の存続期間は、著作者が生存している期間と死後70年。監督機関は司法省傘下の国家著作権局(DNDA)。ソフトウェアは、1998年法律25036号により著作権の対象になった。