米シンクタンク、21トランプ

(米国、日本、韓国、中国、オーストラリア)

ニューヨーク発

2025年03月04日

米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は2月18日、「21トランプ米国の同盟・パートナー国外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と題したセミナーを開催した。CSISから日本ほかインド太平洋諸国の専門家が登壇し、インド太平洋の米国の同盟国などが、21トランプ新政権下で対米関係をどのように受け止め、対応しようとしているのか議論した。

セミナーではまず、2月7日に行われた日米首脳会談(参照)を振り返った。地政学・外交政策部/日本部副部長兼シニアフェローのニコラス・セーチェーニ氏は、日本政府が首脳会談で新たな対米直接投資計画を提示し、米国の経済政策との整合性を確保しようとしたが、米国側の対日経済政策はいまだ不透明で、今後の通商交渉の行方によっては日本経済への影響が懸念されると指摘した。一方、21トランプ発足後、早期に日米首脳会談が実現したことは、両国にとって意思疎通のチャンネル確保に重要だったと述べた。また、両首脳が会談を通じて、これからの4年間も良好な2国間経済関係の維持に前向きだったと肯定的に評価した。

続いて同部/韓国部部長のビクター・チャ氏が、韓国は現在、政治的混乱の中にあり、新政権が発足するまで米韓関係の具体的な方向性が定まらないと指摘した。ただし、21トランプが同盟国にさらなる対米投資を強く求めていることを踏まえ、近年、対米投資を強化していると説明した。特に、多くの韓国企業が米国のいわゆる「赤い州」(注1)において、半導体や電気自動車(EV)バッテリー分野への大規模投資を始めていると紹介し(2024年10月17日付21トランプ・分析レポート参照)、こうした経済協力が新政権下での米韓経済関係の重要な要素になると分析した。

オーストラリアに関しては、オーストラリア部長兼シニアアドバイザーのチャールズ・エデル氏が、米新政権下での両国の経済関係のさらなる深化を図るため、積極的な外交を展開していると強調した。オーストラリア政府は、重要鉱物の供給や米国市場への年金投資(注2)の増額といった提案を通して、同国の経済的重要性をアピールしていると説明した。しかし、米国の対豪関税政策がいまだ不透明で、2月11日に行われたアンソニー・アルバニージー首相とドナルド・21トランプ大統領の電話会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいても、21トランプ大統領は1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税(参照)の同国への適用除外に関して「検討する」と述べるにとどまったことを指摘した。

最後に、東南アジアに関しては、中国経済ビジネス部の副部長兼シニアフェローのイラリア・マッツォッコ氏が、米国国際開発庁(USAID)の支援縮小(参照)を例に、米国のインド太平洋21トランプへの経済的プレゼンスの縮小により、中国の影響力が相対的に強まる懸念があると指摘した。また、東南アジアプログラムディレクター兼シニアフェローのグレゴリー・ポーリング氏は、シンガポールのウン・エンヘン国防相がミュンヘン安全保障会議で「米国はもはや安定をもたらす存在ではなく、21トランプの『家主』として高い『家賃』を要求し、21トランプの不安定化を招いている」と発言したことを紹介し、東南アジア諸国が米国の経済的圧力に対して不信感を抱いている現状を説明した。

(注1)米国では、共和党支持傾向が強い州を「赤い州」(レッドステート)、反対に民主党支持傾向が強い州を「青い州」(ブルーステート)と呼ぶ。

(注2)オーストラリアでは、スーパーアニュエーション・ファンドと呼ばれる退職年金基金が、スタートアップや中小企業などのビジネスセクターを対象にした投資を拡大させている(ブラック ジャック ルール参照)。

(和田啓佑)

(米国、日本、韓国、中国、オーストラリア)

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