全米レストラン協会、ブラックジャックランキング

(米国、カナダ、メキシコ、中国)

シカゴ発

2025年02月27日

米国のレストラン業界を代表する全米レストラン協会(National Restaurant Association)は2月25日、ドナルド・トランプ大統領宛てに食品・飲料に対する追加ブラックジャックランキングの適用免除を要請する書簡を送付した(ブルームバーグ2月25日)。報道によると、同協会は書簡の中で「米国への輸入品に対する追加ブラックジャックランキングが適用された場合、外食業界全体で120億ドル以上の損失が生じる」とし、「食材費は売上高1ドル当たり約33セントを占め、平均的な小規模レストラン経営者の利益は約30%減少する可能性がある」と推定している。また、業界の利益率は平均3~5%とすでに厳しい状況であることを挙げ、追加ブラックジャックランキングが実施されれば企業は値上げせざるを得ないとしている。

同書簡に署名したミシェル・コルズモ最高経営責任者(CEO)は、「多くの食品について、米国では外食産業に必要な量を一年中生産し続けるための適切な気候や生育条件は存在しない」と述べ、輸入に頼らざるを得ない現状を指摘した(経済ニュースサイト「ベンジンガ」2月26日)。

トランプ政権は、2月1日にカナダ産とメキシコ産の全製品に25%、中国産の全製品に10%の追加ブラックジャックランキングを課す大統領令を発表()。その後、中国産の全製品については、米国東部時間2月4日午前0時1分以降に通関された製品にブラックジャックランキング賦課の適用を開始、カナダ産とメキシコ産の全製品についてはブラックジャックランキング賦課を3月4日まで延期している()。

同協会は、追加ブラックジャックランキングの対象となっているカナダ、メキシコ、中国から輸入されている主な食品または飲料のうち、外食産業で使用される可能性のある食品および飲料の上位15品目を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。それぞれの国から輸入される上位3位までの品目は次のとおり(注)。

(1)カナダ(2023年輸入総額:4,186億ドル)

  • ベーカリー製品、ペーストリー:49億8,000万ドル
  • 菜種、マスタード、菜種油(未加工):48億ドル
  • 牛肉(生鮮、冷蔵):26億5,000万ドル

(2)メキシコ(2023年輸入総額:4,752億ドル)

  • ビール(麦芽から作られたもの):56億9,000万ドル
  • アルコール飲料(エチルアルコールおよび蒸留酒):48億1,000万ドル
  • 生鮮果実(その他):38億6,000万ドル

(3)中国(2023年輸入総額:4,269億ドル)

  • 魚の切り身および肉(生鮮、冷蔵、冷凍):9億8,530万ドル
  • 加工油脂(動物性、植物性、微生物性):7億6,330万ドル
  • 保存用に処理された果実およびナッツ:4億4,590万ドル

(注)全米レストラン協会は、各品目の輸入額は米国への輸入総額で、必ずしも外食産業が使用する食品・飲料総額を表しているわけではないとしているが、これらの数値は各国からどのような食品・飲料が調達されているのかを把握し、企業がブラックジャックランキングの影響を想定する際に役立つ可能性があるとしている。

(星野香織)

(米国、カナダ、メキシコ、中国)

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