サプライチェーン上の地位向上を約束、ASEANサミット
(ASEAN、ラオス、タイ、ベトナム、カンボジア、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマー、ブルネイ)
バンコク発
2024年11月01日
ASEAN首脳会議(サミット)が10月9日、ラオス・ビエンチャンで開催された。サミット終了後、2024年のASEAN議長国であるラオスのソーンサイ・シーパンドン首相による議長声明が発出され、会議の結果が報告された。
議長声明によると、経済に関わる主な結果は次のとおり。
〇サプライチェーンの連結性向上に向けた首脳宣言を採択:人工知能(AI)やデジタル化など先端技術の活用や経済回廊の有効活用、低炭素な製造・輸送の促進、貿易・輸送の円滑化措置に基づく政策を通じたASEANの(サプライチェーン上の)地位向上などに取り組むことに合意。
〇ASEAN中国自由貿易協定(ACFTA)改正交渉の実質妥結(2024年10月15日記事参照)のほか、改正ASEANオーストラリア・ニュージーランドFTA(AANZFTA)の第2議定書(2023年10月2日記事参照)の署名完了(2024年末までに発効予定)を歓迎。ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の改正交渉について、2025年9月までの署名を目指す。
〇将来的なペーパーレス貿易を想定したASEAN対話パートナーのプラットフォームとの相互運用の実現に向けた作業の進展のほか、ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)の内容を支援するデジタル貿易基準づくりのロードマップ策定の進展を歓迎。
〇経済統合の方向性や目標を示した「ASEAN経済共同体(AEC)ブループリント2025」(2016~2025年)について、具体的に達成すべき措置や取り組みの96%が完了または継続中と報告。2025年末までに完全達成を目指す。次のASEAN経済共同体(AEC)戦略計画(2026~2030年)について、2025年内にASEAN首脳による計画完成を予定。
〇持続可能な農業促進に関わる首脳宣言を採択。グリーン移行を目的としたAIや水素などの科学技術の導入、土壌の質向上や水管理の改善、生物多様性の保全などで連携する。
〇ASEAN域内の電力融通を推進する「ASEANパワーグリッド構想(APG)」(関連ブラック ジャック サイト)などを通じた地域の連結を推進する。
ASEANサミットおよび関連会合の終了後には、カオ・キムホンASEAN事務総長の立ち会いの下、ASEANの議長役がラオスからマレーシアに受け渡された。マレーシアは「包摂性と持続可能性」をテーマに、2025年のASEAN議長国を務める。
(藪恭兵)
(ASEAN、ラオス、タイ、ベトナム、カンボジア、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマー、ブルネイ)
ビジネス短信 74ce9b921feb1607