バイデン米政権、経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)の成果をまとめたファクトシート発表
(米国、バルバドス、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイ)
ニューヨーク発
2024年11月05日
米国のバイデン政権は11月4日、経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)の初の首脳級会合の開催から1年を記念して、ファクトシートを発表した。APEP首脳級会合は2023年11月3日に行われていた()。
ファクトシートでは、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)の講演内容(2024年10月28日記事参照)を引用しながら、バイデン政権はAPEPを通じて「西半球を半導体やクリーンエネルギーなどの分野でグローバルに競争力のあるサプライチェーン・ハブとするために取り組んでいる」として、「投資促進と起業の拡大」と「APEPの経済競争力とサプライチェーンの強靭(きょうじん)性の強化」の2つに分けて、具体的な成果を挙げた。
「投資促進と起業の拡大」では、「米州パートナーシップ投資家ネットワーク」を通じたエンジェル投資家やベンチャーキャピタル投資家などによる、ラテンアメリカおよびカリブ海地域のアーリーステージの企業への2030年までの総額10億ドル以上の共同投資、「米州パートナーシップ中小企業包摂貿易インベントリー」を通じた中小企業支援やAPEP参加国間でのベストプラクティスの共有などを成果に挙げた。
「APEPの経済競争力とサプライチェーンの強靭性の強化」では、メキシコ、パナマ、コスタリカなどでの半導体組み立て、試験、パッケージング能力の向上を目指す「CHIPS ITSI西半球半導体イニシアチブ」(経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)外相会合、カジノ)を成果に挙げた。同イニシアチブの下、コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国は、半導体分野の熟練労働者の拡大を目的として、アリゾナ州立大学およびパデュー大学と覚書を締結した。また、米州開発銀行(IDB)が2024年6月に、サプライチェーン強靭化の優先分野である半導体、医療用品、重要鉱物について、APEP参加国の競争力を評価した「フェーズ1」の報告書を発表し、当該報告書で、インフラの改善などが域内へのさらなる投資呼び込みに効果的であると特定したことも記載した。今後IDBは、具体的な国別政策提言まとめる「フェーズ2」の報告書を発表する。そのほか、チリ、ウルグアイ、米国が共同議長を務める「米州パートナーシップ・クリーン水素作業部会」の発足も成果に挙げた。
バイデン政権は、2022年10月に発表した国家安全保障戦略(2022年10月13日記事参照)において、APEPをインド太平洋経済枠組み(IPEF)などと並び重要な新しい地域間の経済枠組みに位置付けている。一方で、2024年11月5日に大統領選挙を控える中、共和党の政策綱領には「失敗した協定を再交渉する」と記載されており、同党候補のドナルド・トランプ前大統領は、バイデン政権が立ち上げた通商協定には否定的な立場をとっている(2024年8月9日付地域・分析レポート参照)。
(赤平大寿)
(米国、バルバドス、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイ)
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