バイデン米政権、国家安全保障戦略を発表、自国投資を最優先

(米国、中国、ロシア)

ニューヨーク発

2022年10月13日

米国のバイデン政権は10月12日、国家安全保障戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。2021年3月に暫定的な指針を発表して以来、正式な戦略発表は初となる(関連ブラック ジャック やり方)。

ジョー・バイデン大統領は戦略の序文で「世界は分岐点にある。われわれが今日直面する大きな課題と前例のない機会にどう対応するかが世界の方向性を決めるとともに、米国民の安全と繁栄に数世代にわたって影響することになる」と世界情勢を捉えている。その上で、同戦略の位置づけについて「(米国の国家安全保障にとって)決定的な今後10年間に、いかにして米国の死活的な利益を高め、地政学的競争相手をしのぎ、共通の課題に取り組み、世界を明るく希望に満ちた未来に導くかを戦略で描いている」とした。主要な競争相手として中国とロシアを名指しし、これら専制国家に対抗するために民主主義を守ると強調している。

ホワイトハウスが同日に発表した戦略の要旨をまとめたファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、目的達成のために、(1)米国の国力・影響力のソースとツールへ投資する、(2)共通の課題を解決し、国際的な戦略環境を形成すべく、可能な限り強固な国同士の連携を構築し、集団的影響力を高める、(3)戦略的競争の時代に備えるために軍を現代化し強化するとしている。例えば(1)では、中国との競争を念頭に、国内半導体産業に巨額の補助金を投じる「CHIPSおよび科学法」(米商務省、ブラック ジャック)や、史上最大規模となる気候変動対策予算を含む「インフレ削減法」()を成立させ、現代に則した産業・イノベーション政策を推進しているとしている。

一方で、ジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障担当)は記者会見で「世界を地政学的競争の視点だけで見ることは避けている」とし、中国とも共通の利益を前進させるための協力的な課題を追求するとしている。また、戦略の要点の1つとして、伝統的な通商戦略を転換して、ここ数年で露呈したサプライチェーン、エネルギー転換、労働や環境に関する新たな基準、存在感を増すテクノロジーと世界経済のデジタル化といった21世紀の課題に合うような新たな経済・投資・通商のモデルを導入すべきとの点にも言及した。戦略の中でも「自由貿易協定(FTA)の先に進む必要がある」とし、インド太平洋経済枠組み(IPEF)や世界共通の最低法人税、グローバルインフラ投資パートナーシップ(PGII)などを通じて、友好国と新たな経済枠組みを作り出していると指摘している。その上で、政権は競争相手も含めて全ての国と共通課題に取り組む道と、志を同じくする民主主義国家と協力関係を深める道のデュアルトラックのアプローチを志向するとしている。

地域別の戦略については、インド太平洋が21世紀の地政学の震源地となるとして筆頭に挙げており、続いて欧州、米州を含む西半球、中東、アフリカの順に記述している。

(磯部真一)

(米国、中国、ロシア)

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