米ナトロン・エナジー、ノースカロライナ州でナトリウムイオン電池製造施設建設を発表
(米国)
アトランタ発
2024年08月19日
米国のバッテリー製造スタートアップのナトロン・エナジー(本社:カリフォルニア州)は8月15日、ノースカロライナ州エッジコム郡に14億ドルを投じて、ナトリウムイオン電池(NiB)の製造施設を建設すると発表した。
NiBはリチウムイオン電池(LiB)などに代わる優れた電池で、高い出力、高速充電、電池寿命の長さ、安全で安定した化学的特性を持っている。また、NiBは高価な希少金属を必要とするLiBとは異なり、地球上の岩塩や塩水に存在する安価で豊富な原料を使用することから、近年注目を浴びている。同社は2024年4月、ミシガン州のNiB製造施設での操業開始を発表していた(関連ギャンブル ゲーム 無料)。
今回建設する新施設では、最大で年間24ギガワット(GW)のNiBを生産し、同社の生産能力が現在の40倍になる見込みで、フル稼働時には1,000人以上を雇用する予定だ。同社の製造するNiBは現在市販されているものの中で唯一、UL規格(注1)に適合しており、データセンター、モビリティー、電気自動車(EV)用急速充電ステーション、マイクログリッドなど、産業用電力分野の幅広い顧客に供給される予定だ(注2)。
同社のコリン・ウェッセル創業者兼共同最高経営責任者(co-CEO)は「9つの州にまたがる70以上の用地を評価した結果、クリーンエネルギー革命のリーダーのノースカロライナ州がこのプロジェクトに最適だとわかった。この野心的なプロジェクトで同州と提携し、経済活動の電化を進めながら、地域に質の高い雇用を提供できることを誇りに思う」と述べた。
また、同州のロイ・クーパー知事(民主党)は「今回の案件で、クリーンエネルギー経済におけるノースカロライナ州の勢いは壮大な規模に達した」と述べた。同州では、トヨタ自動車が総額139億ドルを投じて建設中のEV用バッテリー工場など、バッテリー関連投資が相次いでおり、直近では中国のバッテリー用部品メーカーによる1億4,000万ドルの投資が発表されている(トヨタ、米国のEV用バッテリー工場に80億ドルの追加オンライン、関連ブラック ジャック参照)。
(注1)米国保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories:UL)が策定する製品安全規格。材料や装置、部品、道具類などから製品に至るまでの機能や安全性に関する標準化を目的としている。
(注2)国際エネルギー機関(IEA)のレポートでは、NiBはLiBと比較してエネルギー密度が40%低いため、主に都市部で使用される自動車や二輪車など用途が限定されやすい一方、定置型蓄電用途に適している可能性があると指摘されている。
(檀野浩規)
(米国)
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