マレーシア、BRICSへの加盟申請を提出
(マレーシア、タイ、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)
クアラルンプール発
2024年07月30日
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は7月28日、BRICSへの加盟を正式に申請したと発表した。ASEANで加盟意向を示したのは、タイに続き2カ国目(2024年6月20日記事参照)。アンワル首相は6月に、中国メディアとのインタビューで、近くBRICSへの加盟を申請する意向を表明していた。
アンワル首相は7月28日付の公式SNSで、マレーシアを訪問中のロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会談の模様とともに、「BRICS議長国であるロシアに加盟文書を送付し、加盟国もしくはパートナー国になりたいとの意向を伝えた」と投稿した。会談の議題は、貿易投資、農業、防衛軍事、教育、科学技術、観光文化、パレスチナやウクライナの現状など多岐に及んだが、主題はBRICSへの加盟申請だったとし、「加盟の可能性は、強固な国際協力を促進するというマレーシアの取り組みを裏付けるもの」と説明した。
モハマド・ハサン外相も同日、ラブロフ外相と個別に面談を行い、両国の今後の関係強化への取り組みを議論した。モハマド外相は、BRICSの一員になることで、マレーシアの影響力は大幅に高まるとの見方を示している。同氏は、アンワル首相が当初6月にBRICS加盟の意向を表した際、「BRICSの一員となる準備をすべく、加盟がマレーシアの国益にかなうかどうかの分析および評価作業を行っている」と述べていた。このほか、投資貿易産業省(MITI)が、貿易において欧米への依存を軽減できるとしてBRICS加盟の意義を強調したほか、チャン・リーカン科学技術イノベーション相も「BRICS加盟によって、電気電子を中心としたマレーシアの産業は、研究開発などで多くの恩恵を受けられるだろう」と好意的な見方を示していた。
マレーシアは自らの強みとして等距離外交を掲げており、中国企業のみならず欧米企業からも大型の投資案件報道が相次いでいる()。7月上旬には、OECDにも加盟の意向があることをアンワル首相が表明し(「マダニ経済政策」の目標達成に力点、ブラック)、のちにテンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相がこれを踏襲する発言をしていた。同氏率いるMITIもまた、7月中旬にBRICS加盟に関する国会答弁の中で、マレーシアの中立的立場を維持すべく、欧米など従来の主要貿易相手国・地域との良好な通商関係も継続すべきだと付け加えた。
(吾郷伊都子)
(マレーシア、タイ、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)
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