選挙後の初の国民議会、6月14日に開催
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2024年06月12日
南アフリカ共和国のレイモンド・ゾンド最高裁判所長官は6月10日、総選挙後(2024年6月3日記事参照)、初の国民議会は14日午前10時に開幕予定と発表した。
南ア憲法の規定では、最高裁長官に初議会を招集する権限が与えられている。同議会では新大統領も指名される予定だが、その後の組閣・新政権発足に向け、アフリカ民族会議(ANC)による国民統一政府(GNU)樹立に関する交渉も同時並行で行われている(ANC、ブラック ジャック サイト)。
当地メディアの報道によると、ANCは民主同盟(DA)、インカタ自由党(IFP)、その他の愛国同盟(PA)など少数政党と間でGNU樹立に向けて交渉しているもようだが、閣僚ポストの配分などの問題で合意に至っていない状況だ。初議会までにどの程度交渉が完了するかで、その後の組閣に影響が出てくる。ゾンド最高裁長官は「憲法では選挙結果発表後、14日以内に初議会の招集が規定され、その5日後に新大統領就任式を行う流れとなるが、組閣までの期間は規定されていない」と述べた。
一方、第4党の経済的解放の闘士(EFF)は、ANCによるGNU提案に対してDAと自由戦線プラス(FF+)が含まれる場合は、ANCの提案を拒否すると発表した。選挙結果に異議を申し立てている第3党の民族の槍(やり、M.K.)も、第1回議会に出席しないことを表明しており、比較的高い支持を得た政党がGNUに不参加となれば、新政権の運営や安定性に懸念が広がる。
こうした状況を受け、シリル・ラマポーザ現大統領は、招待されていた今週イタリアで開催予定のG7への参加見送りと、スイスで開催されるウクライナ和平会議への代表団派遣の取りやめを決めた。
有力な経済団体であるビジネス・リーダーシップ・サウスアフリカ(BLSA)は、声明でANCがGNU樹立を提案したことについて好意的に評価しているが、交渉の合意は急務とし、新政権には低迷する経済が抱える諸課題(電力不足、物流網の混乱、汚職撲滅)に一刻も早く着手するよう呼びかけた。
大手銀行の発表によれば、南アの通貨ランドは、GNU樹立に向けた不透明感や新政権発足後の運営懸念から、対米ドルで19ランド付近まで弱含みで推移している。
(的場真太郎、堀内千浪)
(南アフリカ共和国)
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