総選挙の結果発表、与党ANCの得票率は約40%と過去最低

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2024年06月03日

南アフリカ共和国の独立選挙委員会(IEC)は6月2日、5月29日に実施された第7回総選挙(国民議会、州議会)の結果を発表した。現与党のアフリカ民族会議(ANC)は得票率40.18%(2019年得票率57.50%)で400議席中159議席となり、2019年の総選挙から71議席を失った(注)。事前の世論調査のとおり(憲法裁判所、ブラック ジャック)、ANCは民主化後30年目にして初めて、過半数を大きく割り込む結果となった。なお、今回の投票率は、前回の66.0%から落ち込み、58.64%と過去最低記録を更新した。

最大野党の民族同盟(DA)は得票率21.80%(2019年得票率20.77%)で87議席、次に新党の民族の槍(やり、M.K.)が14.59%で58議席(初参加)、経済的解放の闘士(EFF)が9.52%(2019年10.80%)で39議席だった。M.K.は、前大統領のジェイコブ・ズマ氏の立候補が取り消されたにもかかわらず(憲法裁判所、ブラック ジャック)大きく躍進し、第2野党の位置についた。特に、ズマ氏出身地であるクワズール・ナタール州のM.K.の得票率は45.93%と同州内では最も高く、ANCの17.62%と大きな差が出た。

そのほか、第4野党はこれまでと変わらずインカタ自由党(IFP)で得票率3.85%(2019年3.38%)で17議席、続いて2.06%(2019年0.04%)の愛国同盟(PA)が9議席を獲得した。

シリル・ラマポーザ大統領は、選挙結果発表後の演説で、「選挙結果は国民の意思を反映したもので、国民は投票した政党が他の政党との共通点を見いだし、違いを乗り越え、みんなのために行動し、協力することを期待している」と述べた。

当地報道によれば6月1日、過半数を失う可能性が高いとの予備結果を受け、ANC最高指導部(党首や事務局長、全国議長など重要な決定を担う7人)が集まり会議が行われた。連立について協議されたものとみられるが、一部からはDAとの連立に反対の声が上がったという。

今後、6月3日にはANCの全国作業委員会、4日には全国執行委員会(NEC)が開かれる予定で、その後にANCの今後の方針が発表される予定だ。

選挙を監視していた南アフリカ人権委員会(SAHRC)は、今回の総選挙を全体として、大きな懸念もなく、公平に実行されたことを承認した。アフリカ連合選挙監視団(AUEOM)も、今選挙は平和的な状況下で実施されたと宣言した。

(注)議席数は全て南ア政府のフェイスブックページ記載(6月2日付掲載)の議席数。確定議席数は、これとは別に独立選挙委員会(IEC)が発表することになっている。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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