米商務省、日韓との「破壊的技術保護ネットワーク」立ち上げ、輸出管理の協力強化
(米国、日本、韓国、ロシア、ウクライナ)
ニューヨーク発
2024年05月02日
米国商務省産業安全保障局(BIS)は4月26日、司法省とともに、日本と韓国との「破壊的技術保護ネットワーク」を立ち上げ、最初の3者会談を4月25日に首都ワシントンで開催したと発表した。2023年8月に開催された日米韓3カ国首脳会談で、米国の輸出管理の執行専門部隊である「破壊的技術ストライクフォース」と、日本・韓国のカウンターパートとの間で、先端技術保護の協力強化が合意されていた()。今回のネットワークの立ち上げにより3カ国は、各国の取締機関によるベストプラクティスの共有などを行う。
BISの発表によると、今回の3者会談は、破壊的技術ストライクフォースの共同リーダーである司法省国家安全保障部のマシュー・オルセン次官補とBISで輸出管理の執行を担当するマシュー・アクセルロッド次官補が主催した。そのほか、米国側からは司法省と商務省に加え、国土安全保障省国土安全保障捜査局、国防総省防衛刑事捜査局が参加した。日本側からは警察庁、経済産業省、財務省関税局が、韓国側からは大統領府、産業通商資源部、法務部、外交部、関税庁が参加した。
会談で3カ国は、輸出規制や技術の不正移転を禁止する法律に違反する行為は、それぞれの国家安全保障上の利益を脅かすものであり、不正な技術移転と闘うことが国家および経済安全保障上の重要な課題であることに合意し、3カ国間で2つの覚書(MOI)を締結した。
今回のネットワーク設置について、オルセン次官補は「志を同じくする国々とのパートナーシップは、われわれが成功するために欠かせないものであり、日本や韓国と力を合わせて破壊的技術保護ネットワークを設置できたことを誇りに思う」と述べた。
米国は近年、破壊的技術ストライクフォースを中心に、輸出管理の執行強化に努めている(注1)。直近では、司法省が2024年4月30日に発表した、ニューヨーク州在住の人物がロシアへの不正な輸出に関して有罪を認めた事案が、破壊的技術ストライクフォースとクレプトキャプチャー(注2)の連携によるものとしている。同人物は、ウクライナへの侵攻により制裁対象となっているロシアの事業体に対して、機密性の高い米国のドローン技術の輸出を企てていた。
(注1)2024年2月には、破壊的技術ストライクフォースの設立1周年を記念したサミットが開催されている(関連ブラック ジャック ディーラー)。
(注2)米国が同盟・パートナー国とともに科した対ロ制裁の執行にあたる省庁横断タスクフォース()。
(赤平大寿)
(米国、日本、韓国、ロシア、ウクライナ)
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