米アーバンリンク、フロリダ州で2026年に空飛ぶクルマの商業運行を開始予定と発表
(米国、ドイツ)
アトランタ発
2024年05月08日
先進的なエアモビリティーソリューションを提供する米国フロリダ州のアーバンリンクエアモビリティーは5月6日、南フロリダ地域での次世代エアモビリティー(Advanced Air Mobility:AAM)サービスについて、2025年第4四半期(10~12月)に米国連邦航空局(FAA)と米国運輸省(DOT)による認証プロセスを開始し、2026年夏までに商業運転を開始する予定だと発表した。
同社創業者のエド・ウェーゲル氏は航空会社の資金調達や運営、航空機認証に40年間携わり、ジェットストリーム41やエンブラエルE145、エアバスA321の貨物機など、複数の新型航空機を米国市場で就航させた経験を持つ。また、FAAによる米国連邦航空規則パート135と121の認証(注)についても、複数の航空会社で認証取得を主導してきた。
ウェーゲル氏は発表で「南フロリダは、そのユニークな地理的・人口的特性により、エアモビリティーの変革の可能性を実証する、わくわくする機会を提供してくれる」と述べた。同社のAAMサービスは同州南東部のマイアミ、ウエストパームビーチ、ボカラトン、フォートローダーデールなどの主要都市間を結び、同州南西部のマルコ島まで拡大する計画だ(「ドローンライフ」5月6日)。
同社は、ドイツのミュンヘン工科大学の卒業生が2015年に起業したリリウムの電動垂直離着陸機(eVTOL)を使ってサービスを提供する予定で、既に20機を契約済みだ。リリウムのセバスチャン・ボレル最高商務責任者(CCO)によると、今回のeVTOLの購入はリリウムに投資していない商業運航企業による初めてのもので、eVTOLの市場が成熟し、都市内だけでなく、都市間の接続が可能な機体に対する需要の高まりを示しているという。
米国では、トヨタ自動車が出資するジョビー・アビエーションがFAAの認可を受け、試験飛行を既に開始し、2024年からの実用化を目指しており、空飛ぶクルマのサービスも数年以内の開始を目指している(関連ブラック ジャック トランプ)。そのほか、日本のスカイドライブもサウスカロライナ州に拠点を設立し、2026年の商業運転開始を目指している(空飛ぶクルマ開発のスタートアップのスカイドライブ、カード)。リリウムは、2025年に欧州航空安全機関(EASA)の型式証明取得を目指しており、EUと米国の間の「航空の安全に関する相互承認協定(BASA)」により、EASAの証明取得後にFAAの認証も取得する予定だ(「フライング・マガジン」5月6日)。
(注)旅客運行で、パート135は小型プロペラ機の定期便運航や小型飛行機のチャーター運航に適用される。パート121はジェット機または大型のプロペラ機による米国内の2地点間の定期便の運航、米国内の地点および米国外の地点間の輸送、ならびに米国外の2地点間の定期便の運航、大型飛行機または定期便にも用いられる飛行機によるチャーター運航に適用される。
(檀野浩規)
(米国、ドイツ)
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