英政府、ガス火力発電所の新規建設を支援する方針を発表、安定供給を優先

(英国)

ロンドン発

2024年03月28日

英国政府は3月12日、ガス火力発電所の新規建設を支援する方針を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。洋上風力発電などの再生可能エネルギー(再エネ)が拡大する中、エネルギー源の安定供給を確保するためとした。

今回の方針は、持続可能かつ現実的な手法でネットゼロを達成するための最新のステップと位置付けている。「民生用原子力ロードマップ」の発表をはじめとする原子力発電新規開発へのコミットメント、洋上風力開発支援、北海での石油・ガス開発ライセンスの新規付与など、英国政府はこれまで国産エネルギー強化への支援策を展開してきており、今回の方針もその一環とした(2023年10月3日記事英政府、民生用原子力ロードマップ策定、ブラック次期再エネ支援スブラック参照)。

クレア・クティーノ・エネルギー安全保障・ネットゼロ相は、再エネをバックアップするガス(火力発電)がなければ、停電のリスクに直面すると指摘。クリーンエネルギーと国民への電力の安定供給のどちらかを選ばざるを得ないなら、安定供給を優先するとしつつ、クリーンエネルギーへの移行を進めていくうえで、現実的にならなければいけないと述べた。

政府は、ガス火力発電所の新設にあたってはネットゼロ対応を求める。具体的には、二酸化炭素(CO2)の回収や水素発電などの低炭素代替エネルギーへの将来的な転換だ。これらの措置を講じる前提で、政府は、発電事業者が送配電網へガス火力発電によるバックアップ電力を供給するための主要な補助金の支払いを維持し、その建設を支援する(「フィナンシャル・タイムズ」紙3月12日)。

また、「電力市場整備に関する見直し(REMA、関連ブラック ジャック ゲーム)」の第2回コンサルテーション外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの一環として、ガス発電容量の増強に関する計画が打ち出された。本コンサルテーションにおいては、英国内を「ゾーン」に分割して卸電力価格を設定し、市場を地域化する提案も含まれている。再エネ導入の進展に伴い、送配電網をより効率的にすることを目的としており、導入された場合、発電所からの距離に応じて価格が大きく変動する。この市場の地域化は、大規模な洋上風力が多数開発されているスコットランドでは、消費者が負担するエネルギーの価格が低下する一方、発電事業者の収益を減少させる可能性があると、クリーンエネルギー業界の動向を扱う「カレント・ニュース」(3月11日)で報じられている。

(菅野真)

(英国)

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