英EU、EVとEV向けバッテリーのTCA原産地規則緩和措置延長で合意
(英国、EU)
ロンドン発
2023年12月22日
英国政府は12月21日、EU・英国通商・協力協定(TCA)により、電気自動車(EV)とEV用バッテリーに適用されている原産地規則(注)の緩和措置について延長することでEUとの間で合意したと発表した(決定および緩和措置の詳細は政府ウェブサイト参照)。
TCAではEVとEV用バッテリーに関し、域内のバッテリー生産への投資を促進するため、2023年末までと2026年末までの2段階の緩和措置が導入されていた。産業界は、欧州域内でのバッテリー生産が軌道に乗るまでに予想以上の時間がかかっているとして(「ポリティコ」2023年12月5日、)、英国政府とともに延長を求めていたが、EUは難色を示していた、と報じられていた。しかし、中国産など安価な輸入EVに対する欧州の自動車産業の競争力低下を防ぐため、12月6日に欧州委員会からも延長が提案されていた(欧州委、ブラック ジャック 勝ち)。
これにより、2023年末までとされていた現行の緩和措置を2026年末まで継続する。2027年以降はTCAで定める原産地規則が適用される。一方、欧州委員会の提案どおり、EVとEV用バッテリーに対するTCAの緩和措置および原産地規則に関する変更は2032年1月1日まで認めないことも明文化した。
政府は今回の決定に関し、EUとの建設的な関係が英国の人々、企業に裨益(ひえき)していることを示すものとした。
歳入関税庁(HMRC)のデータによると、2023年1~10月の蓄電池(HSコード8507項)のEU向けの輸出額は3億600万ポンド(約554億円、1ポンド=約181円)、輸入額は10億9,100万ポンド。ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、バッテリー式電気自動車(BEV)の輸出額は70億5,600万ポンド、輸入額は111億6,600万ポンドとなっている(添付資料図1、図2参照)。
(注)ジェトロの報告書「英EU通商・協力協定などの原産地規則(462KB)」(2021年2月)を参照。
(山田恭之)
(英国、EU)
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