米クルーズの自動運転車による事故発生、他車両がはねた歩行者をひく
(米国)
調査部米州課
2023年10月12日
米国カリフォルニア州サンフランシスコのダウンタウンで10月2日夜、女性歩行者が他車両にはねられた後、クルーズ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)の自動運転車にひかれて重傷を負った。米国メディアで報道された(CNNビジネス10月3日)。
自動運転車が撮影した映像による状況は次のとおりだ。交差点の赤信号で、自動運転車が最初に事故を起こした車両の右側に停車し、信号が青に変わって2台の車両が交差点を通過し、横断歩道に近づいた。この時、2台の車両が近づいているにもかかわらず、女性が横断歩道を渡ろうとして、自動運転車の左を走行する(人間が運転する)車両に衝突し、ボンネット上に飛ばされた後、ルーフを転がって車両の右側に転げ落ちた。女性はその後、歩道にぶつかった後に自動運転車の前に投げ出された。自動運転車はその女性をひいたのか、女性が自動運転車の下部に入り込んだ状態だったのかは定かではないという。この映像はクルーズがサンフランシスコ当局に提出し、現在、調査中のため非公開となっている。
クルーズ広報担当のナビディ・フォルガニ氏は「最初の衝突が激しく、歩行者は自動運転車両の前方に飛ばされ、自動運転車両は衝撃を最小限に抑えるために急ブレーキをかけた」と述べた(CNNビジネス10月3日)。また、フォルガニ氏によると、最初に衝突事故を起こした車両の運転手は、事故現場から逃走したという。
サンフランシスコ警察署は事故を調査中だが、事故原因についてのコメントは現在、出されていない。CNNビジネス(10月3日)によると、クルーズの広報担当は負傷者の安否を懸念しており、責任のある運転手の特定に向けて警察と積極的に協力しているという。
クルーズとウェイモ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)は米国サンフランシスコ市内で時間帯を問わずに無人の配車サービスを提供し、利用料金を請求できるようになったが()、サンフランシスコ市の法定代理人はこのサービスに対し、安全上の懸念などから一時停止と再審理を求める行政申し立てを行った(2023年8月24日記事参照)。一方、自動運転を推進するウェイモは、同社の自動運転車は人間のドライバーの運転よりも大幅に安全との調査報告をした(関連ブラック ジャック ルール)。
(見並一明)
(米国)
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