ステランティス、バイオエタノールも利用可能なハイブリッド車を発表、BYDと共同でサプライヤー誘致を要望
(ブラジル)
サンパウロ発
2023年08月10日
自動車大手ステランティスは8月1日、ブラジル市場向けの新たなハイブリッド技術を発表した。新たな技術は「バイオハイブリッド」と名付けられ、電動モーターとフレックスの内燃機関(注1)の2つを動力源とすることが特徴だ。
本技術は、ミナスジェライス州ベチン市に位置するステランティスの研究機関よって開発され、同社が国内に有する3つの製造工場(注2)で生産が可能だ。
ステランティスは、ブラジルが優位性を持ち、かつ環境負荷も軽減できるサトウキビ由来のバイオエタノールを活用して電動化することを、同社戦略に位置付けている(2022年8月24日付地域・分析レポート参照)。同社は8月1日、バッテリー駆動電気自動車(BEV)を製造・販売する予定はあるものの、「電気自動車は、ブラジルと同水準の所得の新興国の多くの消費者にとって比較的高価で購入が難しい。脱炭素化へ移行する取り組みとしてバイオエタノールのハイブリッドでの活用は競争力のある選択肢となる」と説明している(公式プレスリリース)。
ステランティスのアントニオ・フィローサ南米統括社長は、北東部に位置するペルナンブーコ州ゴイアナ市の工場の戦略について、自動車部品のサプライヤーが北東部に進出することの重要性を強調した(注3)。同氏によると、ステランティスは近年、多数のサプライヤーに北東部に進出するよう働きかけている。また、フィローサ南米統括社長は、同じ北東部のバイア州カマサリ市に大型生産拠点を建設すると発表した中国のBYD(2023年7月6日記事参照)と協力し、両方の企業に部品を供給できるサプライヤーをさらに現地に誘致する意向を表明した。また、「弊社は現時点で、BYD側の誰と話せばいいか確認中だが、機会は来るだろう。サプライヤーを、BYDと共有する可能性は十分ある」とも述べている。
(注1)ガソリンでもバイオエタノールでも1種類以上の燃料を混合して走行可能。
(注2)3つの工場は、ミナスジェライス州ベチン市、ペルナンブーコ州ゴイアナ市、リオデジャネイロ州ポルトレアル市に位置している。
(注3)7月26日付現地紙「バロール」のインタビュー。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル)
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