QRコードによるクロスボーダー決済の試験運用を開始へ
(ラオス)
ビエンチャン発
2023年08月15日
ラオス中央銀行は8月2日、ベトナム、カンボジア、タイとのQRコードによる2カ国間クロスボーダー決済サービスにつき、2023年末までに少なくとも1カ国との試験運用を開始すると文書で通知した。
6月26日~7月18日に行われた国会でも、ブンルア・シンサイボーラボン中央銀行総裁が、QRコードによるクロスボーダー決済は、関係各国の中央銀行が商業銀行と協力して作業を進めていると説明し、外国で働くラオス人出稼ぎ労働者からのラオスへの送金のコストを下げ、外国人観光客の利便性も高まることになる、と言及していた。また、ラオスの出稼ぎ労働者からの送金は年間4億ドルを超えているが、銀行外のルートを介して送金しているケースが散見され、同サービスが開始されることにより、低コストで銀行システムを介して送金することができるようになる、と答弁した。
ジェトロによる中央銀行決済システム管理局への聞き取りによると、同決済では、ラオス中央銀行が立ち上げた標準QRコードであるLao QRを使用し、米ドルは介さず現地通貨で、両国の決済銀行(Settlement Bank)の口座を介し、迅速で安価なクロスボーダー決済が可能になるという。試験運用の第1フェーズでは、加盟店との取引に限定し、第2フェーズで個人間の送金にも対応する計画という。ラオス側で使用できるのは現地通貨キープのみだ。
なお、これまで民間ベースでは、ラオスの商業銀行BCELとタイのタナチャート銀行との間でQRコードによるクロスボーダー送金(Cross Border QR Payment)サービスが2019年から開始している(2019年4月25日記事参照)。
ASEAN諸国では2カ国間の即時送金を行う仕組みの構築を進めており、2022年11月にはタイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールの5カ国の中央銀行がクロスボーダー決済連結性の覚書を締結している(2022年11月22日記事参照)。
(山田健一郎)
(ラオス)
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