第55回ASEAN経済相会合(AEM)、ジャワ島中部スマランで開催
(ASEAN、カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)
バンコク発
2023年08月23日
第55回ASEAN経済大臣会合(AEM)が8月19日、インドネシア中部ジャワ州のスマランで開催された。ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)にかかる首脳声明の承認や、地域的な包括的経済連携(RCEP)支援ユニット(RSU、注1)の2024年中の設立に向けた準備など、2023年の優先的経済成果(PED)の進捗が報告され、ASEAN各国の経済相が歓迎の意を示した。
DEFAは2025年の妥結を目標としており、9月に開催される第23回ASEAN経済共同体(AEC)評議会で首脳声明が採択され、交渉が開始される見通しとなっている(2023年8月10日記事参照)。その他のPEDとして、ASEANサービス円滑化枠組み(ASFF)やASEANオーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA)改正第2議定書の交渉妥結、ASEAN産業プロジェクトベース・イニシアチブ(AIPBI)の計画書の最終化などが報告された。
AECに関しては、2025年までの10カ年計画の「AECブループリント2025(170KB)」の最終評価に向けて取り組みを加速するとともに、2025年以降に向けた「ASEAN共同体ポスト2025ビジョン(ACV)」の経済分野(AECポスト2025)の策定に向け、ACVハイレベルタスクフォース(HLTF-ACV)との連携を進めることを確認した。
税関統合では、ASEAN加盟国間で認定事業者(AEO)を相互認証する取り決め(AAMRA、2023年5月18日記事参照)に9カ国が署名したことが報告された。残る1カ国についても、2023年中に署名を終えるよう促した。先行署名グループによる試験運用は2023年中に完了し、2024年からAAMRAが完全実施される予定だ。
電子システムを通じ、ASEAN域内のトランジット貨物(通過貨物)に必要な各国境での通関手続きを一元化するASEAN税関トランジットシステム(ACTS)については、カンボジアとベトナム間の試験運用や、マレーシア~タイ~ラオス間の鉄道を利用した試験運用の実施が報告されたほか、ミャンマーの2023年中の参加に向けた進捗も確認した。
ASEANシングルウィンドウ(ASW)を通じたASEAN税関申告書(ACDD)の電子交換については、9カ国での稼働が確認され、2023年中に残る1カ国の参加が待たれる。電子植物検疫証明書(e-Phyto)の交換は、インドネシアとタイの間で開始され、2023年中にフィリピンの参加が期待されている。貿易関連書類の電子交換は、日本、中国、韓国、米国などの対話パートナーの間でも進捗している。
投資分野では、パフォーマンス要求の禁止を追加したASEAN包括的投資協定(ACIA)第4議定書が2023年1月に発効したことを確認した。また、第5修正議定書の実質的な妥結を歓迎した。第5議定書では留保表(ネガティブリスト)が2付属書(two-annex)方式へと移行し、対象産業分野が拡大する上、ラチェット条項(注2)が導入される。
(注1)RCEP協定で規定した事務局について、初期段階としてASEAN事務局内に設置する特別ユニット(2022年12月13日記事参照)。
(注2)留保した現行措置の内容より後退させない、自由化の程度をより悪化させないことを約束する措置。
(北見創)
(ASEAN、カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)
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