電子・IT相がフォクスコン合弁に半導体製造事業の再申請を要請

(インド)

アーメダバード発

2023年06月29日

インド電子・IT省のアシュウィニ・バイシュナウ大臣は、6月23日のCNBCテレビ-18のインタビューにおいて、インド政府がベダンタ-フォクスコン合弁会社(VFSL)に対し、すでに審査過程にあった半導体製造事業につき、再申請を要請したことを明らかにした。事業内容を再評価する方針だ(6月23日「CNBC TV-18」、「マネー・コントロール」紙)。

同相は、再申請要請の根拠について、約1年半前に奨励制度が開始された当初に設定された資格基準が、大きく変更されている点を挙げた。さらに、半導体業界を取り巻く環境も顕著な変化を遂げていると説明した。そのうえで、同業界内では、テレコムとパワーエレクトロニクス(注)の成長により、将来的には8ナノメートルから19ナノメートルの領域の半導体が重要な役割を果たすという明確な共通理解があると述べた。提案内容の修正、再申請の要請はVFSLだけではなく、これまで申請を提出していた他の企業に対しても同様に行われたという。

インド初の半導体製造事業として注目を集めるVFSLの新規投資案件は、2022年9月に初めて事業計画が公表され、インド西部グジャラート(GJ)州の最大都市アーメダバード近郊のドレラ特別投資地域(SIR)における工場設立準備が着々と進んでいると伝えられてきた(2023年5月29日記事参照)。一方で、5月に現地メディアが、VFSLの事業申請はインド政府が認定条件としている「技術提携先との合意」「生産グレード技術のライセンスの取得」のいずれも満たしておらず、「インド政府はVFSLの申請に対して、奨励金の支給を認めない方針」だと伝えたことが波紋を呼び、最終的にインド政府がどのような結論を出すのかに関心が集まっていた。

他方、電子・IT省は、広く新規案件の募集を再開する動きを見せるとともに(2023年6月5日付地域・分析レポート参照)、6月のナレンドラ・モディ首相の訪米時に、新たに米国半導体大手マイクロン・テクノロジーによる半導体組み立て・テスト工場の設置(グジャラート州に米半導体ブラック)、およびアプライド・マテリアルズによる半導体製造装置開発・実用化研究のためのエンジニアリング・センターの誘致を発表している。

(注)電源系などの電力を効率よくコントロールする半導体や電子回路を指す。

(古川毅彦)

(インド)

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