米ネクストディケード、伊藤忠商事とLNG売買契約、年間100万トンを15年間
(米国、日本)
ヒューストン発
2023年01月23日
米国の液化天然ガス(LNG、注)開発会社ネクストディケード(本社:テキサス州ヒューストン)は1月19日、伊藤忠商事向けに米国産LNGを販売する契約を締結したと発表した。
同契約に基づいて、ネクストディケードは、子会社のネクスト・カーボン・ソリューションズが開発を手掛けるテキサス州南端ブラウンズビルのリオグランデLNGプラントから、伊藤忠商事にLNGを供給する。伊藤忠商事は15年間にわたって年間100万トンをヘンリーハブ価格(米国天然ガス価格)に基づいてFOB(本船渡し)で購入するとしている。
ネクストディケードは2023年第1四半期(1~3月)にリオグランデLNGプラントの計3系列の最終投資決定(FID)を行い、その後、残りの系列についてもFIDを行うことを目標としている。1系列当たりのLNG輸出能力は年間540万トンで、最終的に第5系列までの拡張が予定どおり行われれば、LNGの輸出能力は年間2,700万トンに上る。
ネクストディケードのマット・シャッツマン会長兼最高経営責任者(CEO)は「伊藤忠商事が日本企業として当社の最初の顧客となることを光栄に思う」「当社は、伊藤忠商事とその顧客にLNGを提供できることを楽しみにしている」と述べた。また「リオグランデLNGプラントの二酸化炭素(CO2)排出量の削減に向けて、C02回収・貯留(CCS)プロジェクトにも積極的に取り組んでいる」として、リオグランデLNGプラントの脱炭素化の取り組みにも言及した(米テキサス南部で北米最大級のCCSプロブラック、2021年4月20日記事参照)。
ネクストディケードは2022年7月にも、同じくリオグランデLNGプラントから米国石油大手エクソンモービル(本社:テキサス州アービング)向けに、20年間にわたって年間100万トンのLNGを販売する契約を締結したと発表した(関連ブラック ジャック トランプ)。
(注)LNGは、(1)化石燃料の中でも燃焼時のGHG(温室効果ガス)排出量が少なく、(2)埋蔵量が豊富で世界各地で産出されるため、石油のような地政学的リスクが低く供給安定性に優れ、(3)世界的に取引量が拡大する中で経済合理性が高まることから、天候などにより発電量が変動する再生可能エネルギーを補いつつ、2050 年カーボンニュートラル実現に向けて低炭素化を促進する「トランジションエネルギー」として重要視される。
(沖本憲司)
(米国、日本)
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