米ネクストディケード、エクソン向けに年間100万トンのLNG売買契約を締結
(米国)
ヒューストン発
2022年08月02日
米国の液化天然ガス(LNG)開発会社ネクストディケード(本社:テキサス州ヒューストン)は7月27日、米国石油大手エクソンモービル(本社:テキサス州アービング)向けに年間100万トンのLNG売買契約を締結したと発表した。
ネクストディケードは、同社子会社のネクスト・カーボン・ソリューションズが開発を手掛けるテキサス州南端ブラウンズビルのリオグランデLNGプラントから、エクソンモービルの子会社であるエクソンモービルLNGアジアパシフィックにLNGを20年間供給する。
ネクストディケードは、本契約対象のLNGをリオグランデLNGプラントの第1系列および第2系列から供給する。第1系列は、早ければ2026年に商業運転を開始する予定だ。また、2022年後半には、最多で計3系列の最終投資決定(FID)を行い、その後、残りの系列についてもFIDを行う予定となっている。1系列当たりのLNG輸出能力が年間540万トンで、最終的には第5系列までの拡張が予定どおり行われれば、LNGの輸出能力は年間2,700万トンに上る。
ネクストディケードのマット・シャッツマン会長兼最高経営責任者(CEO)は「エネルギー業界の世界的リーダーであるエクソンモービルとの今回の長期契約締結は、リオグランデLNGにとって大きな節目となる」「本契約は、顧客に低炭素なLNG(注)を確保し、顧客の二酸化炭素(CO2)削減目標の達成を後押しすると同時に、安全なエネルギーを供給するという当社の戦略が成功したことを浮き彫りにするものだ」として、本契約の重要性を強調した。
なお、ネクストディケードは2021年3月25日、リオグランデLNGプラントでのCO2回収・貯留(CCS)プロジェクトで、米大手石油開発会社オキシデンタルの子会社オキシー・ローカーボン・ベンチャーズ(本社:テキサス州ヒューストン)と連携を発表している(2021年4月5日記事参照)。また、2021年4月15日には、米国三菱重工業が、リオグランデLNGプラントの排ガスからCO2を回収するシステムについて、基本計画を提供することでネクストディケードと合意した(2021年4月20日記事参照)。
(注)LNGは、(1)化石燃料の中でも燃焼時のGHG(温室効果ガス)排出量が少ないことに加え、(2)埋蔵量が豊富で世界各地で産出されるため石油のような地政学的リスクが低く供給安定性に優れ、(3)また、世界的に取引量が拡大する中で経済合理性が高まることから、天候などにより発電量が変動する再生可能エネルギーを補いつつ、2050 年カーボンニュートラル実現に向けて低炭素化を促進する「トランジションエネルギー」として、重要視される。
(沖本憲司)
(米国)
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