2022年の経済は低成長、電力不足が不安要素

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2022年12月27日

南アフリカ共和国の実質GDP成長率(前期比、季節調整済み)は、2022年第1四半期(1~3月)時点で1.9%となり、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準にまで回復した。オミクロン型変異株など発生によって感染が拡大した際も、行動規制を行わず、南ア政府は経済活動を優先していた。

しかし、ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの混乱や輸入コスト増があり、加えて、クワズル・ナタール州での大規模な洪水の影響も受けて、第2四半期(4~9月)は前期比マイナス0.7%と縮小に転じた(第2四半期のGDP成長率、前期比ブラック)。10月には、運輸公社トランスネットに対して労働組合が長期的なストライキを行い、物流や貿易などに影響を与えたものの(関連ブラック ジャック ルール)、第3四半期(7~9月)の成長率は前期比でプラス1.6%に好転した。

低成長を招いている要因の1つに、深刻化する電力不足が挙げられる。電力公社エスコムは発電所の修繕や盗電などに対する摘発を進めているが、抜本的な解決には至っていない(2022年11月25日記事参照)。同社が12月23日に発表した年次決算によると、営業利益やキャッシュフローなどは改善しているものの、債務返済費用を賄うまでになっておらず、総債務は3,968億ランド(約3兆950億円、1ランド=約7.8円)だった。また、南ア財務省は、2022年上半期に税収が当初より増えたことから、それを同社の赤字補填(ほてん)に充てている。

6月には、汚職撲滅を掲げてきたシリル・ラマポーザ大統領に対して、汚職疑惑が浮上して世間を騒がした。その後、特別臨時国会での弾劾手続きは否決され、与党・アフリカ民族会議(ANC)党首選では、経済への懸念などを考え、同大統領が党首に再任された(ラマポーザ大統領、21 トランプ勝利)。経済界は同大統領の続投を好意的に受け止めており、2023年は大統領の信頼回復と積極的な投資誘致、経済改革が期待される。

消費者物価指数の上昇率(前年同月比)は、1月には5.7%だったが、7月には政府目標(6%)を超える7.8%に達し、11月も7.4%となった。南アフリカ準備銀行はインフレ抑制のため利上げに踏み切り、1月に3.75%だった金利を11月時点で7%まで引き上げている。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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