運輸公社トランスネット従業員のストライキ、賃金協定締結でオペレーション再開の期待
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2022年10月19日
南アフリカ共和国の運輸公社トランスネットと全国運輸連帯労働組合(UNTU)が10月17日、3年間の賃金協定を締結した。トランスネットの従業員は賃金交渉で折り合いがつかず、10月6日から無期限のストライキに入っていた。従業員の半数が所属するUNTUの協定締結により、港湾の混乱が解消されることが期待される一方、南ア運輸連帯労働組合(Satawu)は現在もストライキを続けている。
トランスネットの賃金交渉は5月末から始まったが、やがて難航。UNTUとSatawuは当初、現在の生活コストの上昇やインフレ率に見合った12~13%の賃上げを要求していた。トランスネットは財務上の赤字を抱えているものの計4回の提示額の見直しを行ったものの妥結に至らず、10月10日には、労使調停委員会(CCMA)が介入していた。今回のUNTUとの協定では、2022年4月から2025年3月31日までの期間において、1年目6%、2年目5.5%、3年目6%の賃上げ、さらには住居手当の増額などが盛り込まれている。
貿易港ダーバンに拠点を置く運輸会社によれば、今回の大規模なストライキ期間中、同港などでは従業員不足で稼働に支障があったほか、一部道路が抗議活動の影響で不通や渋滞が生じ、ケープタウン・コンテナ・ターミナルは稼働していなかった。南ア鉱物評議会によれば、今回のストライキで港の稼働率が一時1日平均の12~30%程度に落ち込み、1日当たり8億1,500万ランド(約66億8,300万円、1ランド=約8.2円)の輸出収入を損失したと報告している。
(堀内千浪)
(南アフリカ共和国)
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