米国の2022年電力消費は過去最高の見通し、電力源の天然ガスは英国向け輸出加速で合意
(米国、英国)
ニューヨーク発
2022年12月08日
米国エネルギーブラック ジャック ゲーム ルール局(EIA)は12月6日、短期のエネルギー予測を発表し、2022年の電力消費が過去最高になるとの見通しを示した。経済活動の正常化や猛暑などによって電力需要が増加したことが影響しているとみられる。
2022年の電力消費量は4兆440億キロワット時(kWh、前年比2.6%増)となる見通しで、2018年に記録した過去最高の4兆30億kWhを上回ると予想されている。消費の内訳は、家庭向け1兆5,140億kWh(前年比3.0%増)、商業向け1兆3,760億kWh(前年比3.6%増)、工業向け1兆110億kWh(前年比1.0%増)などとなっており、家庭向けと商業向けが大きく伸びる見通しだ。2023年の電力消費見通しは4兆40億kWhと微減する見通しだが、引き続き過去最高レベルの水準と予想されている。
2022年の電力源構成比は、天然ガス39%(前年37%)、石炭20%(23%)、再生可能エネルギー22%(20%)、原子力19%(20%)で、天然ガスと再生可能エネルギーが前年からそれぞれ増加している。
天然ガスについては、12月7日に米国は英国とエネルギー分野の安全保障と安定供給のため連携すると発表した。米国から英国への液化天然ガス(LNG)の輸出量を2023年にかけて少なくとも90億~100億立方メートル(LNG換算643万~714万トン)にすることが柱で、エネルギー価格高騰に苦しむ英国を支援する。そのほか、小型モジュール炉(SMR)など原子力分野での協力強化や、二酸化炭素(CO2)の回収・活用・貯留(CCUS)で緊密に協力していくことなどでも合意した。
エネルギー省によると、米国は現在、世界最大のLNG輸出国で、ロシアによるウクライナ侵攻の影響から、ロシアの天然ガス供給が細るEUへのLNG輸出も増やしている(2022年3月24日記事参照)。今後、英国にも供給を加速させる考えだが、前述のとおり、米国内の電力需要も旺盛な中、今冬のガスや電気代は前年に比べて2桁以上の伸びとなる見通しだ(2022年10月14日記事参照)。エネルギー価格の高騰は国民の不満に直結し、バイデン政権の支持にも響く。エネルギーの国内外への安定供給と価格安定という難しいかじ取りがバイデン政権に求められている状況だ。
(宮野慶太)
(米国、英国)
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