トヨタ、輸入抑制策の影響による部品在庫不足で12月下旬の生産停止
(パキスタン)
カラチ発
2022年12月22日
トヨタ・ブランドの四輪車を製造販売する合弁会社インダス・モーターは12月19日、パキスタン中央銀行(SBP)の輸入事前許可の取得に時間がかかったことによる現地完全組み立て部品(CKD)輸入の遅れにより、十分な部品在庫が確保できないとして、12月20日から30日まで生産を完全に止める決定をしたと、パキスタン証券取引所(PSX)に開示した。これは、SBPが5月20日に輸入を抑制するために輸入前のSBP事前許可取得を銀行に義務付けた規制に起因する(関連ブラック ジャック web、関連実写 版 ブラック ジャック)。
この規制導入後、トヨタ、スズキ、ホンダ各社と自動車部品メーカーは部品やコンポーネントの輸入に大きな支障を来している。自動車メーカーは9月から前年輸入実績の50%程度の輸入しかSBPから許可されず、トヨタやスズキは月の半分の生産を停止するなどの対応に追い込まれた。
これにより、2022年7~11月のパキスタンの普通乗用車販売台数は5万5,132台と、前年同期比38.9%の大幅な減少となった(パキスタン自動車工業会)。
SBPが保有する外貨準備は12月9日時点で67億ドルと、前年度の輸入1カ月分を割り込み、さらにジリジリと減少している。今後、液化天然ガス(LNG)やガソリンの輸入にも支障が出るのではとの懸念が広がっており、カラチの住宅地では既にガス圧が非常に低くなっており、ガス供給がしばしば止まる事態となっている。
ジャミール・アハマドSBP総裁は、12月8日にSBPのポッドキャスト番組で「政府は2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)に230億ドルの対外債務の返済を予定しており、うち60億ドルは返済済み、40億ドルは繰り延べが決定している。残り130億ドルのうち83億ドルは関係国と繰り延べ交渉中だ。実際に返済するのは47億ドルで、コントロールは可能」と述べた。また、同総裁は17日には連邦議会の財政常任委員会で、政府は2023年1月から6月までに2国間と多国間の融資機関から180億~200億ドルの資金流入を見込んでいると語った(「ニュース」紙12月17日)。
政府は、IMFによる拡大信用供与(EFF、経常収支改善に向けた構造改革のための融資)実施のための第9次レビューを急いでおり、一日も早く融資の実行を得たい考えだ。
(山口和紀)
(パキスタン)
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