信用状開設に遅れ、自動車CKD部品在庫が逼迫
(パキスタン)
カラチ発
2022年06月27日
パキスタンの日系を含む自動車メーカー各社は、CKD(完全現地組み立て)部品輸入のための信用状(L/C)開設や決済などの遅れにより、輸入に支障を来している(6月24日時点)。
メーカーによっては、L/Cが開けないために輸出港で船積みできないなどの問題が発生し、程度の差はあるものの、各社とも在庫が厳しい状態になっている。
この問題は、パキスタン中央銀行(SBP)が5月20日に出した通達が発端となっている。SBPはこの通達で、自動車CKD、携帯電話CKDを含む25品目に関し、L/Cの開設や決済などについてSBPの事前許可取得を市中銀行に義務付けた(EPD Circular Letter No. 09 of 2022)。自動車CKDでは、1000cc以下の小型車から2500cc超の大型乗用車まで含まれており、スズキ、トヨタ、ホンダ各社とも影響は大きい。
ジェトロが日系企業に取材したところ、通達の対象ではない品目についても、L/Cの開設に普段以上に時間がかかっているという声が複数聞かれた。
政府とSBPは急減する外貨準備を防衛しようと輸入抑制策を繰り出している。SBPは4月7日、L/C開設の際の100%キャッシュマージン要求の拡大を発表(2022年4月15日記事参照)。政府は5月19日、外貨準備維持を目的として自動車(完成車)など33品目の輸入を即時禁止する政令を発出した(関連ブラック ジャック やり方)。
原油などの価格高騰から、パキスタンの貿易赤字は2022年7~5月の11カ月で434億ドル、前年同期比58%増と悪化。SBPの外貨準備高は90億ドルで、直近のピーク200億ドル(2021年8月)の半分以下に減少している。これは輸入の約1.4カ月分という危機的水準だ。
ミフタ・イズマイル財務相は6月21日、総額60億ドルに上る構造改革のためのIMF融資の一種である拡大信用供与(EFF)の再開交渉が事務レベルで合意に近づいたなどと述べ、市場の不安を和らげることに努めている。
(山口和紀)
(パキスタン)
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